Zark de Triomphe !

今朝の英国電子競馬新聞の見出しはこれです。
ザルカヴァの中に凱旋門賞がある、というのは以前にもこの日記で紹介しましたが、今年の凱旋門賞はザルカヴァの圧勝、正に見出しの通りでした。
第2レースのアベイ・ド・ロンシャン賞がやり直しという異常事態の中でスタートした今年の凱旋門賞デー、1番人気(13対8)に支持されたザルカヴァにも様々な「死角」を報ずるジャーナリストもおりました。
曰く、男馬との対戦は初めて、引いた1番枠が不利、馬場がこの馬には重い、血統的にスタミナ勝負の2400メートルは無理、等々。
しかしそれらは全て杞憂に終わりました。騎乗したクリストフ・スミオン騎手に言わせれば、“ザルカヴァには死角は無いヨ”。
主な結果を書けば、ザルカヴァの2着には2馬身差でユームザイン、更に半馬身差の3着はソルジャー・オブ・フォーチュンと大穴イッツ・ジーノが同着。
5着がヴィジョン・デタ、6着アスク、人気を背負ったデューク・オブ・マーマレイドは7着、ゲタウェイ8着。
一部で穴人気を集めたペイパル・ブルが12着、シャパレルリは13着といったところですね。
牝馬の優勝は1993年以来、3歳牝馬となると1982年以来の快挙です。レヴェルが低かったかと言えば、決してそんなことはないでしょう。ザルカヴァが近年希なスーパー牝馬であることは誰の目にも明らか。
アイス・クールの沈着さで知られるスミオン騎手、レース後にはヘルメットを観客席に投げ込み、デットーリばりのフライング・ディスマウントを披露しようとしたほど。
オーナーのアガ・カーンも感無量。同家の90年に及ぶ競馬史の中で、この日は最高の一瞬と発言していました。
同じアガ・カーン/ロワイヤー・デュプレ師のコンビによる2003年のダラカニの勝利を思い起こさせる優勝、パリジャン、パリジェンヌの大騒ぎが目に浮かぶようです。
ザルカヴァはこれで今シーズンは終了、来年のことはこれからジックリ検討されるようです。
去年に続き又しても2着に健闘したユームザイン、決して評価を落とすことにはならないでしょう。はるかに接戦だった去年と比べても、今年の方が良く走ったと評すべきでしょう。ただ相手が強すぎただけ。
同馬に初騎乗となったヒルズ騎手も馬の能力を出し切っています。
心情的には私が最も応援していたユームザイン、結果は大満足ですね。この馬もこれでシーズン終戦です。
3着同着で驚かせたのはドイツのイッツ・ジーノ、オッズは150対1という超人気薄ですから。凱旋門では時々、こうした予想もしなかった馬が好走することがあります。
この馬の調教師パーヴェル・ヴォフチェンコ Pavel Vovcenko によれば、次はジャパン・カップに向かう由。待っててね、日本の皆さん。
オブライエン師、2頭の敗因に馬場を挙げませんでした。ムルタ騎手も同じ。ソルジャーにしてもデュークにしてもベストのレースをしたそうですが、力及ばずでしょう。素直に敗戦を認めています。
5着のヴィジョン・デタ。これも実力通りだったと思います。エリック・リボー師は、ペースがもう少し速ければ3着か4着はあった、と。
ゲタウェイのペリエ騎手。後手を踏んでしまい、追い上げたけれどスピードが不足している、と完敗の弁。
ペイパル・ブルのスタウト師は馬場が良過ぎた、と言い、シャパレルリ陣営ももっと重くならなければ、と賛同。
で、メイショウサムソンはどうだっかというと、能力通りの結果だと思いますよ。このメンバーで10着、良くも悪くもない。事情はどうあれ、そもそもブッツケで勝とうという姿勢に疑問を感じているのですが・・・。
さて他のGⅠレース4鞍の結果。
マルセル・ブーサック賞。1頭取り消して16頭立て。去年ザルカヴァが名乗りを挙げたレースですね。
今年はクリティック・ヘッド=マーレクおばさんが調教するプロポーショナル Proportional の一人旅。2着は3馬身遅れて無敗だったエルーシヴ・ウェイブ Elusive Wave 。3着は4分の3馬身で1番人気のコッパービーチ Copperbeech という結果。オーナーはカーリッド・アブッダッラー殿下、クリティック・ヘッド=マーレクさんにとっては5勝目のマルセル・ブーサック優勝です。
ジャン=リュック・ラガルデール賞。僅か7頭立て。4対9の圧倒的支持を集めたオブライエン厩舎のマスタークラフツマン Mastercraftsman が意外や4着惨敗。
優勝はフレディー・ヘッド師のナークース Naaqoos 。2着に首差でミラネー Milanais 、3着インテンス・フォーカス Intense Focus は更に2馬身差という結果。評価が割れそうなレースですね。
オブライエン師のコメント。“渋い馬場で一つ余計なレースをさせてしまったかな。”
オペラ賞。 2頭取り消して14頭立て。

ドイツから挑戦したレディー・マリアン Lady Marian が1番人気のラッシュ・ラッシズ Lush Lashes に1馬身半の差を付けて優勝。3着はやはり1馬身半差でオックス厩舎のカティーラ Katiyra 。
ドイツの調教師ウェルナー・バルトロメイさんによると、この馬は晩生だそうで、ようやく本格化してきた由。順当な結果でしょうか。
アベイ・ド・ロンシャン賞。
冒頭で紹介した様に、予定の1時15分に発走したのですが、17番枠のフリーティング・スピリット Fleeting Spirit のゲートが開かず、スタート直後“ストップ”がかかりました。いわゆるフォルス・スタートです。
しかしスプリント戦、騎手達には何が起こったか判らず、全力で走ってしまった馬も。悲喜劇だったのは15番枠のオーヴァーダズ Overdose 、ハンガリーからの挑戦で言葉が通じません。現場では“Stop は、ハンガリー語で何というんだ”というパニックに。結局オーヴァーダズは先頭でゴールインしたのですが、当然ながら無効。
直ぐにやり直しを、という声もあったのですが、結局は予定されていたレースが全て終了してからの再戦で決着。
最後に笑った調教師は当たりに当たるヘッド師。本命に支持されたマルシャン・ドール Marchant D’Or の快勝です。
2着は1馬身半でムーアハウス・ラッド Moorehouse Lad 、3着は1馬身でボーダースコット Borderscott と順当。
当初は20頭立てのレースでしたが、最初の一戦で全力を使い切った哀れなオーヴァーダズなど3頭は結局再戦参加は不可能で取り消し、17頭立てで行われました。
収まらないのはハンガリーの調教師シャンドール・リバルスキ Sandor Ribarszky さん。“我々は1700キロを遠征してビタ一文にもならん。うぃーあー・べりー・あんはっぴー。”
ルールとは言え、こういうこともあるんですねぇ~。

 

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