今日の1枚(12)

どうも腰の具合が思わしくないので、散歩の時間を遅らせました。体調が良ければ上野に行こうと考えていましたが、無理は禁物、断念です。
で、昨日の続きのトスカニーニ。ビクターが開発したK2レーザーカッティングによるリマスタリング・シリーズの第28巻「管弦楽名曲集」。
全てアルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団、RCA原盤で品番は BVCC-9938(74321-45645-2) 。

①ワルトトイフェル/スケーターズ・ワルツ
②ウェーバー=ベルリオーズ/舞踏への勧誘
③ポンキエルリ/歌劇「ジョコンダ」~時の踊り
④スッペ/喜歌劇「詩人と農夫」序曲
⑤ベルリオーズ/「ファウストの劫罰」~ラコッツィ行進曲
⑥ヨハン・シュトラウス/美しく青きドナウ
⑦バッハ/管弦楽組曲第3番~G線上のアリア
⑧グルック/歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」~精霊の踊り
⑨ベートーヴェン/「エグモント」序曲
⑩メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」~結婚行進曲

録音データは、
①1945年6月28日 カーネギーホール
②1951年9月28日 カーネギーホール
③1952年7月29日 カーネギーホール
④1943年7月18日 NBC 8-H スタジオ(放送録音)
⑤1945年9月2日 NBC 8-H スタジオ(放送録音)
⑥1941年12月11日、1942年3月19日 カーネギーホール
⑦1946年4月8日 カーネギーホール
⑧1946年11月4日 NBC 3-A スタジオ(放送録音)
⑨1953年1月19日 カーネギーホール
⑩1947年11月4日 カーネギーホール
古い順に並べ替えると、
⑥④①⑤⑦⑧⑩②③⑨。
このディスクは昨日の序曲集に比べると玉石混交の感があります。もちろん「玉」の方が多いですけど。録音のレヴェルも全体的に序曲集よりムラがあって、曲毎にオーケストラのイメージがガラッと変わりますから、通して聴くと面食らうかも。
例によって気の付いたこと。

①電気的なエコーを加えた録音で、多少の違和感があります。スコアが無いので細かいことは判りません。カーマス版は5000円もするので手が出ない。

②前の曲より新しい録音で、はるかに聴き易いのですが、強音ではオーバーフロー気味。たくさんある繰り返しは、第128小節から199小節までを省略しているだけで、他は全て実行。最後のチェロ・ソロのパッセージで(411小節)四分音符二つを八分音符二つに書き換えています。

③繊細の極みと言える素晴らしい演奏。単なる小品を超えてます。最初の序奏部からの完全演奏。「昼の時の入場」の合唱はカット。

④聴衆の入った演奏。これも電気的に残響を加えていますが、むしろ成功しています。トスカニーニの唸りが凄い。速いパッセージにピッコロを追加(216と218小節、これの繰り返しに相当する319と321小節、但し319は演奏の加減で聴き取り難い)しているのが実に効果的。

⑤これも聴衆入り、最後には拍手も収録されています。繰り返しは全て実行し、最後のリタルダンドも慣習通りに実行。

⑥これはトスカニーニの名誉にはなりません。所謂ジンタで、品格に欠けた演奏。トライアングル、シンバル、トランペットをスコアに無い場所で書き加えていますが、これが返って興醒め。珍品の部類でしょう。

⑦現在では聴かれなくなったバロック演奏。繰り返しは前半も後半も実行し、最後の1小節半からリタルダンドがかかります。解説の表記は「G線上の」となっていますが、普通に「アリア」を演奏。

⑧これも楽譜が無いので細かい点は判りません。フルート奏者の名前はクレジットされていません。

⑨録音年度が新しい割には、出だしなど荒れた感じ。82小節の弦のリズム動機から良好な音質に変わりますが。主部最後の275小節からのリズム強調が印象的。

⑩繰り返しは1箇所(14小節から29小節)を除いて全て実行。
ブックレットの曲目解説があまりにも簡素。「トスカニーニ・ベスト・セレクション」と謳っている以上、演奏を聴いてから解説を書くべきじゃないですかね。トスカニーニならではの演奏が多々あるんですから。尤も、1枚1000円という値段じゃ無理かも。

参照楽譜
①なし
②オイレンブルク No.831
③日本楽譜出版 No.213
④オイレンブルク No.678
⑤オイレンブルクの全曲版 No.994
⑥オイレンブルク No.822
⑦ペータースの組曲合本 Nr.578
⑧なし
⑨ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.44
⑩オイレンブルク No.804

 

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