2017ニューマーケット・ジュライ開催3日目

今日のヨーロッパ競馬レポート、愛オークスを先にしようか、ニューマーケットから行くべきか迷いましたが、まあ、順当に英国から始めましょう。
木曜日から3日間に亘って行われてきたニューマーケット競馬場のジュライ・ミーティングも、あっという間にフィナーレです。最終日のG戦も2鞍。

3日目も馬場は good to firm 。最初は2歳馬の7ハロン戦、来年の2000ギニーを占う上で重要なサパラティヴ・ステークス Superlative S (GⅡ、2歳、7ハロン)です。10頭が出走、1戦1勝の無敗馬も3頭登録してきましたが、5対6の断然1番人気に支持されたのは、2戦目で初勝利を挙げたばかりのグスタフ・クリムト Gustav Klimt 。オブライエン厩舎が只1頭送り込んできた馬です。
無敗で3番人気(7対1)のフィニストン・ファーム Finniston Farm が逃げましたが、先行していた4番人気(10対1)のネボ Nebo が残り2ハロンで先頭。本命グスタフ・クリムトは道中他馬に挟まれるように行き場を無くし後退、これが致命傷かと思われましたが、鞍上ライアン・ムーアは内ラチ沿いに進路を変え、そこから猛追。最後はネボとの叩き合いを頭差で制して人気を裏切りませんでした。後方から追い込んだ5番人気(12対1)のグレート・プロスペクター Great Prospector が半馬身差の3着。

着差以上に強いという印象を与えて勝ったグスタフ・クリムト、カラーのデビュー戦こそ馬が若く5着でしたが、7月2日に同じカラーで大きく成長した姿を見せて初勝利。この日も一旦下がりながらも立て直して瞬発力を爆発させる強さでの勝利、間違いなく来年のクラシックを狙う1頭でしょう。
頭差という着差にも拘らず、来年の2000ギニーのオッズはレース前の16対1から7対1に、ダービーも20対1から14対1に上がりました。この馬もまたガリレオ Galileo 産駒。

ジュライ開催のフィナーレは、目玉でもあるスプリントのGⅠ戦、ジュライ・カップ July Cup (GⅠ、3歳上、6ハロン)。スプリント界ではシーズン開幕から3歳馬と古馬の混合戦が始まりますが、ロイヤル・アスコットが終わってからの短距離頂上決戦はこれが最初。古馬7頭に3頭の3歳馬が挑む10頭立てで行われました。
10対11で1番人気に支持されたのは、やはりロイヤル・アスコットで3歳馬限定のGⅠ戦コモンウェルス・カップを制したオブライエン/ムーアのカラヴァッジョ Caravaggio 、6戦6勝と言う土付かずの戦績も本命としての資格充分でしょう。去年の勝馬で5歳馬のリマート Limato が4対1で2番人気、こちらは連覇を目指します。

飛び出したのは最低人気(100対1)のインテリジェンス・クロス Intelligence Cross でしたが、これに3番人気(9対2)のハリー・エンジェル Harry Angel が加わり、各馬一団で追走。最後はハリー・エンジェルが先行したリマートを1馬身4分の1差振り切って優勝し、6番人気(28対1)の古馬ブランド Brando が半馬身差の3着に食い込みました。人気のカラヴァッジョはややスタートが悪かったこともあり、懸命に前を追いましたが捉えるには至らず、最後は4着で入線しています。
クライヴ・コックス厩舎、アダム・カービー騎乗のハリー・エンジェルは、前走コモンウェルス・カップではカラヴァッジョと4分の3馬身2着だった3歳馬で、見事雪辱を果たしました。そもそもコモンウェルス・カップのトライアルとしてサンデー・レーン・ステークス(GⅡ)に勝っていた馬で、G戦は2歳時のミル・リーフ・ステークス(GⅡ)を加えて3勝目。3着以下に落ちたことは無いという実力馬でもあります。
オーナーはゴドルフィンで、総裁のシェイク・モハメド氏はこの日が68歳の誕生日。コックス/カービー・コンビはジュライ・カップ、2013年のレーサル・フォース Lethal Force でも制しており、ボスのモハメドに飛んでもないバースデー・プレゼントを贈ったことになりました。コックス師は同馬の成長力を強調、次はヘイドックのスプリント・カップでGⅠ戦2連勝を目指します。

さて昨日もニューマーケット以外でもG戦が行われており、それはアスコット競馬場のサマー・マイル・ステークス Summer Mile S (GⅡ、4歳上、1マイル)。good の馬場に7頭が出走し、去年の勝馬で前走クイーン・アン・ステークス(GⅠ)でも2着のムタカイェフ Mutakayyef が4対7の1番人気。
5番人気(14対1)カスペルスキー Kaspersky の大逃げ(一時は後続に4馬身差)を2番手で追走したムタカイェフ、難なく逃げ馬を捉えると、そのままカスペルスキーに3馬身差を付けて2連覇達成です。3番人気(13対2)のハサル Hathal が1馬身4分の1差で3着。

ウイリアム・ハッガス厩舎、デーン・オネイル騎乗のムタカイェフは、一昨年の11月に去勢手術を施された6歳せん馬で、G戦は去年のサマー・マイルと併せて2勝目。せん馬にも出走資格のあるサセックス・ステークスでGⅠ獲りに挑むことになります。

 

 

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