ウィーン国立歌劇場公演「ラ・ボエーム」

気が付けば早いもので、12月も今週はクリスマス。ということで、ウィーン国立歌劇場からのライブ・ストリーミングもプッチーニの「ラ・ボエーム」が始まりました。23日からクリスマスまでの3日間、思い切りオペラの最高傑作を楽しみましょう。
放映中の「ラ・ボエーム」は12月19・22・25日の3日間公演のうち、中日の二日目。クリスマス前の日曜日に行われた公演で、最終日はクリスマス当日に当たっています。このオペラ、最初の二つの幕はクリスマス・イヴのお話ですから、欧米ではクリスマスの定番。「ラ・ボエーム」の無いクリスマスなんて考えられません。

もう一つこの日の公演で意味があるのは、実際に現地で行われたのが12月22日であること。そう、この日はプッチーニの誕生日に当たっているのですね。正に時期を得たライヴ、ここはウィーン国立歌劇場とオッタヴァ・テレビに拍手を送りましょう。キャストは次の通り。

ロドルフォ/ステファン・ポップ Stefan Pop
ミミ/イリーナ・ルング Irina Lungu
マルチェルロ/マルコ・カリア Marco Caria
ムゼッタ/マリアム・バッティステリ Mariam Battistelli
ショナール/サミュエル・ハッセルホルン Samuel Hasselhorn
コルリーネ/ライアン・スピード・グリーン Ryan Speedo Green
ブノワ&アルチンドロ/マルクス・ペルツ Marcus Pelz
指揮/マルコ・アルミリアート Marco Armiliato
演出/フランコ・ゼッフィレルリ Franco Zeffirelli
衣装/マルセル・エスコフィエ Marcel Escoffier

当初の発表ではサイミール・ピルグのロドルフォとアニタ・ハーティヒのミミでしたが、主役は二人とも替わりました。ミミがルングに交替することは事前に判っていましたが、ロドルフォの交代は余程急だったようで、幕が開く前にマイヤー総裁が舞台挨拶し、変更を発表しています。ドイツ語なので良くは分かりませんが、多分そういうことでしょう。

演出は、世界中の主要歌劇場でロング・ランを続けているゼッフィレルリの名舞台。恐らくこの演出は何処かで接しているファンが大半で、ボヘミアンが暮らす屋根裏部屋、カルチェ・ラタンの賑わい、パリ郊外の冬景色などリアルにして未だに新鮮。誰もが納得の舞台に安心感が広がります。
ゼッフィレルリは今年6月15日、96歳で亡くなりましたから、追悼公演でもありましょう。

プッチーニの誕生日、クリスマス直前のボエームで急遽ロドルフォを任されたポップはこの秋、日本ツァーを敢行したばかり。若い頃のパヴァロッティもかくや、と思うばかりの美声に酔った方も多いでしょう。ピンチヒッターとは言えイタリアの歌劇場が奪い合う程の売れっ子が登場するあたり、さすがウィーンです。自身のホームページによると、ロドルフォはパルマでデビューしたばかりで、その合間を縫って急遽ウィーンに駆け付けたのではないでしょうか。
この日のロドルフォも絶好調。役への没入の仕方も半端じゃなく、幕切れで流した涙をカーテンコールにまで持ち込んでいました。将来のオペラ界を背負って立つ大スターの瑞々しい歌唱を心行くまで楽しめます。

方やミミを歌うルングは、ロシアのソプラノ。ウィーンにはヴィオレッタでデビューしているそうで、2017年に新国立劇場でもヴィオレッタを歌っていますから、日本のファンにもお馴染み。
マルチェルロ、ムゼッタ、ショナール、コルリーネもウィーン国立歌劇場のアンサンブルを固める安定のアンサンブル。ここは素直にウィーンからのクリスマス・プレゼントを楽しみましょう。

休憩を挟んでの後半、第3幕と第4幕はハンカチを忘れずにストリーミングをお楽しみください。

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