サージェントの500回プロムス再現コンサート

23日の日曜日のプロムスは昼・夜2回公演。名曲10選ということで「良いとこ取り」コンサートでした。去年も同じ趣向のプロムがありましたが、今年はパスして翌月曜日のプロムに行きましょう。
現地のペースからは1日遅れのレポートですが、この位のペースが当方は楽で宜しい。

その月曜プロム、テーマは1947年から1967年にかけて20年間に亘りプロムスのメイン指揮者を務めたサー・マルコム・サージェントを偲ぶコンサートで、サージェントがプロムスで500回目となったコンサートと同じプログラムで演奏されました。
サージェントは20年間で514回ものコンサートを指揮し、丁度500回目は1966年年に当たっていたそうです。
マエストロは1967年のラストナイトが最後の演奏会で、その3週間後に死去。今年が没後50年に当たる記念の年のコンサートでした。

7月24日 ≪Prom 13≫
ウッド/英国国歌
ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
シューマン/ピアノ協奏曲
     ~休憩~
エルガー/序曲「ロンドンの下町」
ウォルトン/ファサード組曲第1番
ウォルトン/ファサード組曲第2番~ポヒュラー・ソング
ホルスト/歌劇「どこまでも馬鹿な男」バレエ音楽
ディーリアス/春に初めてカッコウを聞いて
ブリテン/青少年のための管弦楽入門
 BBC交響楽団 BBC Symphony Orchestra
 指揮/アンドリュー・デイヴィス Andrew Davis
 ピアノ/ベアトリーチェ・ラナ Beatrice Rana

プロムスの創始者であるヘンリー・ウッドがアレンジした英国国歌で始まり、前半はフランスとドイツの名曲。後半はサージェントの十八番だった英国プログラムという構成。
前半のシューマン、当時は英国が誇る名花ムーラ・リンパニーがソロを弾いたそうですが、今回はこれがプロムス・デビューとなるイタリアの新星ラナ。
ラナは今年4月に三度目の来日(その前の2回は浜松、ラ・フォル・ジュルネだった由)をし、N響定期(ベートーヴェンの1番)、トッパンのリサイタル(ゴルトベルク変奏曲)に登場しましたから、日本で実際にその演奏に接した方も多いでしょう。私は今回の放送が初体験でした。

ラナ嬢のアンコールは、シューマンの「献呈」をリストの編曲版で。

後半はイギリスの名曲が次々に紹介されます。簡単に触れておくと、
エルガーの最後は、アルバート・ホールの名器であるオルガンも加えての堂々たる演奏。この序曲はトロンボーンを2本アド・リブで加える指示があって、その個所をスコアでは「指差しマーク」で指定しています。さしずめ現代の「絵文字」のような使い方で、先駆者エルガーと考えると笑ってしまいますね。

次のウォルトンは、第1組曲第の第4曲と第5曲の間に、第2組曲の第5曲ポピュラー・ソングを挟んでの演奏。因みに第組曲は1.ポルカ。2.ワルツ、3.スイスのヨーデル、4.タンゴ、5.タランテラですね。
ホルストとディーリアスは続けて演奏されます。もちろん間に拍手が入りますが・・・。

そしてプログラムの最後、アンドリュー・デイヴィスが赤いカーネーション(サージェントの真似だそうです)を付けて登場し、サージェントの思い出と功績を讃えるスピーチ。これに続いてサージェントが初演した作品でもあるブリテンが、ナレーション無しの変奏曲版として演奏されました。
スピーチの中でショスタコーヴィチの10番が素晴らしかったことと、サージェントはシベリウス演奏に定評があったことが紹介されていました。

実は私はクラシック聴き始めの頃にサージェントがウィーン・フィルを指揮したシベリウス・アルバムのLPを持っていて、私のシベリウス入門はサージェントの導きによるものでした。デイヴィスも恐らくこのLPを聴いていたのでは、と考えると感慨深いものがあります。
ずっと後になってから、確かクラシック・セヴンという衛星放送でサージェントのプロムス・ラスト・ナイトの録音を聴いたことがあり、その中でサージェントが客席に、“Ladies and Gentlemen, and Others !!”と呼びかけていたのに爆笑したことがありました。サージェントは日本ではほとんど評価されていませんが(一度、N響に客演したことがあったはず)、この偉大な指揮者を再認識する絶好の放送だと思います。

アンドリュー・デイヴィスの素晴らしいスピーチを含め、こういう回こそNHKでも映像をオンエアして貰いたいもの。

最後にふと気が付いたことですが、後半の英国名曲集は「引用名曲集」にもなっているのじゃないでしょうかネ。
エルガーは俗に英国の「マイスタージンガー前奏曲」と呼ばれていますし、
ウォルトンにロッシーニの「ウイリアム・テル」序曲(スイスのヨーデル)と、イギリスのミュージックホールで歌われていたポピュラー・ソング「I Do Like To Be Beside The Seaside」(タンゴ)が引用され、
ホルストはワーグナーの「パルジファル」とヴェルディの「トロヴァトーレ」が発想の源にあり、
ディーリアスはノルウェー民謡が使われ、
ブリテンはご存知ヘンリー・パーセルが主題に使われています。

 

 

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