フェスタ2008・東フィル

昨日の東京は都心部を中心に激しい雷雨。12時、2時、5時と、ほぼ2時間おきに集中豪雨に見舞われました。
オフィスを出た6時には小止みになりましたが、傘をシッカリ握って川崎に向かいます。どうやら城南地区はほとんど雨もなかったようで、結局帰りは傘が荷物になってしまいました。
今年のフェスタ、いよいよ後半戦。何故かどのオケもラフマニノフを並べ、特に協奏作品ではコンクールの様相を呈しています。
(前日のN響は都合によりパス、知人にピンチヒッターを頼みました。その知人からの電話では、客席は満席、演奏も凄く良かった由。平日の昼間、あのプログラムと指揮者でも満席にするNHKブランド、凄いモンですネ)
ラフマニノフ/ヴォカリーズ(管弦楽版)
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲
     ~休憩~
ラフマニノフ/交響曲第2番
 東京フィルハーモニー交響楽団
 指揮/尾高忠明
 ピアノ/小山実稚恵
 コンサートマスター/荒井英治
川崎に着くと、ミューザに向かう人の列が長々と続きます。エスカレーターの下で警備員が2列に並んで載るように叫んでいるほど。や、今日は大入りじゃな。
実際、客席の空席はごく僅か、ほぼ満席状態です。しかも批評家というか、意外な業界人の顔も見掛けたりして、極めて批評家率・業界人比率の高いコンサートでした。
でも何故これがそれほど人気になるのでしょうか、私にはよく判りません。
最近漸く認知されるようになりましたが、ラフマニノフ、特に交響曲がそれほど人気があるとは思えません。第2交響曲は丁度今年が初演されて100年に当たりますが、そんな「キャッチコピー」が流布しているとも思えんしネ。
ピアノの小山人気かとも思いましたが、客席の反応を見ると、どうもそうではない。
第2交響曲が終わった後の拍手大歓声を聞いて、あぁ、これは尾高を賞賛する喝采であろう、と思い至りました。
「忠さん」については日記にも何度か書いたとおり、近年の円熟が特に目立ってきたマエストロ。私もそう感じていましたが、世間一般の評価もそれに近いのでしょうな。だからマエストロお得意のラフマニノフに人気が集まった、そう解釈して良さそうです。
フェスタ・サマーミューザでの東フィルは、これまでも2時間タップリのフル・コンサートで臨んで来ました。ボスのチョン・ミョンフンが2回、桂冠指揮者である大野和士で1回。そして今年は同じく桂冠指揮者の称号のある尾高忠明。
私の好みで言わせて貰えれば、やはり今回の尾高が、このオーケストラの美点を最も良く引き出していたように思います。
メンバーを見渡して“おや、”と思ったのは、ヴィオラの頭に鈴木康浩が座っていたこと。彼は今や読売日響の顔になっていますが、前職は確か東フィルだったはず。
尾高=荒井=鈴木というラインナップは、かつての東フィルの風景でしたよね。そういうこともあって何となく同窓会、古巣帰りというリラックスした雰囲気を感じたのも嘘じゃありません。
これに加えて、ミューザ川崎の素晴らしい音響が熟成するラフマニノフのコテコテのロマン。この所の夜の寝苦しさから来る睡眠不足も手伝って、夢見心地の2時間でした。
オール・ラフマニノフの冒頭に「ヴォカリーズ」が演奏されたのではアンコールの持ち駒なし。マエストロが腕時計を指差して、“夜も更けました。疲れたのでそろそろお開きにしましょう”というゼスチャーで拍手が鳴り止んだのは9時15分。質量共に充実したフル・コンサートでした。
ただし私はこの日の曲目、極めて聴体験レヴェルの高い作品ばかり。見事なオーケストラ演奏と最高のホール空間でオーケストラ・サウンドを楽しんだことは認めても、もう一つ深く突っ込んだ演奏を懐かしく思い出したことも告白しておかねばなりません。

 

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