土曜日のニューマーケットとロンシャン

昨日の日記の続きです。まずニューマーケットから。
サン・チャリオット・ステークス(GⅠ、3歳上牝、1マイル)は11頭が登録していましたが、1頭取り消して10頭立て。ビッグスリーと言っても良い、4歳のダージナ Darjina 、3歳の2頭ハーフウェイ・トゥー・へヴン Halfway To Heaven とリッスン Listen の対決に注目が集まりました。最終的な1番人気は、11対10のダージナ。
3歳の2頭はもちろんオブライエン厩舎の期待馬です。他にもこの日記でもお馴染み、スペイシャス、ナフード、ヴィジットなども出走、極めて質の高いレースでした。
結果はハーフウェイ・トゥー・へヴンが2着ダージナに半馬身差を付けて優勝、3着には1馬身遅れてヴィジットが入っています。
3強の一角で勝馬よりも支持が高かったリッスンは10着惨敗。
本命のダージナはこれで6戦連続の2着、仏1000ギニーとムーラン勝馬の勲章を提げ、これで引退します。お疲れ様でした。
勝ったハーフウェイ・トゥー・へヴンは意外にも8対1と人気を落としていましたが、これで愛1000ギニー、ナッソーに続く三つ目のGⅠ。オブライエン師に今シーズン21勝目のGⅠをプレゼントしました。
シーズンレコードであるアメリカのボビー・フランケルの25勝にあと4つと迫っていますが、微妙な数字ですね。
そのオブライエンさん、この日はロンシャンには行かず、こちらニューマーケットで愛馬の勝利を確認しています。イェーツ惨敗を見越していたのでしょうか、イギリスを選んで正解でした。
この日は名物ハンデ戦、ケンブリッジシャー・ハンデも行われています。1マイル1ハロンに28頭が出走、勝ったのは25対1という穴馬、タジーズ Tazeez という結果でした。
騎手のリチャード・ヒルズにとってはケンブリッジシャー初制覇、今日の凱旋門賞でのユームザインに弾みが付くでしょうか。
調教師のジョン・ゴスデンは、これが同レース3勝目。1994年のホーリング、去年のパイプドリーマーが共に1番人気でしたから、今回の大穴勝利も格別でしょう。
さてほとんどの競馬ファンが注目しているロンシャン。レースが行われた順に行きましょうか。できるだけ簡潔に。
ショードネー賞。8頭立て。1番人気(11対8)のシェミマ Shemima が勝ったと思った瞬間、7対2人気のワター Watar が後方一気の差し。何と2着シェミマを5馬身切って捨てました。3着は半馬身差で逃げたセンテニアル Centennial 。
調教師はフレッディー・ヘッド、騎手デイヴィー・ボニラのコンビは当たっていますねぇ~。
長距離馬ですから、このあとはロイヤル・オーク賞、来年はカップ・レースを舞台にするでしょう。来年の注目馬。
ロワイアリュー賞。13頭立て。ヴェルメイユ賞でザルカヴァの2着に健闘したダー・レ・ミ Dar Re Mi が6対4の1番人気。一旦は勝ったかに見えましたが、大外から2頭が急襲、3着に敗れました。
優勝は25対1の大穴バラデューズ Balladeuse 。2着は半馬身で40対1の超大穴トレ・ラピド Tres Rapide 、文字通り速かったですな。
勝馬はアンドレ・ファーブル調教師、オリヴィエ・ペリエのコンビです。
尚、オブライエンの3頭は10~12着と惨敗。直線で不利があった馬も。
ダー・レ・ミから測ってザルカヴァ、どうなんでしょうか。
ラ・フォレ賞。GⅠ戦。1頭取り消し(オブライエン厩舎のアストロノマー・ロイヤル)て8頭立て。
ここは13対8の本命パコ・ボーイ Paco Boy が順当勝ち。リチャード・ハノン厩舎、騎乗はクリストフ・スミオンでした。
2着は3馬身離されてナタゴラ Natagora 、3着は2馬身半差でユーエス・レンジャー US Ranger 。南アフリカの強豪キャプテンズ・ラヴァー Captain’s Lover は格上相手では荷が重かったか4着止まりでした。
勝タイムはこの15年で3番目に速く、レヴェルの高い結果です。勝ったパコ・ボーイは1400メートル(7ハロン)で5戦5勝。正にこの距離のスペシャリストですね。1マイルの仏2000ギニーとムーランが唯一の敗戦。これがGⅠ初制覇でした。
