フェスタ2008・新日本フィル

昨日は脳味噌がとろけるような暑さの中、ミューザ川崎のフェスタ2008・新日本フィルを聴いてきました。午後6時から公開リハーサルがあり、本公演は8時から9時10分までのハーフ・コンサートです。従って休憩はありません。
リハーサルは間に合わないのですが本公演開幕までは時間があるという、やや中途半端な設定。それでも外気のあまりの暑さに、7時前にはホールに駆け込んでしまいました。ここなら涼しいし、まだ人気も疎らな客席でゆるゆると時間潰しです。
演目は以下のもの。
モーツァルト/レシタティーヴォとアリア「どうしてあなたを忘れられましょう・・・恐れないで愛しい人よ」K505
モーツァルト/歌劇「イドメネオ」~「親しい孤独よ・・・暖かいそよ風よ」
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調作品67
 新日本フィルハーモニー交響楽団
 指揮/クリスティアン・アルミンク
 ソプラノ/市原愛
 ピアノ/三輪郁(みわ・いく)
 コンサートマスター/豊嶋泰嗣
私にとって、新日本フィルはここ2年のフェスタサマーミューザで最も気に入ったオーケストラでした。響きの透明なこと、清新なアルミンクの音楽表現。特に去年のベートーヴェン/第4は、もしこのオーケストラがミューザで定期公演を打つなら、是非とも会員になりたいとまで思ったくらいでした。
ですから今回のモーツァルト/ベートーヴェン・プロも大いに期待したのですが・・・。結果はやや残念なものでした。
いや、これまで私を唸らせたオケの響きもアルミンクの意欲的な解釈も健在でしたよ。それは間違いないのですが、どうもベートーヴェンの第5に関する限り、この演奏は私の好みじゃありません。
アルミンクは、いわゆる古楽奏法を目指しています。弦楽器も小振りな編成に徹し、第2楽章冒頭のテーマに代表されるように、思い切ったノン・ビブラートでベートーヴェン像を描いていきます。
しかし第4で成功したこのスタイル、第5では如何にも物足りなく聴こえてしまうのでした。
“名画の汚れを全て洗浄し、新しい技術で蘇らせると、作品の本質がこんなに鮮やかに現われて来ます” アルミンクはそう言いたいのです。
しかし私には耳新しいだけ。第5に必要なドラマや、それに伴って生まれてくる感動もキレイに吹き飛んでしまいましたね。
前半のモーツァルトもほぼ同じ感想。感心すれど感動なし。K505のアリアは、モーツァルトが密かに思いを寄せていたナンシー・ストーレスのために書いた超難曲。オケ伴奏の他にピアノのオブリガートも付いた、一粒で二度おいしい作品なのですが、客席をひっくり返すほどには至りませんでした。
ナマ演奏の難しさと面白さ。不満はあれど、こういうことがあるのでコンサート通いは止められないんですねぇ。
あ、この日の客席は6割5分くらいの入りだったでしょうか。平日の夜8時から、という条件でこのホールを満席にするのは難しいかも知れませんね。
その聴衆の熱心な拍手に応えて演奏されたアンコールは、珍しくもメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」から間奏曲。季節柄、「真夏の夜」に相応しいアンコールでしたね。
というわけで酷暑の夕べ、期待したほどには熱くならなかったミューザ川崎でした。
やっぱりクールだ、いけめん・アルミンク! 次に期待しましょう。

 

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