ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(6)

今日もウィーンからのアーカイヴ・シリーズで、モーツァルトの「フィガロの結婚」を見ました。実は去年5月にオッタヴァ・テレビがウィーン国立歌劇場のライブストリーミング配信を開始してから、何とモーツァルトは今回のフィガロが初登場でした。
本来なら今期のウィーンでは5月に予定されている「コジ・ファン・トゥッテ」のプレミエと、レパートリー上演のフィガロ、ドン・ジョヴァンニ、魔笛がモーツァルト演目の全て。この内ストリーミングが計画されているのは5月末のドン・ジョヴァンニだけです。その意味では、同演出・別キャストのフィガロが2本見ることが出来たのはラッキーだったと言えましようか。

その2本、配信された順番で言うと、3月28日(日本時間)に見ることが出来たのが2017年9月15日の公演、
アルマヴィーヴァ伯爵/カルロス・アルヴァレス Carlos Alvarez
伯爵夫人/ドロテア・レッシュマン Dorothea Roschmann
スザンナ/アンドレア・キャロル Andrea Carroll
フィガロ/アダム・プラチェツカ Adam Plachetka
ケルビーノ/マルガリータ・グリツコヴァ Margarita Gritskova
マルチェリーナ/ウルリケ・ヘルツェル Ulrike Helzel
ドン・バジリオ/パヴェル・コルガティン Pavel Kolgatin
ドン・クルツィオ/ペーター・ジェロシッツ Peter Jelosits
ドン・バルトロ/ライアン・スピード・グリーン Ryan Speedo Green
アントニオ/イゴール・オニシュチェンコ Igor Onishchenko
バルバリーナ/マリア・ナザロヴァ Maria Nazarova
指揮/アダム・フィッシャー Adam Fischer
演出/ジャン=ルイ・マルティノティ Jean-Louis Martinoty
舞台装置/ハンス・シェイヴァーノッホ Hans Schavernoch
衣装/シルヴィー・ド・セゴンザック Sylvie de Segonzac
照明/ファブリス・ケブール Fabrice Kebour

そして今日(3月31日)配信されているのが2016年6月28日の舞台です。
アルマヴィーヴァ伯爵/ルカ・ピサローニ Luca Pisaroni
伯爵夫人/レイチェル・ウィリス=ソレンセン Rachel Willis-Sorensen
スザンナ/ヴァレンチナ・ナフォルニツァ Valentina Nafornita
フィガロ/アレッシオ・アルドゥイニ Alessio Arduini
ケルビーノ/マリアンヌ・クレバッサ Marianne Crebassa
マルチェリーナ/ウルリケ・ヘルツェル Ulrike Helzel
ドン・バジリオ/トーマス・エベンシュタイン Thomas Ebenstein
ドン・クルツィオ/ペーター・ジェロシッツ Peter Jelosits
ドン・バルトロ/ソリン・コリバン Sorin Coliban
アントニオ/ミハイル・ドゴターリ Mihail Dogotari
バルバリーナ/アンニカ・ゲルハルズ Annika Gerhards
指揮/コルネリウス・マイスター Cornelius Meister
演出/ジャン=ルイ・マルティノティ Jean-Louis Martinoty
舞台装置/ハンス・シェイヴァーノッホ Hans Schavernoch
衣装/シルヴィー・ド・セゴンザック Sylvie de Segonzac
照明/ファブリス・ケブール Fabrice Kebour

フィガロに付いては何も付け加えることはないでしょう。今回も続けて見て、最高傑作、実に良くできた舞台作品だと改めて感服しました。ストーリーも荒唐無稽ながら隙が無く、音楽は完璧。
笑いの中に涙あり、これほど聴く人を豊かな気持ちにさせてくれるオペラは他にないのではないか。

個人的には2箇所、いつも泣いてしまうところがあります。一つは第3幕、フィガロの素性が明らかになる場面で、ここで伯爵派(4人)対伯爵夫人派(3人)の立場が逆転し、伯爵夫人派が優位に立ちます。別に泣く要素はないのですが、私はここ、ダメですね。今回も思わず胸が一杯になってしまいました。
もう一ヵ所は大団円、ドタバタが一段落して伯爵が謝罪する場面。“Contessa perdono” でモーツァルトが配した音楽は、6度上昇の意表を突く上行音程。これに伯爵夫人が許しの5度上昇で答える。ここで涙しない人は、よほど鈍いとしか思えません。

ということで二種類の公演を見ましたが、2016年の公演で指揮しているマイスターは、今月まで読響の首席客演指揮者を務めていたマエストロです。読響のポストとしての最後の定期(2020年2月)は残念ながら中止になってしまいましたが、思わぬところで再開できました。
しかしながら最初に放映された2017年の公演の方が、上演回数を重ねている分、アンサンブルの地密度は上だったように思います。

ウィーン国立歌劇場の閉鎖期間は延長され、現地ではアーカイブ放送も継続するようです。オッタヴァでは未発表ですが、同じフィガロも2014年の公演が配信されるかもしれません。
現状では未だ未だ閉鎖が続く情勢。5月に予定されているコジのプレミエ、ドン・ジョヴァンニのライブストリーミングが実現するのか、固唾を呑んで見守っているところです。

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