スミオン騎手は終始後ろから2番手で進み、直線でナタゴラが抜け出したところを急襲、得意の末脚が爆発しました。
ナタゴラはムーランでもパコ・ボーイと3馬身差。両馬の実力差がキチッと表れた結果でしょう。彼女はこの後アジアで走る計画も持ち上がっているようですが、今シーズンは充分走りましたから、陣営はどう判断するか。
パコ・ボーイ、来年のローテーションは難しそうですね。7ハロンは良いレースが少ないですし、GⅠのペナルティも背負わなければなりません。1マイルに行くかスプリントを選ぶか。まぁ、マイルでしょうかねぇ~。
ブリーダーズカップ出走がオーナーの意向ですが、シーズン目一杯使いましたから、厩舎筋としてはここで休ませたいでしょう。
カドラン賞。GⅠ戦。11頭立て。レース前の人気はオブライエン厩舎のエース格イェーツ Yeats とトライアルのグラディアトゥール賞に勝った障害馬カスバー・ブリス Kasbah Bliss の一騎打ち。
結果は両馬とも期待を裏切り、カスバー・ブリス4着、イェーツ5着が精一杯。
で、勝ったのはトライアルでカスバー・ブリスの2着に負けていたバンナビー Bannaby 。クリストフ・スミオンが騎乗していました。
2着は頭差でインカント・ドリーム Incanto Dream 、3着は半馬身でオリオン・スター Orion Star でした。2着馬もトライアル出走組で、カスバー・ブリスからは15馬身半も差を付けられていた馬。この結果、何をかいわんや。
去年のカドラン覇者ル・ミラクル Le Miracle も6着、ドーヴィルでケルゴレー賞に勝ったポンテ・トレサ Ponte Tresa も7着と惨敗しています。
オブライエン師の期待を裏切ったイェーツ、思えば勝ちはイギリスとアイルランドのレースだけ。海外遠征はこれで5戦、全てが凡走という結果になっています。ここでも4着のカスバー・ブリスに4馬身という決定的な差を付けられました。
来年も現役を続けるかは未定ですが、使い込むとダメなタイプかも。海外遠征もノーでしょうね。
ところで勝ったバンナビー、これまでも常に1着か2着と堅実な馬。調教師はスペインのマウリシオ・デルチャー・サンチェスさん。そう、今年のロイヤル・アスコット、キングズ・スタンドのエキアーノであっと言わせたあの人です。イギリスとフランス、短距離と長距離で二つのGⅠわ制した手腕を称えましょう。
バンナビーは当然ながら、来年のゴールド・カップを目標にします。今年5歳のステイヤー。
ダニエル・ウィルデンシュタイン賞。8頭立て。人気はイギリスの3歳馬フェイマス・ネイム Famous Name でしたが、逃げ切りを図るも3着。
優勝はジャン・マリー・ベギニェ厩舎、オリヴィエ・ペリエ騎乗のスプリト・デル・ヴェント Spirito Del Vento でした。去年に続き、このレース2連覇です。得意の末脚を活かしたペリエの好騎乗でしょう。
2着は4分の3馬身でサージュブール Sageburg 、3着とは更に1馬身半の差が付いていました。
ところで、このレースには武豊が騎乗してファンドリコンドルが出走していました。終始3番手を進む絶好の展開でしたが、勝負所でペースが上がると全く付いて行けず、6着に沈みました。勝馬とは7馬身くらいの差。
これこそ日本馬の特徴で、いざという時に瞬発力を出せないのです。ヨーロッパで調教され、芝の深いコースで走ってきた馬とのレヴェルの差は明らか。競馬はレース全体のスピードではなく、勝負所でのスピード勝負。平均ペースでは如何ともし難いのです。
メイショウサムソン、日本のマスコミは勝負になると期待を煽っていますが、過度の信頼は置かないよーに。
ドラー賞。8頭立て。人気のドイツ馬リアン・カイ Liang Kay は5着敗退。デメルキャステル厩舎のトリンコット Trincot が優勝。騎手は凱旋門賞でヴィジョン・デタに騎乗するメンディザバルくん。
2着は頭差でルー・ブレトン Loup Breton 、3着は更に2馬身遅れてザ・ボグベリー The Bogberry が入りました。
このレースの詳細はまだ入っていません。以上が土曜日の速報です。

 

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