ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(20)

今日は、ウィーン国立歌劇場のアーカイヴ配信としては2本目のロッシーニ「アルジェリアのイタリア人」です。前回、2015年4月の公演は独立した記事で紹介しましたから、作品の荒筋などはそちらをご覧ください。
今回はそれより2年後、2017年4月8日に行われた模様で、ズルマ役とタッデオ役以外は全て入れ替わりました。指揮者もコボスからピドに替わっています。

ムスターファ/アダム・プラチェツカ Adam Plachetka
エルヴィーラ/ヒラ・ファヒマ Hila Fahima
ズルマ/レーチェル・フレンケル Rachel Frenkel
ハーリー/ラファエル・フィンガーロス Rafael Fingerlos
リンドーロ/マクシム・ミロノフ Maxim Mironov
イザベラ/マルガリータ・グリツコヴァ Margarita Gritskova
タッデオ/パオロ・ルメッツ Paolo Rumetz
指揮/エヴェリーノ・ピド Evelino Pido
演出及び舞台装置/ジャン=ピエール・ポネル Jean-Pierre Ponnelle

2015年の映像はモノラル録音でしたが、今回はステレオ。舞台狭しと飛び回る歌手たちの動きも手に取るように判ります。

リンドーロを歌うミロノフは、「シンデレラ」でもドン・ラミロを歌っていたリリック・テナー。ウィーンでも大変な人気で、実際ピュアで引き締まった声を聴かせてくれます。
ムスターファのプラチェツカも、フィガロや「愛の妙薬」でのドゥルカマラでウィーンではお馴染み。コミカルな役には欠かせない存在でしょう。
イザベラのグリツコヴァはケルビーノ、「こうもり」でのオルロフスキー。エルヴィーラのファヒマも「アリオダンテ」のダリンダ、「ファルスタッフ」のナンネッタでエキゾティックな容姿で魅了してくれます。
因みにミロノフ以外は全員がウィーン国立歌劇場のアンサンブル歌手たちで、手作り感一杯のロッシーニが楽しめました。

「アルジェリアのイタリア人」は、一般のファンには序曲以外のフル・スコアの入手が困難です。そこでヴォーカル・スコアですが、ペトルッチ楽譜ライブラリーに掲載されているものは19世紀の極めて古いもの。そこで、有料ではありますが nkoda で閲覧できるリコルディのクリティカル・エディションをお勧めしましょう。これを見ながら聴いていると、カットは極めて僅かで、ほぼ原典通りの上演であることが判りました。
音源もNMLでは8種類もの全曲盤が配信されており、聴き比べして楽しむという手もありますよ。

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