カミラ・ニールンド・リサイタル@ウィーン国立歌劇場

再開されたウィーン国立歌劇場のリサイタル・室内楽シリーズも第2週に突入。最初の週は月曜日から金曜日まで五日連続の100席限定コンサート、リサイタルが開催されましたが、第2週も同様で、今週は月曜から土曜まで、水曜日を除く5つのコンサートがライブ・ストリーミングされる予定になっています。
当欄も頑張ってオンライン・コンサートに通い続けましょう。

その最初は、現地6月15日の午後7時半から70分強に亘って行われたカミラ・ニールンドのリサイタル。歌われた作品は次の順でした。

シベリウス/山彦 作品72-4
シベリウス/ささやく葦 作品36-4
シベリウス/三月の雪の上のダイヤモンド 作品36-6
シベリウス/それは夢か 作品37-4
シベリウス/アリオーソ 作品3
シベリウス/逢引きから戻った娘 作品37-5
シベリウス/黒いばら 作品36-1
シューマン/歌曲集「女の愛と生涯」 作品42
R.シュトラウス/密やかな誘い 作品27-3
R.シュトラウス/憩え、わが魂 作品27-1
R.シュトラウス/あすの朝 作品27-4
R.シュトラウス/チェチーリエ 作品27-2
 ソプラノ/カミラ・ニールンド Camilla Nylund
 ピアノ/ヘルムート・ドイチュ Helmut Deutsch

ニールンドはご存知のようにフィンランド出身の名歌で、宮廷歌手(KS)の称号を持ちます。ピアノは彼のヘルムート・ドイチュさん。ドイチュと言えば鮫島由美子さんを連想してしまいますが、ウィーン大学で教鞭をとっていたほどのその道のスペシャリスト。久し振りにご尊顔を拝し、懐かしさも一入でしたね。

何しろプログラムが見事。
前半、というか最初にシベリウスの歌曲を7曲一気に謳い上げます。シベリウスの歌曲はこれまで余り馴染んできませんでしたが、それだけに一つ一つが新鮮。まるで未開の地を分け入っているようで、思わず引き込まれます。
特に5番目に披露された「アリオーソ」は、作品3という若い番号が付いているように初期の歌曲かと思われますが、その美しいメロディーに驚きを禁じ得ません。世の中には未だまだ知らない名曲が数多くあるということを思い知りました。これからシベリウス歌曲集という新たな領域に踏み込みたいと強く感じましたね。

ここで一服、再登場してこれまた一気に歌い進んだのは、知らない人とてないシューマンの名歌曲集「女の愛と生涯」。
ここで再び舞台裏に戻り、三度目に登場してこれまた続けて歌い切ったのが、リヒャルト・シュトラウスの4つの歌作品27。曲の順序を入れ替えて4曲全てを歌ってくれましたが、作品27は珠玉の名歌ばかり。立て続けに、しかも一つ一つ丹念に歌われるのを聴きながら、ニールンドが演じたアラベラや、影無し女の皇后を思い出してしまいました。いつかニールンドのアラベラ、コニェチュニーのマンドリカというコンビで「アラベラ」を味わってみたいな。

アンコールは3曲。最初は、マーラーの子供の魔法の角笛から「だれがこの歌を作ったのだろう」。
二つ目は私には曲名が判りません。配信の際に曲目テロップが出ませんでしたし、ニールンドも途中で歌詞が曖昧になったようで、ドイチュ氏に歩み寄るシーンも。これはご愛敬、こんな面が見えたのも人間的で良いんじゃないでしょうか。
最後は、ヴォルフのイタリア歌曲集第1集の冒頭にある「小さなものでも」。もしかしたら2番目のアンコールもヴォルフだったかもね。お分かりになった方、コメントお待ちしています。

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