ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(40)

3月中旬から始まったウィーン国立歌劇場のアーカイヴ配信、当ブログの紹介記事も40本に到達してしまいました。他に単独で項目を立てた演目もありますし、同じ作品を何種類かの公演で見たものもありますから、僅か2か月半ほどの間に一生を通じて見るであろう数のオペラを体験してしまうことになりました。ネットを通してとはいえ、このシリーズを見続けている人は一端のオペラ通と言えるかもしれませんね。

モーツァルト週間の合間を縫って、今日はドニゼッティの喜劇「連隊の娘」です。ドニゼッティがフランス語の台本に作曲し、パリで初演。当時の大ヒット作で、開幕前の舞台前に下げられた仕切り幕には、初演された年号である1840年と書かれてます。開演前にシッカリ確認しておきましょう、ということか。
ナポレオン戦争時代のスイス・チロル地方が舞台で、駐屯しているフランス軍に拾われて育てられた娘(実は貴族の子供)の物語。ストーリーは各自確認してください。今回のものは2016年9月25日に行われた舞台で、配役はこんな具合でした。

マリー/ジュリー・フックス Julie Fuchs
トニオ/ジョン・テジエ John Tessier
ベルケンフェルト侯爵夫人/ドンナ・エレン Donna Ellen
スルピース/カルロス・アルバレス Carlos Alvarez
オルテンシウス/マルクス・ペルツ Marcus Pelz
クラーケントープ侯爵夫人/イルディコ・ライモンディ Ildiko Raimondi
農民/ドリタン・ルカ Dritan Luca
公証人/フランソワ・レスティ Francois Roesti
伍長/コンラット・フーバー Konrad Huber
指揮/エヴェリーノ・ピド Evelino Pido
演出及び衣装/ローラン・ペリー Laurent Pelly
舞台装置/シャンタル・トマ Chantal Thomas
舞台稽古/クリスチャン・レート Christian Rath
照明/ジョエル・アダム Joel Adam
振付/ラウラ・スコッツィ Laura Scozzi
台詞/アガーテ・メリナン Agathe Melinand

幕が開いて直ぐに思い出された方も多いでしょう。私もその一人ですが、以前にメトロポリタン歌劇場でナタリー・デッセーとファン・ディエゴ・フローレスのコンビでファンを沸かせたのと同じ舞台、フランスのローラン・ペリーが演出したお馴染みの舞台です。ペリーは同時に衣装も手掛ける才人で、「連隊の娘」は文句なく楽しめました。
解説など野暮は無用、とことんジュリー・フックス、ジョン・テジエ、カルロス・アルバレスの息の合った歌を堪能してください。

この演出では合唱団も重要で、歌に付せられた振付も見所。ちゃんと振付師ラウラ・スコッツィの名前もクレジットされています。軍人たちのコミカルで統制?された歌と演技、第2幕冒頭の「退屈」な音楽に合わせて家事をこなす使用人たちの動きにも笑えました。
その第2幕冒頭、クラーケントープ侯爵夫人が不思議な、というかパロディーやメドレーで継ぎ接ぎされた歌が披露されますが、もちろんこれはドニゼッティのオリジナルではなく、恐らくこの公演のために誰かがアレンジしたものでしょう。これを披露するイルディコ・ライモンディは、大団円での金切り声でも客席を沸かせていました。

指揮は、ドニゼッティやロッシーニで大活躍のエヴェリーノ・ピド。序曲ではオーケストラ・ヒットの様子が様々な角度で映し出されますが、楽員たちの楽し気な弾きっぷり、吹きっぷりも楽しんでおきましょう。
このあと、明日のアーカイヴ配信ではリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」と続きますが、これは今年1月24日に行われた公演で、私もライブストリーミングとして観戦した演目。感想もその際にアップしておきましたから、1月のブログを参考にして下さい。私は繰り返しません。

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