2017ブリーダーズ・カップ2日目

初日の4鞍に続き、2日目のブリーダーズ・カップ・シリーズは全てGⅠ戦の9鞍。土曜日はベルモントとチャーチル・ダウンズでもG戦が行われましたが、ここはデル・マー競馬場のBCシリーズだけで纏めておきましょう。
先に結果を言ってしまうと、9鞍のBCの内、本命が勝ったのはマイルのワールド・アプルーヴァルだけ。全体としては荒れた印象で、やはり小回り馬場から生まれた結果だったと言えそうです。

GⅠ戦9連発の前に、BCの前座として行われたゴールディコヴァ・ステークス Goldikova S (芝GⅡ、3歳上牝、8ハロン)の結果を先に取り上げます。BCシリーズではないものの、firm の馬場に14頭が揃い、登録があったBCを取り消してこちらに回ったキッテンズ・ロアー Kitten’s Roar が3対1の1番人気。

12番人気(49対1)の伏兵マリブー・ステイシー Malibu Stacy の逃げを4番手で追走したキッテンズ・ロアー、期待に応えて抜け出すと、6番手から追う10番人気(22対1)のサンダリング・スカイ Thunderling Sky に2馬身4分の1差を付けて人気に応えました。8番手を進んだ僅差2番人気(3対1)のオン・リーヴ On Leave がハナ差の3着。
マイケル・メイカー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のキッテンズ・ロアーは、これがG戦初勝利となる5歳馬。前走カナダのGⅠ戦(E・P・テイラー・ステークス)で2着しており、ここでは実績上位の1頭でした。

そして、ここからがBCシリーズ。分量も多いので、一つ一つについて余り詳しくは立ち入りませんので悪しからず。二日目の第一弾はブリーダーズ・カップ・ジュヴェナイル・フィリーズ Breeders’ Cup Juvenile Fillies (GⅠ、2歳牝、8.5ハロン)。fast の馬場に13頭が出走し、3戦無敗、デル・マー・デビュタントとシャンデリア・ステークスとGⅠ戦を2連勝のムーンシャイン・メモリーズ Moonshine Memories が2対1の1番人気。
そのムーンシャイン・メモリーズがスタートから飛ばして逃げましたが、2番手に付けた4番人気(8対1)のアルアリング・スター Alluring Star が執拗にマーク。遂にはアルアリング・スターが第4コーナーで本命馬を捉えて先頭で直線に入りましたが、9番手に付けていた7番人気(17対1)の伏兵カレドニア・ロード Caledonia Road が外から末脚を爆発させ、粘るアルアリング・スターを3馬身4分の1差突き放す圧勝でサプライズを演じました。最後方を進んだ11番人気(30対1)のブロンド・ボンバー Blonde Bomber が首差の3着と、こちらも意外な馬。人気のムーンシャイン・メモリーズは7着に敗れ、初黒星です。
レイフ・ニックス厩舎、マイク・スミス騎乗のカレドニア・ロードは、9月3日にサラトガでデビュー勝ち。前走2戦目のフリゼット・ステークス(GⅠ)で2着していました。ニックス師はBC初勝利、対してスミス騎手は史上最多のBC26勝目となりました。

二つ目のブリーダーズ・カップ・ターフ・スプリント Breeders’ Cup Turf Sprint (芝GⅠ、3歳上、5ハロン)、去年のサンタ・アニタは6.5ハロンの特殊なコースですが、デル・マーでは平坦の5ハロン。12頭が出走し、2年連続のヨーロッパ遠征でG戦に3勝しているレディー・オーレリア Lady Aurelia が4対5の断然1番人気。地元アメリカでは負けられません。
4番人気(11対1)のピュア・センセーション Pure Sensation が逃げ、レディー・オーレリアは4番手からいつでも抜け出す構え。しかし素晴らしい末脚を繰り出したのは5番手に付けていた10番人気(30対1)のストーミー・リベラル Stormy Liberal で、2番手でマークしていた5番人気(13対1)のリチャーズ・ボーイ Richard’s Boy を頭差捉えての逆転劇。11番手から追い込んだ2番人気(5対1)のディスコ・パートナー Disco Partner が半馬身差の3着に入り、レディー・オーレリアは10着大敗に終わりました。
勝馬と2着馬は、共にピーター・ミラー厩舎、ロッキンガム・ランチが所有する馬で、これがBC初制覇のミラー師にとっては思いもかけないワン・ツー・フィニッシュとなりました。勝馬はジョエル・ロザリオ騎乗。勝ったストーミー・リベラルは5歳せん馬で、今年5月にサンタ・アニタのデイトナ・ステークス(芝GⅢ)でG戦初勝利。そのあと6月にベルモントのジャイプル・ステークス(芝GⅢ)で8着に敗れ、BCは5か月の休養明けでした。人気が無かったのも当然でしょう。

