2017プロムス、ファースト・ナイト

今年も始まりました。2017年プロムスのファースト・ナイトをたった今聴き終わった所。
毎年プロムスのファースト・ナイトは、そのシーズンのテーマとなる曲目が並びますが、今年はジョン・アダムスの生誕70年が最大の話題のようです。もちろんモンテヴェルディの生誕450年と言う催しもありますが、オーケストラ作品がならぶという意味ではアダムスがテーマになるのが自然でしょう。
ラスト・ナイトも含め、少なくとも5作品が取り上げられるのが今年のプロムスの聴き所です。

7月14日 ≪Prom 1≫
トム・コールト Tom Coult/St. John’s Dance(BBC委嘱作品、世界初演)
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番
     ~休憩~
ジョン・アダムス/ハーモニウム
 BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
 BBCプロムス・ユース・コール BBC Proms Youth Choir
 BBCシンフォニック・コーラス BBC Symphony Chorus
 指揮/エドワード・ガードナー Edward Gardner
 ピアノ/イゴール・レヴィット Igor Levit

今年も幕開けはBBC委嘱作品の世界初演で開幕。1番バッターに選ばれたコールトは日本ではほとんど知られていませんが、自身のホームページはこちら。↓

Home Long

来年5月にはアルディッティQにより弦楽四重奏の新作も演奏される予定だそうで、その出版社であるフェイバー社のホームページには作品解説と楽器編成やクラリネットの特殊奏法についても紹介されており、いずれはスコアも閲覧可能になるでしょう。

http://www.fabermusic.com/composers/tom-coult

指揮者が出てきただけで歓声が上がるプロムス・ファースト・ナイト、先ずは演奏時間6分ほどの新作からスタートしました。

続いてはピアノがセッティングされてベートーヴェンの第3協奏曲。コンマスがチューニングでピアノの A を叩くと拍手が起きるのも毎年恒例の光景。
ソロのレヴィットは、ナクソスのケルン室内管の全集で1番を弾いていますが、今回は3番。基本的にテンポは速いのですが、時折情感を込めてテンポをぐっと落とす解釈(第1楽章336小節からの4小節など)。ベートーヴェン自作のカデンツァも、テンポの緩急が極端で、かなり個性的なピアニストと聴きました。
第2楽章のゆったりとした演奏は、最近の若手では珍しい部類でしょう。ガードナー指揮のBBC響もティンパニを強調したダイナミックな合奏。

アンコールはベートーヴェンの第9のテーマ。リスト版の歓喜の歌とのことでしたが、インタヴューでヒューマニティーを強調していたところを見ると、ついこの間「私に敵はいない」とのメッセージを残して亡くなった「あの人」へのオマージュかと思ってしまいました。

ファースト・ナイトの後半は、アダムスのハーモニウム。作曲者初期の傑作で、シェークスピアとほぼ同時代の英国人ジョン・ダンと、南北戦争時代のアメリカ人女性エミリー・ディッキンソンという二人の異色作家の詩をテキストにしたもの。
第1楽章「Negative Love」、第2楽章「Because I could not stop for Death」、第3楽章「Wild Nights」から成り、第2楽章と第3楽章はアタッカで続けて演奏されます。スコアはAMPから出版され、私の手元にはありませんが、下記のホームページで閲覧することも出来ます。

http://www.musicsalesclassical.com/composer/work/10/23705

 

 

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