今日の1枚(3)

今日はプッチーニの誕生日だったり、ベートーヴェンの第5・第6などが世界で初めて鳴り響いた日だったりと選択に迷うのですが、これです。
マーラー/交響曲第10番嬰へ長調「アダージョ」。何でマーラーかは察しが良い人にはバレバレ、明日の曲も判っちゃいますね。
ディスクはCBSソニーの DC671-2 。ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
同じマーラーの第9交響曲と組み合わされた2枚組みの2枚目。第9の第4楽章の後に収録されていますが、聴くのはアダージョだけ。26分20秒かかっています。
第9共々、録音は1984年4月13・14・16日、ウィーンのムジークフェライン・ザール。
プロデューサーは Steven Epstein 、エンジニアが Bud Graham によるディジタル・ステレオ盤。
マゼール/ウィーン・フィルによるマーラー全集の1枚ですが、マゼールは第10に関してはアダージョだけしか録音しない主義なんでしょう。
そもそもマーラー協会は第10完成版は認めていませんから、マーラー協会版スコアもアダージョしか出ていません。ブルーノ・ワルターなんかこのアダージョの出版すら反対でしたね。マーラーは現場主義の人、演奏の結果を踏まえて改訂を繰り返した作曲家ですから、たとえ一楽章は完成しているとは言え、出版には否定的だったんでしょう。
マゼール盤は、音だけ聴く限りでは弦楽器の並びに特徴がありますね。対抗配置と称してよいのでしょうが、向かって左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンの順に音が聴こえてきます。コントラバスは右奥。
従って、冒頭のヴィオラ群は中央左寄りから出てきます。
クライマックスの不協和音から登場するハープは左側から。
マゼールの指揮はいかにもユダヤ系の演奏という感じですが、頭は常に冴えていて、作品の構成を見通せるようなドッシリしたもの。
録音も極めて優秀で、最後の強音でもうるささは全くありません。
世評はどうか知りませんが、私には最も落ち着いて聴けるマーラー。
参照楽譜 ユニヴァーサル(マーラー協会の全集版11巻a) UE13880

 

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