続いても短距離のBCで、今度は牝馬によるダート・コースのブリーダーズ・カップ・フィリー・アンド・メア・スプリント Breeders’ Cup Filly & Mare Sprint (GⅠ、3歳上牝、7ハロン)。ここも14頭と多頭数となり、G戦4連勝を含む5連勝中のユニーク・ベラ Unique Bella がイーヴンの1番人気。前のレディー・オーレリアほどではないものの、BCの中では固い本命馬でしょう。
そのユニーク・ベラがスピードは桁違いとばかりに逃げましたが、BCの特殊な雰囲気に呑まれたか、第4コーナーでは早くも一杯。ペースが速いこともあってか、前半は後方2番手で待機していた12番人気(66対1)のバー・オブ・ゴールド Bar of Gold が猛然と追い込むと、5番手から抜けた8番人気(18対1)のエイミーズ・メサ Amie’s Mesa をハナ差捉えての又してもサプライズ。6番手を進んだ10番人気(20対1)のカリーナ・ミア Carina Mia が1馬身差の3着に入り、ユニーク・ベラは7着敗退。ターフ・スプリントに続いて大波乱の短距離戦となってしまいました。
ジョン・キンメル厩舎、イラッド・オルティス騎乗のバー・オブ・ゴールドは、これがG戦初勝利となる5歳馬。3歳時にはテスト・ステークス(GⅠ)で2着した実績もありましたが、今期はサラトガの一般ステークス(ヤッドー・ステークス)に勝ち、プレスク・アイル・ダウンズ・マスターズ(GⅡ)2着、前走スピンスター・ステークス(GⅠ)6着を経て参戦した穴馬でした。

続いては、ヨーロッパ勢が5頭も参加したブリーダーズ・カップ・フィリー・アンド・メア・ターフ Breeders’ Cup Filly & Mare Turf (芝GⅠ、3歳上牝、9ハロン)。去年は10ハロンでしたが、今年はコースの関係で1ハロン短くなっての開催です。有力なヨーロッパ組にも拘らず、去年の勝馬で目下3連勝、その中にはゲイムリーとダイアナと二つのGⅠ戦を含んでいるレディー・イライ Lady Eli が3対2の1番人気。
ここは13番人気(37対1)の伏兵ジペッサ Zipessa が逃げましたが、3番手を進んだ3番人気(11対1)のヴヘイダ Wuheida が第4コーナーで外から先頭に立つと、10番手追走から直線では内ラチ沿いギリギリを猛追する2番人気(5対1)のロードデンドロン Rhododendron を1馬身抑えて優勝。2番手でマークしていた4番人気(11対1)のカンボジア Cambodia が4分の3馬身差で3着に入り、人気のレディー・イライは又しても7着敗退に終わりました。
英国のチャーリー・アップルビー厩舎、ウイリアム・ビュイックが騎乗したヴヘイダは、もちろんゴドルフィンが所有する3歳馬。去年のマルセル・ブーサック賞勝馬で、GⅠ戦は2勝目となります。今期は調性が遅れ、夏のフォルマス・ステークス(GⅠ)2着から始動し、ドイツ・オークスで3着、マトロン・ステークスとオペラ賞が共に4着で、これが今期初勝利でもあります。

再び短距離のBCに戻り、ブリーダーズ・カップ・スプリント Breeders’ Cup Sprint (GⅠ、3歳上、6ハロン)は少なめの10頭立て。7対5の1番人気に支持されたのは、去年の勝馬で前走フォアゴー・ステークス(GⅠ)も制しているドレフォング Drefong 。今度こそ本命が制するでしよう。
2番人気(4対1)のインペリアル・ヒント Imperial Hint が逃げ、ドレフォングは6番手から。しかしこの日のデル・マーは魔物が住んでいたのでしょうか、大本命は動けず、2番手追走の3番人気(9対2)のロイ・エイチ Roy H が逃げ馬を捉えると、そのまま1馬身差で優勝。最後方から追い込んだ5番人気(9対1)のマインド・ユア・ビスケッツ Mind Your Biscuits が2馬身差の3着に入り、ドレフォングは6着敗退に終わりました。
この日二つ目のBC制覇となったピーター・ミラー厩舎、ケント・デサーモ騎乗のロイ・エイチは、前走サンタ・アニタ・スプリント・チャンピオンシップに続いてGⅠ戦2連勝で短距離のチャンピオンに就きました。

二日目6番目のBCは、これまたヨーロッパ勢が強い芝のブリーダーズ・カップ・マイル Breeders’ Cup Mile (芝GⅠ、3歳上、8ハロン)。6頭のヨーロッパ馬が揃いましたが、5対2の1番人気に支持されたのは地元アメリカのワールド・アプルーヴァル World Approval 。ここ2戦ともGⅠ戦(前走はカナダGⅠですが)で優勝している絶好調の強豪です。
10番人気(23対1)ミッドナイト・ストーム Midnight Storm の逃げを5番手で追走したワールド・アプルーヴァル、第4コーナーで3番手に押し上げると、直線は外を通って突き抜け、熾烈な2着争いに1馬身4分の1差を付けて堂々人気に応えました。これがこの日のBCで本命馬が制した最初のレースです。2着は4番手を進んだ6番人気(13対1)のランカスター・ボンバー Lancaster Bomber が、頭差で12番手から急襲した9番人気(19対1)のブラックジャックキャット Blackjackcat を抑えていました。
マーク・カッセ厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のワールド・アプルーヴァルは、これで3連勝の5歳せん馬。フォースター・デイヴ・ハンデ、カナダのウッドバイン・マイルと、GⅠ戦も3連勝となります。姉のミエスクス・アプルーヴァル Miesque’s Approval もBCマイルの覇者で、姉弟制覇の偉業達成でもあります。

