トマーシュ・コニェチュニー・リサイタル@ウィーン国立歌劇場

観客100人限定、再開されたウィーン国立歌劇場のリサイタル・シリーズ。11日は、ウィーン国立歌劇場の看板歌手と言って過言ではないトマーシュ・コニェチュニーのリサイタルでした。
コニェチュニーに付いて改めて紹介することもないでしょうが、1972年ポーランド生まれのバス・バリトン。ウィーンではヴォータンとして定着していて、このアーカイヴ・シリーズでもすっかり有名になってしまった感があります。

この機会ですから、自身のホームページを紹介しておきましょう。

http://www.tomasz-konieczny.com/en/

久し振りにナマの歌声が中継されたリサイタルのプログラムは、

R.シュトラウス/ひそやかな誘い 作品27-3
R.シュトラウス/夜の逍遥 作品29-3
R.シュトラウス/あすの朝 作品27-4
R.シュトラウス/私の思いのすべて 作品21-1
R.シュトラウス/ああ悲しい私、不幸をまとった男 作品21-4
R.シュトラウス//チェーチリエ 作品27-2
R.シュトラウス/あこがれ 作品32-2
R.シュトラウス/ああ恋人よ、私は別れねばならない 作品21-3
R.シュトラウス/万霊節 作品10-8
R.シュトラウス/憩え、わが魂 作品27-1
R.シュトラウス/献身 作品10-1
R.シュトラウス/私はお前を愛する 作品37-2
ロムアルト・トヴァルドフスキ Romuald Twardowski (1930-)/「Znad Willi」サイクルから3つの歌曲
ラフマニノフ/私は彼女の家に行った 作品14-4
ラフマニノフ/夜の静けさに 作品4-3
ラフマニノフ/いや、お願いだ、行かないで 作品4-1
ラフマニノフ/わが子よ、お前は花のように美しい 作品8-2
ラフマニノフ/昨日私たちは会った 作品26-13
ラフマニノフ/私はすべてを奪われた 作品26-2
ラフマニノフ/思い 作品8-3
ラフマニノフ/昔から恋に慰めは少なく 作品14-3
ラフマニノフ/あなたは皆に愛される 作品14-6
ラフマニノフ/彼女は真昼のように美しい 作品14-9
ラフマニノフ/時は来た 作品14-12
 バリトン/トマーシュ・コニェチュニー Tomasz Konieczny
 ピアノ/レフ・ナピェラワ Lech Napierala

ソーシャル・ディスタンス・ルールに基づき、休憩は無し。何度かの区切りを入れながら前半(と言っても良いのか)にリヒャルト・シュトラウス、後半にラフマニノフという選曲。間に挟まれているトヴァルドフスキという作曲家は、コニェチュニーの故郷ポーランドの現役の作曲家で、この日のピアノ伴奏を受け持つナピェラワもやはりポーランド出身。二人のアイデンティティーも披露するリサイタルでもありました。
ナピェラワというピアニストは来日公演を行ったこともあるようで、こちらも興味深いホームページを見付けてしまいました。

ナピェラワはコニェチュニーの他、ウィーン国立歌劇場でもお馴染みのモニカ・ボヒネク、アイーダ・ガリフッリーナのリサイタル・ピアニストも務めている由。コニェチュニーとはポーランド語による「冬の旅」の録音も行っていて、そのCDを紹介するトレイラー・ビデオがこのサイトでも見ることが出来ます。今回のリサイタルに加え、是非ポーランド語歌唱による「冬の旅」のさわりもお楽しみください。
二人の情報を更に続けると、現時点での予定では10月にはワルシャワ国立歌劇場でトヴァルドフスキ90歳の誕生日を祝し、コニェチュニーとナピェラワによるリサイタルが開催される予定になっています。

定刻午後7時半、コニェチュニーとナピェラワが登場。第1曲、と構えましたが、聴衆の携帯電話(?)から何やら音楽が。音楽の都でもこんなことがあるんですね。選ばれたはずの100人の中には色んな人がいるもんです。
コニェチュニー氏、笑ってお客さんが気付くのを待ち、「ひそやかな誘い」が歌い始められました。
以下、12曲ものシュトラウス歌曲。「あすの朝」「チェチーリエ」「万霊節」「献身」と言った名曲が次々と披露されました。特にチェチーリエは鳥肌もの。やはりシュトラウスは「歌」の作曲家だ、ということを沁みじみと思いました。

上記の様に、ラフマニノフの前にはポーランドの歌が紹介されます。ドイツ語のプログラムでは Drei Lieder aus dem Zyklus “Znad Willi” (Von der Wilja) となっていましたが、この曲に付いてはこれ以上のことは判りません。

後半はロシア語によるラフマニノフ11曲が一気に歌われました。どれも短いものですが、これを機会にラフマニノフの歌曲も色々聴いてみたいと思いました。
アンコールもラフマニノフ。歌劇「アレコ」からアレコのカヴァティーナという感動的なアリアが歌われます。アレコと言えば、本来なら5月に日本フィル定期でラザレフ指揮による全曲が聴けたはず。その演奏会が実現していれば、このオペラに付いてもっと知っていただろうにと思うと残念。尤も、コロナ禍が無ければコニェチュニーのリサイタルを聴くこともなかったでしょうが・・・。

そしてもう1曲、ポーランドを代表する作曲家モニューシコの歌曲「コザック」が歌われます。正にポーランドを代表する二人の演奏、客席も大きな感動に包まれました。
ポーランドと言えば大変な親日国。いつかコニェチュニーのリサイタルをナマで体験したいものだと思います。

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