2017ダンテ開催2日目

5月18日、ヨーク競馬場はダービー直前のダンテ開催2日目。そのダービーに向けて最終便ともいえるダンテ・ステークスが行われますが、初日に大量の雨が降ったヨークシャー地方、急速に馬場が回復することはなく、2日目の馬場発表は good to soft 、所により soft というもの。
ダンテ・レポートの前に、この日行われたもう一鞍のG戦、ミドルトン・ステークス Middleton S (GⅡ、4歳上牝、1マイル2ハロン56ヤード)を取り上げましょう。

初日のレポートで紹介した去年のミュジドラ勝馬ソ・ミ・ダー So Mi Dar が出走を予定していましたが、馬場を理由に取り消し。僅か4頭立てとなったメンバーの中から11対8の1番人気に支持されたのは、やや格下と目されているザ・ブラック・プリンセス The Black Princess 。今期既にシャンティーに遠征してアレ・フランス賞(GⅢ)に勝っているゴスデン厩舎の4歳馬ですが、同厩のソ・ミ・ダーに騎乗予定だったデットーリがビュイックに乗り替わって人気も上昇していました。
そのザ・ブラック・プリンセスがスタートから先手を取って逃げ、これを2番人気(6対4)で去年のBCフィリー・アンド・メア遠征勝ち以来となるクィーンズ・トラスト Queen’s Trust が2番手でマークする展開。粘る本命馬をクィーンズ・トラストが内から捉えようとしましたが、休養明けが堪えて一杯。替わって外から伸びたのが3番手を追走していた4番人気(11対1)のブロンド・ミー Blond Me で、ザ・ブラック・プリンセスを1馬身4分の1差し切っての逆転勝ちです。最後方で待機していた3番人気(5対1)で、南アフリカからスタウト厩舎に転じ、何と1年4か月ぶりで英国初出走となるスマート・コール Smart Call が首差で3着に突っ込んできました。

最低人気でGⅡ戦を制したブロンド・ミーは、アンドリュー・ボールディング厩舎、オイジン・マーフィー騎乗の5歳馬で、これが今期初戦。去年の最終戦はイタリア遠征のリディア・テシオ賞(GⅠ)11頭立て10着で、その前はトルコに遠征して現地のGⅡ戦に勝っていました。もちろんヨーロッパでのG戦は初勝利。
陣営は重馬場を克服できるとは思っていなかったようで、一番驚いたのはボールディング師自身だったのじゃないでしょうか。

そして注目のダンテ・ステークス Dante S (GⅡ、3歳、1マイル2ハロン56ヤード)。レース前の評判では、英国のダービー筆頭候補に挙げられている2戦2敗でフランケル Frankel 産駒のクラックスマン Cracksman が勝つか、ではなく、どんな勝ち方をするかが見所とされていましたが、ゴスデン師は当日の朝、さっさと取り消しを宣言。10頭立て、中心馬不在のトライアルとなってしまいました。
そんな中で4対1の1番人気に挙げられたのは、ゴドルフィンのベンバトル Benbatl 。4月2日にドンカスターでデビュー勝ちし、18日後にクレイヴァン・ステークス(GⅢ)で3着した馬で、もし勝てば16日後にダービーに挑戦しようという、相当にハードなローテーションとなる1頭です。

レースは同じゴドルフィンの勝負服で3番人気(6対1)に推されたウルフ・カントリー Wolf Country が逃げ、ベンバトルは3番手追走。直線半ば、逃げ馬が良く粘る所に外からベンバトル、内からは4番手を進んでいた7番人気(10対1)のパーミアン Permian が追い上げ、結局はパーミアンがベンバトルを4分の3馬身制してのサプライズとなりました。5番手から伸びた5番人気(8対1)のクリスタル・オーシャン Crystal Ocean が半馬身差の3着。
マーク・ジョンストン厩舎、フラニー・ノートンが騎乗したパーミアンは、これが10戦目(5勝)という経験馬。2歳の6月にデビューし、2歳時はダービーなど考えられなかったハンデキャップ・タイプでしたが、今年の春になって急成長。エプサム競馬場のダービー・トライアル(名前は立派だけれど条件戦)でクラックスマンにゴール寸前捕まって短頭差2着となり、前走ニューマーケット・ステークス(リステッド戦、戦前はダービーの重要なトライアルだったレース)に優勝。初挑戦のG戦も制してトントン拍子に出世してきました。
そもそもダービーには登録が無く、今回のダンテ・ステークスも追加登録料を支払って参戦したほど。もしダービーに出走するなら8万5千ポンドの追加登録料が必要になりますが、またとないチャンス、陣営は前向きに考えざるを得ないでしょう。ダービーのオッズは16対1が出されました。

これで愈々6月3日がダービーとなりますが、今年は混とんとしているというのが正直な印象。2000ギニー馬チャーチル Churchill は未だ出否未定ですし、出たとしても距離不安が付きまとうのはプロフィールで紹介した通り。
オブライエン厩舎には有力馬が目白押しですが、どの馬が実際に出てくるかもハッキリしていません。ここは回避して万全の態勢で臨むクラックスマンと雖も、未だG戦には出走したことも無いほど。パーミアンにもチャンスが無いとは言えないでしょう。

 

 

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