バッティストーニのニューイヤー2020
1月最後の土曜日、私としては珍しく「ニューイヤー・コンサート」を聴いてきました。ニューイヤーと言ってもシュトラウス一家の音楽ではなく、イタリア式のニューイヤー・コンサート。
先ずは曲目と出演者を紹介しておきましょう。
プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」より「冷たい手を」「私の名はミミ」「愛らしい乙女よ」
ビゼー/歌劇「カルメン」より「ハバネラ~恋は野の歌」
オッフェンバック/歌劇「ホフマン物語」より「舟歌」
プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」より「恋とはどんなものかしら」
プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」
~休憩~
チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」
チャイコフスキー/大序曲「1912年」
管弦楽/東京フィルハーモニー交響楽団
指揮/アンドレア・バッティストーニ
ソプラノ/木下美穂子
メゾ・ソプラノ/清水華澄
テノール/小原啓楼
司会/浅岡聡
このコンサートは文京シビックホールが主催している「響きの森クラシックシリーズ」の一環で、通算70回目。東京都文京区と東フィルとの提携事業でもあります。文京区役所内にあるシビックホールが今年開設20周年を迎えるそうで、その記念シリーズの一つでもある由。私は以前、一度このシリーズに出掛けたような記憶がありますが、何を聴いたかなどは忘れてしまいました。
メインキャスター浅岡氏の司会進行で進められ、もちろん出演者へのインタヴューも挟まれます。バッティストーニとのトークでは、イタリアで一般的な「ニューイヤーコンサート」はウィーンとは異なり、今回のような歌を中心とし、オーケストラの名曲も取り上げるスタイルとのこと。この日の曲目も、登場する歌手の人選も全てバッティストーニが決めたのだそうで、正に「バッティーのニューイヤー」でありました。
東フィルの首席指揮者バッティストーニ、わが国オペラ界でも大活躍のバッティーにとって、木下・清水・小原の3人はベスト・チョイスでしょう。これまでも名作オペラで素晴らしい舞台を創ってきた仲間達でもあります。
客席はほぼ満席に近く、聴き手の平均年齢はかなり高そう。マチネー、誰でも一度は聴いたことのある名曲・懐かしいメロディー、そして人気アーチスト揃い踏み。オペラから大管弦楽まで一粒で二度美味しい豪華プログラムとあって、年配夫婦や家族連れ、友人同士というグループが多かったのも納得がいきます。
ボエームは木下と小原のソロとデュエット、カルメンはもちろん清水のソロ。ホフマン物語は木下と清水のデュエットが聴け、蝶々夫人・フィガロ・トゥーランドットは3人夫々得意のアリアで客席を沸かせます。トゥーランドットでの合いの手は、舞台裏で木下と清水が花を添えるという豪華演出もありました。
前半の最後は3人の歌手たちにもインタヴュー。せっかく3人が揃ったのですから、アンコールも。曲は、もちろん「椿姫」から「乾杯の歌」でありました。バッティーに促されて客席も手拍子で参加する楽しいひと時。
後半はチャイコフスキーの有名な序曲を二つ。バッティストーニはこうしたプログラムでも手を抜くことはなく、前半ではわざわざチンバッソを使い、後半は普通にチューバ。
ゆっくりした部分では情熱たっぷりに歌い上げ、早い個所ではスピード感に溢れたスリリングな棒さばきで盛り上げるチャイコフスキー。1812年では8人のバンダをずらりと並べ、シビックホールの20周年を祝しました。
演奏時間2時間15にも及ぶお得なコンサートでしたが、最後は来場した人全員に「文京サブレ」のプレゼントも。文京区の形をしたクッキーに、区内の名所を焼き込んであるご当地もの。
たまにはこういう楽しいコンサートも良いものですな。
最近のコメント