娘vs妹? 弟vs姉?

昨日は火曜日でしたが、サン=クルー競馬場で興味深いトライアルG戦が3鞍行われました。馬場は good 。

最初のクレオパトラ賞 Prix Cleopatre (GⅢ、3歳牝、2100メートル)は、言うまでもなく仏オークスのトライアル。8頭立てでしたが、ここに注目の2頭が顔を揃えました。
1頭はBCマイル3連覇の名牝ゴールディコヴァ Goldikova の娘テラコヴァ Terrakova 、そしてもう1頭が凱旋門賞2連覇の名牝トレーヴ Treve の妹テール Terre です。前者はフレディー・ヘッドが調教し、後者はクリティック・ヘッド=マーレクが調教するという、調教師も姉弟の関係にあります。母も姉も同じヘッド弟姉が管理していました。
人気は1戦1勝のテラコヴァが先行して17対10の1番人気、3戦1勝のテールは3対1で並んだ2番人気でした。

レースで先手を取ったのはテールでしたが、これをマークするようにインコースを追走していたテラコヴァが、直線で前が狭くなる不利がありながらも巧みに前を捌くと、残り1ハロンで鮮やかに突き抜け、7番人気(232対10)のパンセリア Panthelia に4分の3馬身差を付けて人気に応えました。
1馬身差で4番人気(36対5)のペニー・レーン Penny Lane が3着に入り、テールは失望の7着敗退。2頭の対決はゴールディコヴァの娘、弟ヘッドに軍配が上がりました。

マクシム・グィヨンが騎乗したテラコヴァは、母と同じウェルザイマー兄弟の所有馬。去年11月にシャンティーの1800メートルでデビュー勝し、これが今期初戦の2戦目。無傷で仏オークスに向かいます。
仏オークスのオッズは、レース前の16対1から一気に6対1と急上昇しました。母の2番仔、父はガリレオ Galileo だけに、偉大な母以上にスタミナに優れていることは確実。これまた名牝ザルカヴァ Zarkava の3着に終わった母の無念を、娘が晴らすことが出来るでしょうか。

続いてコリダ賞 Prix Corrida (GⅡ、4歳上牝、2100メートル)。ここから凱旋門賞を目指す馬が出るかもしれない、という古馬牝馬の中距離戦。8頭が出走し、去年のヴェルメイユ賞勝馬で凱旋門賞は12着に終わったレフト・ハンド Left Hand がペナルティーを背負っているにも拘わらず6対4の1番人気。シーズン初戦ですが、格が違うという評価でしょう。
7番人気(205対10)の伏兵レッドコールド Redcold が逃げ、レフト・ハンドは後方待機。3番手の内を進んだ2番人気(5対2)のアルマンド Armande が前を捉えると、後方から追い込む3番人気(61対10)のザット・ウイッチ・イズ・ノット That Which is Not に3馬身差を付ける完勝でした。2番手を進んだ5番人気(19対2)のハッグル Haggle が4分の3馬身差で3着に粘り、レフト・ハンドは外を通って追い込みに賭けましたが、ワンペースの儘6着敗退。

勝ったアルマンドはアンドレ・ファーブル厩舎、ピエール=シャルル・ブードー騎乗の4歳馬。去年4月のデビュー戦以来の勝鞍で、2勝目がG戦初勝利。仏オークスにも駒を進めましたが、進路妨害の煽りで落馬していました。前走アレ・フランス賞(GⅢ)でザ・ブラック・プリンセス The Black Princess の2着に入って成長ぶりをアピール。その時の4着が、今回の2着馬ザット・ウィッチ・イズ・ノットです。

最後はリス賞 Prix du Lys (GⅢ、3歳、2400メートル)。例年は仏ダービーに出走が間に合わなかった馬たちの断念ダービーで、仏オークス当日にシャンティー競馬場で行われてきたもの。今年もパリ大賞典のトライアルであることは間違いありませんが、仏ダービーへの可能性を持たせた辺り、フランス競馬当局がレース体系に改革を試みているのかもしれません。
これまで対戦したことも、ほとんど実績もない6頭立てという極めて難解な一戦。一応、アガ・カーンの所有馬で、前走シャンティーの2000メートルで未勝利を脱したシャキール Shakeel が2対1の1番人気。

スタートして暫くは先頭に立つ気のある馬がいませんでしたが(フランス競馬の常)、5番人気(6対1)のコールド・トゥー・ザ・バー Called To the Bar が押し出されるように先頭。シャキールは4番手の外から追い込む構えを見せましたが、逃げ馬がそのままリードを保ち、3番手の内を追走していた3番人気(9対2)のアイス・ブリーズ Ice Breeze に2馬身差を付けて逃げ切ってしまいました。更に1馬身差でシャキールは3着と届かず。
ピア・ブランド夫人が管理し、ミケール・バルザロナが騎乗したコールド・トゥー・ザ・バーは、やはり前走シャンティーの2000メートル戦で初勝利を挙げたばかり。2歳時2000メートルのデビュー戦は2着、今期初戦の2200メートルも2着で、通算4戦2勝2着2回となります。しかしこの馬はせん馬で仏ダービーはもちろん、パリ大賞典にも出走する権利はなく、追加登録料を支払ってロイヤル・アスコットのキング・エドワード7世ステークス(GⅡ)を狙う、というのが陣営の計画だそうです。
母パーフェクト・ヘッジ Perfect Hedge がペネロープ賞(GⅢ)勝馬で、仏オークスは6着というのが面白い所でしょう。

 

 

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