ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(36)
ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(36)
今朝オッタヴァ・テレビにアクセスしてみると、どうやら昨日配信された「ジークフリート」は3日間視聴できるようですね。残念ながら今日配信されている「神々の黄昏」は24時間限定のようですが・・・。
ウィーン国立歌劇場アーカイヴ・シリーズの「ニーベルングの指環」が目出度く完結しました。これまでフィッシャー、ラトル、コーバーと3人のマエストロによる指環が選ばれてきましたが、完結編となる「神々の黄昏」は2017年6月5日の公演、初めてペーター・シュナイダー指揮のものが選ばれました。キャストもかなり替わっていて、以下の通り。
ジークフリート/ステファン・ヴィンケ Stefan Vinke
ブリュンヒルデ/ペトラ・ラング Petra Lang
グートルーネ/レジーヌ・ハングラー Regine Hangler
ハーゲン/ファルク・シュトラックマン Falk Struckmann
グンター/マルクス・アイヒェ Marcus Eiche
アルベリヒ/ヨッヘン・シュメッケンベッヒャー Jochen Schmeckenbecher
ワルトラウテ/ワルトラウト・マイヤー Waltraud Meier
第1のノルン/モニカ・ボヒネク Monika Bohinec
第2のノルン/ステファニー・ハウツィール Stephanie Houtzeel
第3のノルン/カロリーネ・ウェンボーン Carolone Wenborne
ヴォークリンデ/イレアナ・トンカ Ileana Tonca
ヴェルグンデ/ステファニー・ハウツィール Stephanie Houtzeel
フロースヒルデ/ゾルヤーナ・クシュプラー Zoryana Kushpler
指揮/ペーター・シュナイダー Peter Schneider
演出/スヴェン=エリック・べヒトルフ Sven-Eric Bechtolf
舞台/ロルフ・グリッテンベルク Rolf Glittenberg
衣装/マリアンヌ・グリッテンベルク Marianne Glittenberg
ハーゲンのシュトラックマン、アルベリヒのシュメッケンベッヒャー、ワルトラウテのマイヤーこそ共通していますが、ジークフリートとブリュンヒルデのコンビは、これまでの2サイクルでは初めての登場でしょう。その分、新鮮な印象がありました。
とは言ってもジークフリートのヴィンケはメットの指環サイクルにも登場していましたし、何よりもブリュンヒルデのラングは日本でも度々ワーグナーのドラマティック・ソプラノ役として登場しており、我々には寧ろ親しみ易く感じられるのではないでしょうか。実際、今回のブリュンヒルデも、最後の自己犠牲のシーンでは圧倒的な存在感で聴き手を打ちのめしてくれました。
ウィーンの指環サイクル、「神々の黄昏」の肝、べヒトルフ演出等に付いては前回のサイクル、3月のアーカイヴ配信でも触れましたから繰り返しません。
今回は大ヴェテランのシュナイダー指揮も大注目で、登場するなり客席から大歓声が沸き起こります。このオヴェーションは幕を追うごとに盛り上がり、最後のカーテンコールではシュターツオーバー総立ち、割れんばかりの拍手喝采が浴びせられるのでした。ウィーンでは、ペーター・シュナイダーが大きな尊敬を以て迎えられていることが判ります。
このサイクルは特別だったのでしょうか、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のコンサートマスターは4人体制だと思いますが、この公演ではライナー・ホーネックとフォルクハルト・シュトイデが二人揃ってファーストの第1プルトに座っています。去年から相当数の公演を観察してきましたが、ホーネックとシュトイデの揃い踏みは初めて見ました。
最近の配信では OMV とレクサスの宣伝が前後に入りますが、今回はウィーンそのものの宣伝が入ってます。特に第1幕と第2幕の間にはビリー・ジョエルが登場してウィーンの魅力を紹介していた(ピアノで悲愴ソナタや田園交響曲を弾きながらベートーヴェンを語る)のは驚き。本来なら今頃は宣伝に誘われて楽都を訪れていたかも、と思うと些か残念な気持ちも沸いてきました。
それでも、この公演をアーカイヴで見ることが出来たのはラッキーというもの。感動巨編を聴き通した達成感と、それに相応しい客席の反応を楽しみましょう。それにしても15分間にわたって「ブラヴィ~」3連発を叫び続けるウィーン子って、何を飲み食いしたらこんなエネルギーが生まれるんでしょうね。
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