エルネスト・アンセルメ指揮ニューヨーク・フィル

アンセルメはスイスの指揮者ですが、フランス音楽を得意にしたマエストロでもありますので、クリュイタンスに続いて登場願いましょう。
アンセルメとニューヨーク・フィルというのはかなりレアな組み合わせだと思いますが、ニューヨークとの相性はどうだったのでしょう。登場は2度だけでした。
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1958年3月20・21・23日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/「フィンガルの洞窟」序曲
 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番
 カストロ/Corales Criollos(クリオージュのコラール)
 ドビュッシー/交響詩「海」
  指揮/エルネスト・アンセルメ
  ピアノ/マイラ・ヘス
1958年3月22日 カーネギーホール
 メンデルスゾーン/「フィンガルの洞窟」序曲
 ヒンデミット/チェロ協奏曲
 カストロ/Corales Criollos(クリオージュのコラール)
 ドビュッシー/交響詩「海」
  指揮/エルネスト・アンセルメ
  チェロ/ラスロ・ヴァルガ
1958年3月27・28日 カーネギーホール
 ボロディン/交響曲第3番
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
 マルタン/小協奏交響曲
 デュカス/舞踏詩「ラ・ぺリ」
  指揮/エルネスト・アンセルメ
  ヴァイオリン/ナタン・ミルシテイン
  ピアノ/ブルース・プリンス=ジョセフ
  ハープシコード/シルヴィア・マーロウ
  ハープ/クリスティーヌ・ストラヴァーチェ
1958年3月30日 カーネギーホール
 ウェーバー/歌劇「オイリアンテ」序曲
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
 マルタン/小協奏交響曲
 デュカス/舞踏詩「ラ・ぺリ」
  指揮/エルネスト・アンセルメ
  ヴァイオリン/ナタン・ミルシテイン
  ピアノ/ブルース・プリンス=ジョセフ
  ハープシコード/シルヴィア・マーロウ
  ハープ/クリスティーヌ・ストラヴァーチェ
《ストラヴィンスキー・フェスティヴァル~その遺産と伝説》
1966年7月9・12日 フィルハーモニックホール
 マショー/ホケトゥス
 プーランク/オルガン協奏曲
 ストラヴィンスキー/木管楽器のための交響曲
 ストラヴィンスキー/The Star Visaged
 ストラヴィンスキー/ペルゼフォネ
  指揮/エルネスト・アンセルメ
  オルガン/ピエール・コシュロー
  語り/イヴェット・ミノー
  テノール/レオポルド・シモノー
  合唱/カメラータ・シンガーズ(指揮/エイブラハム・カプラン)
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以上です。初登場で取り上げたカストロは、ヒナステラと並ぶアルゼンチンの大作曲家です。指揮者としても活躍した人です。
Juan Jose Castro (1895-1968) はアヴェラネダに生まれ、ブエノス・アイレスに没した人。指揮者としてブエノス・アイレスはもちろん、ハヴァナ、モンテヴィデオ、メルボルンでも要職を務めました。
12音技法を用いた作品が多く、歌劇は3曲残されています。そのうちの二つ、「素晴らしい靴屋の奥さん」(1943)と「血の婚礼」(1952)はガルシア・ロルカの劇作によるもの。もう一つのオペラは「プロセルピーネと異邦人」(1952年、ミラノで初演)。
他に交響曲が5曲、ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲もあります。アンセルメが取り上げた「クリオールのコラージュ」という作品は1953年の作曲で、同じタイトルによるピアノ曲の1番と2番に続くもの。強いて言えば第3番に相当するもののようです。
なお兄のホセ・マリア・カストロ(1892-1964)も作曲家兼指揮者でしたから、注意が必要です。
1966年のストラヴィンスキー・フェスティヴァルという催しは、ルーカス・フォスが芸術監督として開催された催しで、6月30日から7月23日まで、ニューヨーク・フィルによるオーケストラ・コンサートが13回、室内楽コンサートが3回開かれています。
指揮は芸術監督のフォス(4回)の他、ストラヴィンスキー自身(1回、7月23日)、アンセルメ(2回)、バーンスタイン(2回)、ロバート・クラフト(1回、ストラヴィンスキーの懐刀)、キリル・コンドラシン(2回)、リチャード・デュッファロ(1回)という内訳です。
取り上げられた作品もストラヴィンスキーに限らず、ルネサンス音楽(ガブリエリ、ジェスアルド、モンテヴェルディなど)から現代音楽まで幅広いレパートリーで構成されていました。
アンセルメが取り上げたマショーのホケトゥスは、具体的にどのような内容であったかは不明です。マショーには「ホケトゥス」というタイトルのものがいくつかありますのでネ。
またストラヴィンスキーの「The Star Visaged」というものも特定できませんでした。一般的なストラヴィンスキー作品表には掲載されていない作品名です。カンタータに「星の王」というものがありますが、これと同じか否か、全く不明。

 

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