フェスタ6日目・新日本フィル
25日から連続で行われてきたフェスタサマーミューザ、前半というか、6日間連続のオーケストラ・コンサート、昨日は新日本フィルの登場です。
昨日の月曜日、午前中は病院で予定を確定に切替える相談をしてきたので、仕事は休み。その話は別に書くことにして、この日も5時からリハーサルがあったのですが、合間の時間潰しが面倒なのでパス、夜8時からの本番だけを聴いてきました。
聴衆の入りは月曜日というせいも手伝って、よくないですね。読売日響とよい勝負、人気では最低クラスだったかも知れません。
いわゆるハーフコンサート、休憩なしで2曲というプロ。最初はアルゼンチンのソリスト、ソル・ガベッタを迎えてエルガーのチェロ協奏曲、後半がベートーヴェンの第4交響曲です。指揮は音楽監督のクリスティアン・アルミンク。
コンサートマスターの豊嶋氏と西江氏が並んでいますし、いつも見る精鋭がズラリ。
中々凝ったプログラムですが、先週末すみだで2度に亘って演奏してきた定期演奏会の後半の曲目です。従って今日が3度目。
これは素晴らしい演奏会でした。
新日本フィルは去年のフェスタもアルミンクの指揮で、リヒャルト・シュトラウスの英雄の生涯を取り上げました。アンコールにはヨハン・シュトラウスもやりましたっけ。
ズバリ去年のフェスタで最も素晴らしい演奏を聴かせたのはこのコンビでした。今年も「優勝」はこれで決まりじゃないでしょうか。あとN響、日本フィル、神奈川フィルが残っていますが、このレヴェルを超えるのは至難の業だと思います。
あまり細かいことには触れませんが、選曲が良かった。新日本フィルの特色である緻密な音楽作りと透明な響きが良い方向にジャストミートした感じです。このオケ、すみだやサントリーで聴くと力強さなどに若干物足りなさを感ずるのですが、ミューザではオーケストラの理想的としている姿が見えてくるようです。
エルガーを弾いたガベッタという人は1981年生まれということですから未だ26歳。愛器ジャン・バプティスト・ヴヨームを縦横無尽に駆使して、歌に満ちた高貴なエルガーを響かせました。全4楽章を些かの弛緩もなく、適度な緊張を持続させて見事でしたね。
オーケストラも、アドリブ使用のピッコロとチューバを使わず、透明なバックに徹したのが効を奏しています。このホールでは、チューバなどの助けを借りなくとも、エルガーのメランコリックな諧調がホール一杯に響き渡るのです。
アンコールがあり、ラトビアの作曲家、ペトリス・ヴァスクス Peteris Vasks (1946- ) の「チェロのための本」。最初ハイポジションでトレモロ風の音を出したので、「鳥の歌」でもやるのかと思いましたが、途中でガベッタ自らの声で歌も唄います。ヴァスクスは初めて聴きましたが、会場も大喝采でした。
続くベートーヴェン、昨日のチョン=東フィルとは対極にある演奏。弦は12型に落としていますが、音量の不足感は全くありません。むしろ響きは筋肉質に鍛え上げられ、スタッカートをやや強調しながら進めていきます。
古楽器ではありませんし、その奏法も用いませんが、ピリオド系の目指すところを巧く取り入れて、アルミンク独自のベートーヴェンを描いていたのは立派です。
全ての楽章に均質な響きと解釈を徹底し、一瞬の弛緩も見せません。居眠りする余裕なし。
なかでも第2楽章、再現部直前でファゴットのリズム、クラリネットのソロとそれを引き継ぐ弦のピアニシモは緊張の極致、ホルンのピアニシモによるハイCにミスが出たのを除けば、この日の白眉でした。
アンコールがあった分、予定が少し延びて9時半終演。お陰で帰りは土砂降りに遭遇してしまいました。チョッとアンラッキーでしたが、演奏の素晴らしさに免じましょう。
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