今日の1枚(11)
昨日は腰痛で散歩を休んでしまいましたが、座っているのが良くないので散歩再開。幸いにして暖かく、外出には問題ないようです。
今日は歴史的には「交響曲の日」と言いたくなるほどで、ブラームスの第2交響曲、ブルックナーの第7交響曲、ハチャトゥリアンの第2交響曲が夫々世界初演された日です。
今日の1枚は、フルトヴェングラーが続いたので、対抗馬としてトスカニーニに手が出ました。今日から4日ほどの予定。
順序には何の意図も無く、ただ棚に並んでいた順に過ぎません。最初はこれ、
トスカニーニ・ベスト・セレクションから27巻の「オペラ序曲集」。
全てアルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団。RCA原盤で、品番は BVCC-38042 (74321-45644-2) 。
①ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
②ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
③トマ/歌劇「ミニョン」序曲
④スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲
⑤エロール/歌劇「ザンパ」序曲
⑥モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
⑦ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」序曲
⑧ドニゼッティ/歌劇「ドン・パスクァーレ」序曲
⑨ヴェルディ/歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
⑩ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
トスカニーニの録音にはプロデューサーやエンジニアの名前がクレジットされているものは少ないようで、これにも一切記録はありません。大半が放送用の録音かライヴのせいでしょう。録音年月日と会場は記されています。纏めると
①1952年1月3日 カーネギーホール
②1952年11月10日 カーネギーホール
③1952年7月29日 カーネギーホール
④1946年11月17日 NBC 8-H スタジオ(放送録音)
⑤1952年8月5日 カーネギーホール
⑥1947年11月8日 NBC 8-H スタジオ(放送録音)
⑦1944年12月10日 NBC 8-H スタジオ(放送録音)
⑧1951年10月5日 カーネギーホール
⑨1942年1月24日 NBC 8-H スタジオ(放送録音)
⑩1952年8月5日 カーネギーホール
要するにNBCスタジオの放送録音とカーネギーホールでの録音が混在してます。古い順に並べ替えると、
⑨⑦④⑥⑧①③⑤⑩②となり、スタジオのものが古く、ホールのものは新しいということになります。ザンパとオベロンが同じ日の演奏。
録音のレヴェルは日付に正直で、新しいものほど良くなります。特にカーネギーホールでの録音は当時のハイファイ録音。トスカニーニ・ファンでなくとも十分楽しめるレヴェルですね。
特に「運命の力」、「魔弾の射手」、「オベロン」などは文句の付けようがない名演奏。オケがまた滅茶苦茶上手いです。
一々細かいことは触れませんが、気の付いたこと。
①トスカニーニの唸り声が聴こえます。
②ここではトスカニーニが楽員に小声で指示している様子が入っています。練習記号Gに入る直前(ハープに乗ってクラリネットが出るところ)。“レガート!”と言っているようにも聞こえますが、ハッキリ聞き取れません。
③練習記号Bからのアンダンテ。何とも柔らかいホルンが見事。トスカニーニの演奏はヒステリックで固いという評価を完全に覆す箇所でしょう。練習記号Hからの盛り上げも凄い。
④最後の最後(460-461小節)の木管合奏にホルンを加えているように聞こえますが、録音が古くて判然としません。だとしたら、ホルンの巧いこと!!
⑤トスカニーニは、こういう作品を決して軽い音楽とは捉えていません。その見本のようなシンフォニックな名演。
⑥極めて速い演奏。この序曲はかつてビーチャム卿が “理想的な半熟卵が出来るテンポで、” と言いましたが、トスカニーニの演奏では未だゆる目の出来か。
⑦聴衆が入った演奏。第210小節と211小節のティンパニが1拍目でなく2拍目に移動しています。恐らく sf の位置に合わせたのでしょう。歌劇の全曲演奏盤と同じもの。
⑧リコルディの全曲スコアとは微妙に異なる演奏。コーダでは2小節少ない。恐らく別の版(カーマスか)によるものと思われます。
⑩序奏にティンパニは加えていませんが、コーダの木管にはホルンを重ねています。
こういうディスクをスコアを見ながら聴くのは結構大変で、スコアを探して来るのが一苦労。
参照楽譜
①オイレンブルクの全曲版 No.915
②オイレンブルク No.1107
③日本楽譜出版 No.43
④ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.72
⑤カーマス指揮者用 A1588
⑥オイレンブルクの全曲版 No.916
⑦オイレンブルクの全曲版 No.914
⑧リコルディの全曲版 PR 1382
⑨オイレンブルク No.1108
⑩オイレンブルク No.607
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