日本フィル・08年12月東京定期聴きどころ
いよいよ師走、12月の東京定期が近付いてきました。恒例のポイント・トピックです。
12月はギュンター・ヘルビヒの指揮、プログラムは、①ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番 ②シューベルト/交響曲第8番「ザ・グレイト」 の2曲。
ヘルビヒは今回が3回目の東京定期登場です。最初が第508回でシューベルトとブルックナーの二つの「未完成交響曲」というプログラム、2回目は第530回でのブルックナー第8でした。
508回の時は、現在も続いている企画「マエストロサロン」の第1回に当たっていました。サロンにも今回が三度目の登場になります。
データに触れる前に、今回のベートーヴェンでピアノ・ソロを弾くゲルハルト・オピッツは何度も来日しているドイツの本格派。確か奥様が日本人という知日家ですが、日本フィルの定期演奏会には初登場となります。得意のベートーヴェンに期待しましょう。
さて、
データ面から見た今回のプログラムについて。まずベートーヴェン。
日本フィルの600回を超える定期演奏会で、その作品数が最も数多く演奏されている作曲家は誰だと思いますか。答はモーツァルト。その58作品が取り上げられているのですね。これに続く第2位が、実はベートーヴェンなのです。その作品数は25曲。
因みに、このあとはシベリウス(20曲)、ストラヴィンスキーとハイドン(共に19曲)、プロコフィエフ(18曲)と続くのです。意外だ、と思われる作曲家。納得、と頷く作曲家もおりますね。
ベートーヴェンの25曲の内訳は、交響曲が9曲、協奏曲が7曲、序曲6曲、ミサ・ソレムニスとで23曲。残り2曲は、合唱幻想曲と弦楽四重奏曲第9番からアダージョとフーガを弦楽合奏にアレンジしたものです。個々には演奏会の記録集で確認してください。
事の序でですから、ベートーヴェンの25曲の演奏回数ベスト5を抜き出して見ましょうか。結果はこうです。
第1位 14回 交響曲第3番
第2位 12回 交響曲第7番
第3位 10回 ピアノ協奏曲第4番
第4位 9回 交響曲第4番
第5位 8回 交響曲第9番とピアノ協奏曲第3番
「運命」「田園」「皇帝」などがベスト5に入っていないのは、名曲シリーズなどに回ることが多いからでしょう。第4交響曲の健闘は意外でした。
ということで、本題のピアノ協奏曲第3番に辿り着きました。今回が9回目の東京定期登場となり、第4交響曲と並んで第4位に浮上することになります。
これまでの8回も列記しておきましょうか。
1.第96回 渡邉暁雄 ガブリエル・タッキーノ
2.第164回 小澤征爾 松浦豊明
3.第189回 ズデニェーク・コシュラー マックス・エッガー
4.第234回 齊藤秀雄 内田光子
5.第273回 森正 荒憲一
6.第365回 オッコ・カム エレナ・ギレリス
7.第386回 渡邉暁雄 迫昭嘉
8.第437回 小林研一郎 小山実稚枝
なかなか多彩な顔ぶれですね。私は何故か第96回のタッキーノが記憶に残っています。初めてライヴで接した故でしょうか。
後半はシューベルトです。
シューベルトそのものについては、2008年9月のポイントでも紹介しましたので、ここでは省略します。
以前は第9とも第10とも、あるいは第7とも称された作品ですが、要するに「ザ・グレイト」。現在は第8という番号に落ち着いているようです。その経緯についてもここでは触れません。
日本フィルの「ザ・グレイト」は、これまで8回演奏された記録があります。今回が9回目の登場。これまでの8回の記録を列記しましょうか。
1.第31回 渡邉暁雄
2.第127回 渡邉暁雄
3.第173回 ウイルヘルム・ロイブナー
4.第254回 山岡重信
5.第290回 スタニスラフ・マツーラ
6.第424回 広上淳一
7.第481回 大野和士
8.第560回 マルティン・ジークハルト
第424回の広上、当時は何物か全く知らず、聴かずにパスしたのが悔やまれます。尤も後に録音を聴く機会がありましたし、他のオーケストラとの共演に接して溜飲を下げましたが。
あとはなんと言っても第560回でしょう。如何にもウィーンのシューベルトという感じがして感激しました。
今回のヘルビヒ、やはりドイツ風の演奏になるのでしょうか。このところ海外では名声が鰻昇りのマエストロ、日本では今一つ話題にならないようですが、ジックリ聴いてみようと考えています。
最近のコメント