ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(59)

ヴェルディ「オテロ」に続いての配信は、同じシェークスピア作品を題材とし、やはりオペラ界に革新の風を吹き込んだ名作「マクベス」です。昨日と同じく音声はモノラルですが、チンバッソの張りのある低音はしっかり捉えられていると聴きました。
これだけは「オテロ」と違い、去年11月にライブ・ストリーミングされたのと同じレート演出。歌手は多少の入れ替えがあって以下のメンバーでした。2019年5月14日の舞台ですから、ほぼほぼ1年前のアーカイヴ。

マクベス夫人/タチアナ・セルジャン Tatiana Serjan
マクダフ/シャホ・ジンシュ Xiahou Jinxu
マクベス/ジョルジュ・ペテアン George Petean
バンクォー/フェルッチョ・フルラネット Ferruccio Furlanetto
侍女/フィオナ・ヨプソン Fiona Jopson
マルコム/ルカーニョ・モヤケ Lukhanyo Moyake
密偵/アイク・マルティロッシアン Ayk Martirossian
指揮/ジェームス・コンロン James Conlon
演出/クリスティアン・レート Christian Rath
舞台・衣装/ゲイリー・マッキャン Gary McCann
照明/マーク・マカルー Mark McCullough
映像/ニナ・デュン Nina Dunn

半年前の「マクベス」は良くも悪くもドミンゴの主役が話題。あの時の客席の熱狂に付いては去年のブログを参照してください。
演出に付いてもその時にやや詳しく感想も述べましたが、それでも疑問に感じていた箇所、私の少ない経験では解釈に迷うところがあったのも事実。その一つが幕切れ、勝利したマクダフ軍やスコットランドの群衆たちの手が血で赤く染まっているのは何故なのでしょうか。力による権力簒奪ならマクベス、マクベス夫人と同罪ではないか、という意味でしょうか?

去年5月の公演とはマクベス夫人、マクダフが共通しており、マクベスがドミンゴからルーマニアの「バリトン」ペテアンに、バンクォーもグリーンからフルラネットに替わっていますが、客席の反応はかなり違います。
当然ながらドミンゴに対する熱狂的な喝采は無く、カーテンコールも一通りの形式で終わってしまいました。ウィーンっ子たち、チョッと冷た過ぎやしませんか、とも思いましたが、それだけドミンゴの人気が絶大だということでしょう。私は、個人的な意見ですが、今回の方がバランスが取れていてヴェルディの斬新な音楽に集中できたように思います。

さてヴェルディ週間は未だ続き、明日は「ドン・カルロ」が配信されます。しかしこのオペラは28日にも同演出、別キャストによる公演が配信される予定で、当欄では2公演を纏めて取り上げる予定。
確か「アイーダ」から始まって10日間連続、ライブのリサイタル・シリーズも交えながらブログを更新してきましたので、ここで一日だけお休みを頂きます。

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