コンセルトゲボウオルケストのドヴォルザーク(オンライン)

久し振りに「演奏会」というカテゴリーを更新します。

思えばコロナ前に演奏会に出掛けた最後は、2月22日の神奈川フィル音楽堂シリーズでした。以来今日まで3ヶ月半もナマのコンサートを聴いていません。
改めて自分のブログを見て驚いたのですが、何と前回の神奈川フィルの記事が「演奏会」ジャンルの丁度1000本目の記事だったんですね。ブログを開設したのが2006年10月で、最初の演奏会記事はロジェストヴェンスキー指揮読響のショスタコーヴィチでした。演奏会を聴いても感想は書かなかった回も少なからずありますので、13年半ほどで1000回は多いのか少ないのか・・・。

何れにしても1000回という節目、今後コンサートの再開も見通せませんし、通常に戻ったとしても遠方に出掛ける気になるかどうか。区切りも良いことだしブログも止めてしまおうかとも思いましたが、チョッと待てよ。

籠城生活が始まり、様々なネット番組でアーカイヴ配信を見てきましたが、ここに来て新しい動きも出始めています。過去の演奏ではなく、今現在の演奏をネットを通して提供しようという活動。前回の籠城日記にも書きましたが、生活様式だけでなくコロナ後の演奏会も確実に変わっていくでしょう。何年か経てば、コンサートは家で聴くのが基本となり、実際に演奏会場に足を運ぶのは特別な機会か、よほど幸運に恵まれた時だけになるのではないか。
現在はどの団体も無料で対応していますが、音楽は慈善事業じゃありません。有料で配信し、より広い層、世界に向けて発信していくのが当たり前の世の中に変わっていくのではないでしょうか。

ということで、小欄は頭を切り替えました。過去のアーカイヴ配信は「音楽番組」というジャンルで更新し、ライブ配信または聞き逃し配信など直近で行われたコンサートの配信に付いては「演奏会」ジャンルに書くことにします。
その記念すべき第一弾が、これ。

ドヴォルザーク/交響曲第8番
 管弦楽/コンセルトヘボウ管弦楽団
 指揮/グスターヴォ・ヒメノ Gustavo Gimeno
 配信チャンネル/Concertgebouworkest (ユーチューブ)

この演奏会はアムステルダム、会場はお馴染みのコンセルトヘボウで、6月5日(金)現地時間の午後8時15分からスタートしたようです。私が寝床の中でスマホの電源を入れると、第4楽章の中頃。終わってから(終了は早朝4時ごろでした)再度ユーチューブ・チャンネルにアクセスすると、直ぐにアーカイヴ、というか聞き逃し配信がスタートしていました。

番組は最初、事前に収録していたと思われるコントラバス首席ドミニック・セルディス Dominic Seldis の案内でコンサートの趣旨、スタイル、曲目解説が短時間流れます。弦楽器は奏者間の距離を1.5メートル、管楽器は2メートル空けて演奏するなど、日本の今後についても参考になるだろうと思われるアドヴァイスもありました。
数日前に同番組ではベートーヴェンの第7交響曲も配信(様子は籠城日記で紹介しました)していましたが、今回は無観客ではなく、2階席には見た目数十人程度がバラバラに間隔を取って入場しています。

コンセルトヘボウの演奏会では、指揮者はステージ最上階の扉から階段を下りて登場するのですが、今回のオンライン・コンサートでは1階平土間の右手にあるドアからの登場。指揮台前に置かれた階段を上って指揮台に立ちます。
指揮するヒメノは、2001年にコンセルトヘボウの首席打楽器奏者に就任した方。その後指揮者に転身し、2012年からヤンソンスの元で副指揮者、2015年のコンセルトゲボウ来日公演を指揮した由ですから、実際に生演奏に接しられたファンも多いことでしょう。首席指揮者を務めているルクセンブルク・フィルとの録音が多数あり、多くはNMLで聴くことが出来ます。自身の公式ホームページはこちら。

ドヴォルザークでは指揮棒を使い、スコアも置いての指揮。どことなくクラウディオ・アバドの振り方に似ているのは、如何にも現代の若手でしょう。
オーケストラはベートーヴェンでも紹介したように、対向配置ならぬ「ソーシャル・ディスタンス配置」。弦楽器は一人1台の譜面台で、弦のメンバーにはマスク・プレイヤーもチラホラ。

演奏では、第2楽章と第3楽章をアタッカで続けたのが珍しく、メランコリックな性格を強調していました。特に第2楽章、練習記号「C」からのヴァイオリンの下降音型など思い入れタップリ。
演奏が終わると、少ないながらも2階客席から暖かい拍手。ほぼ全員がスタンディングで拍手を送るのはコンセルトヘボウの慣習でしょう。

音質、画質とも極めて優秀。ホールを広く使用していることもあり、楽器間の分離が通常のアーカイヴ放送より明確で、広々とした音のパースペクティヴが、恰も現地コンセルトヘボウで聴いているような印象。
ヴィオラ主席に我が波木井賢氏の姿を見つけ、嬉しく思いました。もしコンセルトヘボウがオンライン会員のシステムを始めたら、定期会員になっちゃうかも。

こんな調子で、これからも気が向くままにオンライン演奏会をレポートしていく積りです。

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