今年のBCも残り3鞍、2歳チャンピオン決定戦のブリーダーズ・カップ・ジュヴェナイル Breeders’ Cup Juvenile (GⅠ、2歳牡せん、8.5ハロン)は12頭立てとなり、デル・マー・フューチュリティー、フロントランナー・ステークスとGⅠ戦に連勝し、3戦3勝のボルト・ドロ Bolt d’Oro が3対5と1本被りの大本命。
アイルランドのオブライエン厩舎が敢えてダートコースに挑戦させた3番人気(7対1)のユーエス・ネイヴィー・フラッグ U S Navy Flag が逃げましたが、やはり馬場が不慣れか第4コーナーでは一杯となり、替わって2番手追走の4番人気(9対1)ソロミニ Solomini が先頭で直線。9番手と後方に置かれていた本命ボルト・ドロも追い上げに掛かりましたが、4番手に付けていた6番人気(11対1)のグッド・マジック Good Magic の末脚が勝り、粘るソロミニに4馬身4分の1の大差を付ける逆転劇です。1馬身差の3着に、漸く人気のボルト・ドロが入り、又しても本命馬敗退となりました。
チャド・ブラウン厩舎、ホセ・オルティス騎乗のグッド・マジックは、何とレース前は未勝利馬だった馬。サラトガのデビュー戦で2着、2戦目にシャンペン・ステークス(GⅠ)に挑戦して2着でしたから、単なる未勝利馬ではありませんが・・・。何れにしても今年の2歳馬戦線は混沌としているようです。

最後から2番目は、ヨーロッパ馬が最も力を入れているブリーダーズ・カップ・ターフ Breeders’ Cup Turf (芝GⅠ、3歳上、12ハロン)。スタウト厩舎・デットーリ予定のユリシーズ Ulysses が直前に取り消して13頭立てとなり、去年の勝馬ハイランド・リール Highland Reel が7対5の1番人気。ここ2戦は重馬場で能力が活きませんでしたが、firm のカリフォルニアなら先行力は上位でしょう。
去年は逃げ切ったハイランド・リールですが、今年は逃げず、8番人気(22対1)の地元馬オスカー・パフォーマンス Oscar Performance の逃げ。3番手を進んだハイランド・リールが外から、2番手でマークしていた2番人気(3対1)のビーチ・パトロール Beach Patrol が内ラチ沿いに抜け出しましたが、2頭の間を割って伸びたのが5番手に付けていた5番人気(14対1)のタリスマニック Talismanic 。最後はビーチ・パトロールに半馬身差を付けて差し切り、首差でハイランド・リールは3着でした。又しても1番人気は敗れ、連覇も成りません。
アンドレ・ファーブル厩舎、ミケール・バルザロナ騎乗のタリスマニックは、去年の仏ダービー4着、パリ大賞典5着の4歳馬。今期はモーリス・ド・ヌイイ賞(GⅡ)に勝ち、前走フォア賞(GⅢ)が3着で、凱旋門賞は使わずにここ1本に絞っていました。アメリカの平坦コース、小回りコースの方が適しているのでしょう。ファミリーは日本にも関係が深く、4代母はディープインパクト、レイデオロと共通する近親馬でもあります。

何とか今年のブリーダーズ・カップもフィナーレに辿り着きました。ブリーダーズ・カップ・クラシック Breeders’ Cup Classic (GⅠ、3歳上、10ハロン)は11頭立てで、ここ2戦思わぬ敗戦を喫したものの、やはりアロゲート Arrogate が2対1の1番人気。同じ2対1ながら、ライヴァルのガン・ランナー Gun Runner が2番人気で続きます。
例によってガン・ランナーが積極的にスタートから先頭に立ち、アロゲートは離れた6番手。直線に向いてもアロゲートは前との差を詰められず、スタンドから悲鳴が飛び交う中、ガン・ランナーは終始2番手で絡み続けた(一旦は馬体を接したほど)4番人気(5対1)のコレクテッド Collected を2馬身4分の1差振り切っての逃げ切り勝ちです。これも3番手を進んだ3番人気(4対1)の3歳馬ウエスト・コースト West Coast が1馬身4分の1差で3着に入り、アロゲートは5着同着と又しても期待を裏切ってしまいました。オブライエン厩舎が敢えて挑戦したチャーチル Churchill も、6番人気(19対1)で7着に終わっています。スタート直後に両側から挟まれるような流れになった事も不利でした。
スティーヴン・アスムッセン厩舎、フロラン・ジェルー騎乗のガン・ランナーについては解説不要。これで4連勝、GⅠ戦も4連勝ですから、年度代表馬に選ばれるのは間違いない所でしょう。

以上、駆け足になりましたが、ブリーダーズ・カップも無事に終了しました。日本からの参戦が無いのは残念でなりません。

 

 

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