今日の1枚(74)

昨日の暖かさから一転、今朝はまた寒風が吹いています。いつもは煩いヒヨドリやメジロも何となく大人しい。鳥も寒いんでしょうか。
今日は来週の予習、たった45年前の新しい録音を取り上げます。

ベートーヴェン/ミサ・ソレムニス作品123
ソプラノはエリザベート・ゼーダーシュトレーム、アルトはマルガ・へフゲン、テノールがワルデマール・クメント、バスはマルティ・タルヴェラという独唱陣。合唱はウィルヘルム・ピッツ指揮ニュー・フィルハーモニア合唱団。管弦楽はオットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団の演奏です。

EMIの録音で、Great Recordings of the Century というアビー・ロード・テクノロジー(ART)を使った新しいマスタリングで復刻したCD。品番は 5 67547 2 、1枚に収められています。トータル79分半。
録音は1965年9月30日と10月1日、10月4日から8日、更に10月11日から13日まで、都合10日間も使って録音されたもの。ロンドンのキングスウェイ・ホールでの収録です。
プロデューサーは Peter Andry 、エンジニアは Robert Gooch 。

クレンペラーの録音は、フィルハーモニアの演奏会に合わせて収録されたものが多く、これもその1枚のようです。
クレンペラーの「ミサ・ソレムニス」の正規スタジオ録音は2種類あって、これは新しいステレオ盤。旧録音はアメリカ・ヴォックス盤で、ウィーン交響楽団を指揮していました。最初からLPで発売されたモノラル録音。
ミサ・ソレムニスを正規に二度以上録音している指揮者は、クレンペラーの他にはベームとカラヤンくらいなものじゃないでしょうか。それほど指揮者にとっても難しい作品ですし、レコード会社にとっても商売になり難いものなのでしょう。

クレンペラーの新盤は1965年のものだけあって録音は優れていますが、合唱の大曲の録音はそもそも困難を伴うもの。所々でオーバーフロー気味になってしまうのは止むを得ません。

クレンペラーの常として、対抗配置を採用しています。左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンの順。コントラバスは左奥。
独唱は女声が指揮者の左手、男声は右手に纏まっており、合唱は後方、ソプラノとテノールが左、アルトとバスが右という配置のようです。

取っ付き難い作品と演奏ですが、何度か聴く内にジワジワと良さが判ってくる種類のもの。今日1日聴いてお終い、というような性格のものではありません。これからも折りある毎に聴きたい演奏。
クレンペラー/フィルハーモニアのEMI録音は、古いものは演奏に活気があるものの録音がいかにも古く、新しいものは録音は優れているものの演奏が超スローで付いて行けないものが多いようです。
その点このミサ・ソレムニスは丁度中間で、演奏・録音とも充実した名盤だと思います。

尚、このCDはグローリアが3箇所、クレドも3箇所、サンクトゥスとアニュス・デイは夫々2箇所にトラックが付けられています。
作品の構成上も適切な箇所ですが、クレドだけは疑問あり。(本盤は188小節、Et resurrexit ですが、構成からは264小節がベターじゃないでしょうか)

参照楽譜
オイレンブルク No.951

 

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