日本フィル・第620回東京定期演奏会

昨日は久し振りにサントリーホールに出掛けました。実際には5月11日に聴いているので2週間チョッとのご無沙汰でしたが、何処か懐かしい気持ちに襲われたのは演奏・曲目の所為かも知れません。

ドヴォルジャーク/チェロ協奏曲
     ~休憩~
ドヴォルジャーク/交響曲第8番
 指揮/小林研一郎
 チェロ/王健(ジャン・ワン)
 コンサートマスター/扇谷泰朋
 フォアシュピーラー/江口有香

日本フィル、6月定期の指揮者は、先般同オケから桂冠指揮者の称号を贈られたばかりのコバケンこと、小林研一郎。4月に古希を迎えたマエストロでもあります。

創立指揮者・渡邊暁雄亡き後の日本フィルを牽引してきた最大の功労者は小林でしょう。今回の称号はその功績を称えたものですが、最近の変貌著しい日本フィルにとっては一つの区切りという側面もあろうかと思慮します。
小林研一郎/日本フィルという看板、そろそろ最終章を迎えつつあるなという感想を持ったのも正直な告白です。

今回のドヴォルザーク、コバケンのやや限定されたレパートリーの中では私が初めて体験したものです。予想はしていましたが、マエストロ独特の粘り腰が特徴で、ファンには堪らない魅力となっていました。
それは客席の反応でも明らかでしたね。

協奏曲を弾いたジャン・ワンは1968年中国生まれですが、アメリカ在住。私も何度か聴いた覚えがありますが、相変わらず達者なドヴォルザークを披露してくれました。
小林マエストロとの息もピッタリなようで、最後はお互いの演奏を讃え合います。

アンコールがあり、何処かで聴いたような懐かしさを誘う音楽。ドヴォルザークの望郷を織り込んだ名曲の後に相応しい一品です。(小林マエストロも楽員たちと一緒に耳を傾けていました)
このアンコール曲、以前にもジャン・ワンのアンコールとして聴いた記憶がありますが、何時、何処でだったでしょうか。
その時は“長江の春”という勝手なタイトルを想像しましたが、正しくは「二泉映月」という中国の古謡だそうで、中国人なら誰でも知っているメロディーなのだとか。

素晴らしい音楽を紡ぎだした楽器は、千六百何年か製のアマティだそうです。故ソー・ウィン・ラム氏の家族かの篤志によって貸与されている楽器。

後半の第8交響曲。特に第3楽章以降のマエストロの想いは何処までも深く、コバケンは何を演奏しても「望郷の音楽」になってしまう、というのが私の感想。
特に第3楽章は、“どうすればあんな風に遅く、コッテリと演奏できるのだろう”という程に独特な解釈。小林研一郎という指揮者への好き嫌いの分かれ目でしょうか。
当然ながら日本フィルの定期会員はコバケン・ファンが圧倒的に多く、会場も盛大な拍手でマエストロを迎えました。

いつものようにスピーチ、今回は桂冠指揮者としての挨拶。“普通は定期演奏会ではアンコールしないんですが・・・” と言いつつ演奏したのは、第8交響曲の最後のコーダをもう一度。要するに“Rから” ですな。

後で聞いた話では、当初は別のアンコール曲を用意してリハーサルもしてあった由。急遽本番間際でフィナーレに変更されたのだそうです。でもあれで正解だったでしょう。
もし予定していた曲だとしたら、チョッと??? になったでしょうからね。

何の曲っ、てか・・・。それはヒ・ミ・ツ 。

日本フィルは好調を堅持。ホルン、トランペット、フルート、クラリネットなど見事な演奏で客席を沸かせましたが、1番オーボエを担当した新人の杉原由希子の明るい音色が特に私の耳に快く響いたことを報告しておきましょう。

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