日本フィル・とっておきアフタヌーン・スペシャル(オンライン)

6月10日(水)、日本フィルは新しい試みとして、有料ライブ配信による「とっておき アフタヌーン オンライン・スペシャル」を開催しました。
これは本来日本フィルが毎年開催している「とっておきアフタヌーン」というコンサート・シリーズのうち、3月に行われる予定だった回がコロナ禍により一旦は6月1日に延期となり、更に感染拡大防止策の要請に応じて中止となったため、無観客演奏のオンライン配信による代替企画として実現したものです。

私は3月のコンサートのチケットを購入していたので、日本フィルから手紙で連絡を受けましたが、その前にネットで開催を知り、早々にイープラスの購入サイトを利用して視聴券を購入。手続きに従って10日の午後2時を迎えました。コンサートは休憩無しの1時間の予定で、開始10分前にはオンラインが繋がって懐かしいサントリーホールの舞台が映し出されます。プログラムはこちら。

グリーグ/組曲「ホルベアの時代より」前奏曲
エルガー/愛の挨拶
ドヴォルザーク/ユモレスク変ト長調作品101-7
チャイコフスキー/弦楽セレナード
 日本フィル弦楽アンサンブル(ソーシャル・ディスタンス・アンサンブル)
 指揮/広上淳一
 ヴァイオリン・ソロ/田野倉雅秋(エルガー)

2月末から次々とコンサートが中止となり、オーケストラによっては無観客演奏を無料中継するケースもありましたが、音質・画質は配信によりバラつきがありました。今回は有料ということで、多少の不安があったことも事実。それでも今後はこうしたコンサートの在り方も選択肢の一つになると考え、ものは試しと参加申し込みした次第です。

回線が繋がると、あの聞き慣れた場内アナウンス。公演の録音・録画はお断りします。ホール内の飲食はご遠慮ください、といういつもの注意喚起には笑ってしまいましたが、このコンサートはネット配信のため飲食等はご自宅でご自由に、というのはある種の洒落でしょうか。
日本フィルの弦楽アンサンブルは、6-6-4-3-2の構成で、その名の通りソーシャル・ディスタンスを十分にとって並びます。譜面台は一人1台づつで、最近増えてきた海外のオーケストラの事例と同じでした。

奏者にマスク姿はありませんでしたが、指揮者の広上氏はマスクを着用して登場。指揮中もマスクを着けたままで、これでは息苦しいのでは、と心配になったほど。彼は時に感情を声に出すこともあるので、そのための配慮でしょうか。
コンサートは音楽評論家・高坂はる香氏と広上マエストロのトークを挟みながら進められましたが、二人は会話中も距離を取り、マスクも着用という念の入れようです。

心配した音質・画質ですが、音に付いてはチャイコフスキーの第3、第4楽章で夫々一度筒音が落ちる箇所はあったものの、音質的には優秀と聴きました。
しかし画質に付いては、カメラが切り替わる際にチラチラする傾向があり、これは普通乃至不満のレヴェルとしておきます。もちろん受信側の装置のレヴェル、回線状態による環境差はあると思われますが、拙宅のシステムでは海外の配信でも全く不安なく安定しているものもあり、これは更に改善する余地があるものと思われます。

演奏は大変に熱気溢れるもので、冒頭のグリーグ、最後のチャイコフスキーでは広上特有のパッションが普段以上にヒートアップ。やはり久し振りのナマ演奏とあって気合が違っていたようです。
演奏後のトークにも力が入り、話は文化文明論にまで及ぶ熱の入り様でした。

しっかりアンコールも準備されていて、シベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォ。当初は1時間という予定でしたが、コンサートが終わったのは3時15分。15分オーバーの熱いライブ配信スペシャルを楽しみました。
この配信には聞き逃し配信、アーカイヴ配信もあるそうで、アーカイヴ配信を視聴するには別途視聴券を購入する必要があるそうです。一般が千円、ガンバレ日本フィルの支援金付きが3500円。パソコンやスマホにポータブル・アンプやDACコンバーターを接続、ヘッドフォンで聴くとサントリーホールで聴いているような心地よい空間が楽しめます。

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