イドメネオの謎

どうしてもこれは書いておかねば、と考えて前の記事「ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(38)」への追加です。

昨日から配信されているウィーン国立歌劇場アーカイヴのモーツァルト「イドメネオ」、今朝もう一度復習しようと思って書棚の奥に眠っていたスコアを引っ張り出して見始めました。手元のスコアは、その昔アカデミアで購入したカーマス社から出版されていた旧モーツァルト全集の復刻版で、品番は No.417 というもの。最近のモーツァルト全集は一度も手に取ったことがありません。

第1幕は順調、第11場の行進曲は繰り返しを省略して演奏している以外は特に変わったこともないな、と第2幕へ。ところがここで愕然。ここは手元のスコアでは第2幕はイドメネオとアルバーチェの会話から始まり、アルバーチェのアリアへと進むのですが、ウィーンの公演では全く違う場面が演じられているではありませんか。そもそもアルバーチェのアリアは全部カットされていますしね。
おや、何処かカットしたのかなと思ってページを繰っていると、何とこれは第3幕の冒頭であることに気が付きました。そう、イリアがイダマンテへの愛を告白する場面で、イリアのアリア「そよ吹く風」が歌われ、イダマンテが登場して愛の二重唱へと進む。つまり第3幕第1場と第2場、通し番号で言うと第19番と20番が歌われ、次は本来の第2幕冒頭のイドメネオとアルバーチェのシーンへ。

ここで個人的にはパニックに陥ります。このあと画面はイダマンテの装飾付きのアリアへと進むのですが、手元のスコアにはそんな楽曲は出てきません。何じゃこりゃ。
この後見続けるのは断念し、イドメネオの異稿・改訂に関する資料を探すべくネットで色々検索してみましたが、埒が空きません。ペトルッチの楽譜サイトは手元のカーマス版しか掲載されていないし、nkoda はイドメネオを題材にしたアンサンブル曲しか配信していないようです。

もしやリヒャルト・シュトラウス版かと思って海外のウィキペディアにも当たってみましたが、どうやらこれはエレットラを巫女に置き換えたもののようで第2幕と第3幕のすり替えなどはなさそう。
この「イドメネオの謎」、御存知の方はおられるのでしょうか? ウィーン国立歌劇場の公式ホームページで過去の公演記録や作品紹介を探してみても、今回のホルテン演出に付いて詳しく書かれたものは見当たりませんでした。

「イドメネオ」が上演される機会は少ないと思いますが、最新のイドメネオ事情はどうなっているのでしょう。べーレンライター新全集ではどうか。今回のアーカイヴ配信は誠に刺激的で、好奇心をそそること間違いなし。

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