ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(3)
ウィーンのアーカイヴ・シリーズ、今日はプッチーニの「トスカ」を紹介しましょう。ウィーでは(でも、と言うべきか)トスカが大人気で、去年5月にオッタヴァ・テレビがライブストリーミングを開始してから早くも4本目のトスカとなりました。
思い出すままに挙げると、去年6月、つまり前シーズンの最後に放送されたのが最初で、新シーズンの11月に今期一回目がライブストリーミングで楽しめました。そして閉鎖期間中のアーカイヴとして21日(日本時間)には2015年12月5日の公演、そして今日(24日)は2019年2月17日の舞台も見ることが出来ました。この後も27日には去年6月の公演が配信されることになっています。(本来ならこの時に今シーズン2回目のトスカが上演されるはずでした)
27日のものは実際にライブで放映された時に小欄でも感想を書いていますので、今回のアーカイヴとしてはここで纏めておきましょう。閉鎖期間中の2回分に付いてのキャストは、
2015年12月5日の公演
トスカ/マリア・ホセ・シリ Maria Jose Siri
カヴァラドッシ/ロベルト・アラーニャ Roberto Alagna
スカルピア/ミヒャエル・フォレ Michael Volle
アンジェロッティ/ライアン・スピード・グリーン Ryan Speedo Green
堂守/アルフレード・シュラメク Alfred Sramek
スポレッタ/ベネディクト・コーベル Benedikt Kobel
シャルローネ/ハンス・ペーター・カンマラー Hans Peter Kammerer
看守/イル・ホン Il Hong
羊飼い/ニコラウス・プラウゼ Nikolaus Prause
指揮/ダン・エッティンガー Dan Ettinger
演出/マルガレーテ・ヴァルマン Margarethe Wallman
舞台装置/ニコラ・ブノワ Nicola Benois
2019年2月17日の公演
トスカ/ソンドラ・ラドヴァノフスキー Sondra Radvanovsky
カヴァラドッシ/ピョートル・べチャワ Piotr Beczala
スカルピア/トーマス・ハンプソン Thomas Hampson
アンジェロッティ/ライアン・スピード・グリーン Ryan Speedo Green
堂守/アレクサンドルー・モイシウク Alexandru Moisuuc
スポレッタ/ベネディクト・コーベル Benedikt Kobel
シャルローネ/イゴール・オニシュチェンコ Igor Onischhenko
看守/アイク・マルティロッシアン Ayk Martirossian
羊飼い/レベッカ・レンネルト Rebekka Rennert
指揮/マルコ・アルミリアート Marco Armiliato
演出/マルガレーテ・ヴァルマン Margarethe Wallmann
舞台装置/ニコラ・ブノワ Nicola Benois
ということで、これまで見たウィーンの「トスカ」は全て同じ演出、舞台です。同じと言っても歌手により、あるいはその時の流れで細部の動きや小道具などは微妙に異なります。もちろん指揮者によっても違いがありますから、その辺りの聴き比べも楽しみということになりましょう。
ここからは個人的な感想で、これまでトスカは彼方此方で色々見てきましたが、今はスカルピア役に大いに惹かれますね。従って、音楽的にも演技の上からも第2幕が最大の見所・聴きどころではないかと考えています。
幸いウィーンからの中継では4回ともスカルピアは異なっており、大変興味深い聴き比べとなりました。
この役は憎らしければ憎らしいほど真に迫ったスカルピアになるわけで、その意味では2015年のフォレは正に適役だと感服しました。その憎々しさにずる賢さが加わったのがブリン・ターフェルのスカルピアで、これは去年の11月にライヴで配信されたトスカです。詳しくは感想を。
最新の、というか今日(24日)一日限りで見られるトスカで歌うスカルピアはトーマス・ハンプソンで、彼の場合、本当は善人なのでは、と思ってしまうのは私だけでしょうか。(どうしてもジョルジョ・ジェルモンの印象が強いんですよね)
トスカはどの回も客席の沸きようが大変なもので、べチャワがカヴァラドッシを歌う2019年2月の公演では「星は光りぬ」を二度歌わなければ客席の喝采が収まらないほど。
27日に放映される予定の去年6月の公演では、同じくべチャワはアリアを二度歌い、演奏後には宮廷歌手の称号授与式も行われます。ネタバレになってしまいますが、去年からオッタヴァの会員なられている方はご存じでしょう。
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