東京籠城日記(16)

前回の籠城日記でコンセルトヘボウのマーラー・フェスティヴァル、グラインドボーン音楽祭のアーカイヴ配信、オペラヴィジョンのユーチューブ・チャンネルなどを紹介しましたが、今日はその続編、見たもの聴いたものなどを報告しておきましょう。

先ずコンセルトヘボウですが、今日(5月10日)現在でマーラーの交響曲第1番と第2番が配信されています。コンセルトゲボウオルケストというチャンネルですが、1番から9番、大地の歌の順に順次放映されていきます。今年のマーラー・フェストの日程に合わせているようで、実際にアムステルダムにいる気分になるように工夫されているのでしょう。
第1番はマリス・ヤンソンス、第2番はダニエレ・ガッティの指揮で、私も二日連続で見てしまいました。映像で見ていると新たな発見もあって、コンセルトヘボウの木管楽器の配置は、普通のオケとは違ってクラリネットとファゴットが逆に並んでいるんですね。昔からそうだったんでしょうか、最近のことなんでしょうか。

コンセルトヘボウ・チャンネルに付いては、今回のコロナ禍から始まったわけではなく、以前から時々全曲演奏も配信されていました。マーラーを見た序と言ってはナンですが、イヴァン・フィッシャーが指揮するベートーヴェンの第5と第7も見てしまいました。時期は別の映像です。
使っている管楽器、特にクラリネットが面白いのですが、ビックリしたのは第5のトロンボーンですね。初めのうちは何処にいるのかと思っていましたが、終楽章に入ると、舞台正面に5台並んだコントラバスの後ろで立って演奏しているじゃありませんか。それも3人が左右中央とかなり離れて位置しており、現在を予感したようにソーシャル・ディスタンスが取られているのに思わず苦笑。こんな並びは初めて見ました。

コンセルトヘボウと対抗するように、昨日からロンドン交響楽団も過去のアーカイヴ映像を配信し始めています。今のところ2作品で、最初はマイケル・ティルソン・トーマス指揮のもの、続いてゲルギエフ指揮の演奏会がそのまま流れるようです。
これは一日限定の配信のようで、トーマスの演奏会はもう見ることが出来ません。私は昨夜見たのですが、ユジャ・ワンをソリストに迎えたガーシュウィンのピアノ協奏曲が楽しめました。アンコールではユジャとトーマスの連弾でプーランクを弾くサービスも。今夜はゲルギーのベルリオーズ(ロメオとジュリエット)が見れるようですから、見たい方は時間に注意してユーチューブ・チャンネルに設定しておいてください。

もう一つ面白かったのが、オペラヴィジョン。こちらは5月の配信がロシア・オペラ特集だそうで、様々なオペラハウスで公演された舞台が順次放映されていきます。一日限定のものではないので慌てることはなさそうですが、オペラ好きは早目に見ておいた方が良いかも。
私は昨日、モスクワ国立スタニスラフスキー・オペラの「スペードの女王」を見てしまいました。画面右下隅の歯車マークをクリック、字幕欄をポチッとし、自動翻訳を選ぶと多数の言語があいうえお順に表示されます。その一番最後が漢字の日本語ですから、これを選びましょう。自動翻訳ですから変な訳になるのは仕方ありませんが。凡その内容は理解できますからご安心を。

モスクワのチャイコフスキーはラザレフ指揮ですから、そのダイナミックな音楽が楽しめます。ティンパニの豪打は圧巻。演出はモダンというか風変わりなものですが、新しい演出のプレミエ映像のようですね。カーテンコールではラザレフと共に演出家以下も勢ぞろいしていました。
このチャンネルのロシア特集、既にベルリン・コミッシェ・オーパーのオネーギンも配信中ですが、このあと「ムツェンスクのマクベス夫人」「見えざる町キテージの物語」「戦争と平和」「ボリス・ゴドゥノフ」に交じって「トリスタンとイゾルデ」も配信される予定です。オペラ・ファンは要チェック。

なおウィーンは「魔弾の射手」の配信が始まりましたが、この演目は別キャストの映像が5月20日から3日間放映される予定。感想はその時に纏めますのでヨロシク。

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