2017ニューマーケット・ジュライ開催2日目
昨日の金曜日はニューマーケット競馬場ジュライ開催の中日、組まれていたG戦は2鞍です。馬場は第2レースから good to firm と更に乾き、その第2レースがダッチェス・オブ・ケンブリッジ・ステークス Duchess Of Cambridge S (GⅡ、2歳牝、6ハロン)でした。
1頭が取り消して8頭立て。今月2日に地元アイルランドでグランジソン・スタッド・ステークス(GⅢ)に勝ったばかりのクレンミー Clemmie が11対8の1番人気。もちろんエイダン・オブライエン、ライアン・ムーアのコンビです。
本命のライヴァルと目されていた2番人気(7対4)のナイアレティ Nyaleti が逃げて先手を打ちましたが、中団から脚を伸ばしたクレンミーが残り100ヤードで先頭に立つと、ライヴァルを1馬身4分の3差突き放して期待に応えました。出遅れて後方2番手を進んでいた6番人気(20対1)のマンバ・ノワール Mamba Noire が後半追い込んで半馬身差の3着。
クレンミーは前走が初勝利にしてG戦初制覇。これで2連勝でG戦にも連勝したことになります。7月3日のレポートにも記したように、今年の英愛2000ギニー2冠馬チャーチル Churchill の全妹で、当然ながら来年の1マイルは問題ないでしょう。1000ギニーのオッズはレース前の14対1から7対1に半減しました。現時点で1番人気は、同じオブライエン厩舎でディープインパクト産駒のセプテンバー September の5対1となっています。
次は愈々GⅠ狙いとなるでしょうが、直近のGⅠ戦と言えばカラーのモイグレア・スタッド・ステークス。陣営がセプテンバーとの兼ね合いをどう図ってくるかに注目が集まります。
開催2日目のもう一鞍は、GⅠ戦のフォルマス・ステークス Falmouth S (GⅠ、3歳上牝、1マイル)。各国のギニーとロイヤル・アスコットでのコロネーション・ステークスを戦ってきた3歳馬たちが、初めて古馬と手合わせするGⅠ戦。今年は5頭の3歳馬を古馬2頭が迎え撃つ構図となりました。しかし今年の古馬勢にGⅠ馬の姿は無く、頂点に立ったウインター Winter も回避したため、ここは前2走で何れもウインターを追い続けたローリー・ポリー Roly Poly が6対4の1番人気に推されていました。
一方、注目されたのは去年の2歳チャンピオン牝馬ウヘイダ Wuheida の復帰戦で、去年のマルセル・ブーサック賞を2戦無敗で制した同馬はクラシックに間に合わず、漸くここが今期初戦となったゴドルフィンのヒロインが3対1の2番人気で続きます。
スタートからウインターの幻を追うように先頭に立ったローリー・ポリー、これを追ったウヘイダが一旦は差を詰めましたが、再びギアを入れ直すと、最後はウヘイダに1馬身4分の1差を付けてGⅠ戦初戴冠です。同じく先行した4番人気(13対2)のアラビアン・ホープ Arabian Hope が半馬身差で3着。結局3歳馬が1着から5着までを独占し、このレースでは3歳馬の優位が証明されました。
ダッチェス・オブ・ケンブリッジのクレンミーに続いてG戦ダブルを達成したエイダン・オブライエン厩舎、ライアン・ムーア騎乗のローリー・ポリーは、母が愛1000ギニー馬のミスティー・フォー・ミー Mysty For Me 、血統的な背景はGⅠ馬として文句のない所でしょう。愛1000ギニー、コロネーション・ステークスと何れもウインターの2着に甘んじていましたが、チャンピオンが抜けたここでは順当な勝利と言えそうです。
実はローリー・ポリー、2歳時はグランジソン・スタッド・ステークスと、同じカードに組まれているダッチェス・オブ・ケンブリッジを連勝した馬で、今年のクレンミーと全く同じ道を歩んできました。まるで去年のビデオ・テープを見ているような開催2日目ではありました。
ところでこの日はヨーク競馬場でもG戦が一鞍行われました。サマー・ステークス Summer S (GⅢ、3歳上牝、6ハロン)は good to firm の馬場に3頭が取り消して13頭立て。7対2の1番人気に選ばれたのは、今期3戦3勝、前走もバーデン競馬場のGⅢ戦を制したドイツからの遠征馬アーティスティカ Artistica でした。
7番人気(12対1)の4歳馬フトゥーン Futoon が逃げましたが、後方に待機した9番人気(20対1)の伏兵ミスティック・ドーン Mystic Dawn が外に持ち出して追い込み、先行していた2番人気(11対2)のクイーン・カインドリー Queen Kindly を短頭差捉えるサプライズとなりました。同じく内を先行していた3番人気(7対1)のアーサ・キット Eartha Kitt が5馬身差で3着に入り、馬場の中央から一旦は先頭に立ったアーティスティカは、最後呑み込まれて6着に終わっています。1着から3着までは全て3歳馬。
勝ったミスティック・ドーンは、デヴィッド・シムコック厩舎、スティーヴィー・ダナグー騎乗。2歳の8月にブライトンでデビュー勝ちして以来の勝鞍となりました。今期はフレッド・ダーリング・ステークス(GⅢ)6着で始動し、前々走ノッティンガム、前走ヘイドックのリステッド戦で夫々10着・5着だったもの。その時の勝馬も夫々アーティスティカ、今回の4着馬バイイング・トラブル Buying Trouble だったのですから、馬券が荒れたのも止むを得ない所でしょうか。
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