ミヒャエル・シャーデ・リサイタル@ウィーン国立歌劇場

再開ウィーン国立歌劇場のリサイタル・シリーズ、第2週は水曜日に一日休みを置いて、18日にはミヒャエル・シャーデのリサイタルが行われました。例によってフル・サイズの音楽会ではなく、休憩無しの70分ほど。それでもタップリ一晩のリサイタルを堪能したような気持ちにさせてくれるのは、さすがに大御所、宮廷歌手シャーデの貫録でしょうか。曲目は、

ベートーヴェン/遥かな恋人に寄す 作品98
シューベルト/花の手紙 D622
シューベルト/漁夫 D225
シューベルト/ます D550
シューベルト/月に寄す D193
シューベルト/日ごと歌う D533
シューベルト/歌曲集「白鳥の歌」D957~セレナード
シューベルト/アデライーデ D95
シューベルト/ミューズの息子 D764
R.シュトラウス/万霊節 作品10-8
R.シュトラウス/何も知らず 作品10-2
R.シュトラウス/密やかな誘い 作品27-3
グルーバー/Mei Muatterl war a Weanerin
レハール/「パガニーニ」僕は彼女に一杯キスをしたけれど
 ピアノ/イェンドリク・シュプリンガー Jendrik Springer

シャーデは、今回のアーカイヴ・シリーズではリヒャルト・シュトラウスの「カプリッチョ」でのフラマン役、楽しまれた方も多いでしょう。
見始めて直ぐに気が付きましたが、伴奏ピアニストの髪の色が気になりました。ウィーンでは流行なんでしょうか?

それは余計なこと、シャーデはベートーヴェン・イヤーを意識してか、大曲からスタートしました。
一旦舞台袖に引き上げ、続いてはシューベルト名曲集。みな一度は何処かで聴いたことのあるメロディーが8曲、次々と一気に披露されます。画面に表示される作品名にもD(ドイチュ)番号も出ないほどの名曲たち。

それは次のリヒャルト・シュトラウスも同じで、シュトラウスの中でも最も美しい歌が3曲選ばれました。こちらもテロップでは作品番号を省略。
シャーデの歌唱は客席に語り掛けるよう、手の動きというかジェスチャーたっぷりに歌うので、歌詞が判らずとも思わず惹き込まれます。シューベルトの「漁夫」の後では思わず拍手が起きますし、シャーデも興に乗って「月に寄す」の前には内容を解説?(ドイツ語なんでサッパリ判りませんが)するほど。

最後の2曲は、リートというより客席への感謝とサービスでしょうね。グルーバー、って「きよしこの夜」の作曲家だと思いますが、これは殆どワルツでしょ。シャーデも最後の一節では客席に一緒に歌うよう催促するほど。日本語のタイトルは知りませんが、ウィーンでは誰でも知っているような歌なんでしょうか?
レハールではシャーデも饒舌、盛んに客席に話しかけていますが、ドイツ語がチンプンカンプンなんで残念無念。

こんな雰囲気ですから、もちろんアンコールもあります。先ずレハールがキスの歌だったのと、今年がベートーヴェン・イヤーであることに引っ掛けてベートーヴェンの作品128という番号が付いたアリエッタ「接吻」。
そしてもう1曲、これは現在の状況を踏まえ、将来に希望を託す思いをリヒャルト・シュトラウスの作品27-4「あすの朝」に託します。この「Morgen」はコニェチュニーが歌い、ニールンドもプログラムに組み込んでいたシュトラウスの最高傑作。3人のリサイタルでもリレーするように歌い継がれてきました。

総立ちの100人、中からシャーデに花束を贈る方も。こういう光景は久し振りに見ました。ミヒャエル・シャーデ、素晴らしいですねェ~。

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