ウィーン国立歌劇場アーカイヴ(17)

ウィーン国立歌劇場のアーカイヴ・シリーズ、第3弾というか4月後半分のプログラムが始まりました。現地14日の配信はチャイコフスキーの「白鳥の湖」でしたが、バレエは私の守備範囲から外れるのでパスし、今日はまたしても「パルジファル」を取り上げましょう。アーカイヴ(14)、そして前回に続いて3種類目のパルジファルですが、前回と同じヘルマニス演出で、指揮と配役が異なります。去年(2019年)4月21日の公演の模様。
今回のキャストは以下でした。

アムフォルタス/トーマス・ヨハンネス・マイヤー Thomas Johannes Mayer
ティトゥーレル/ライアン・スピード・グリーン Ryan Speedo Green
グルネマンツ/ルネ・パぺ Rene Pape
パルジファル/サイモン・オニール Simon O’Neill
クリングゾール/ボアズ・ダニエル Boaz Daniel
クンドリー/エレーナ・ツィトコーワ Elena Zhidkova
小姓1/スヴェトリーナ・ストヤノヴァ Svetlina Stoyanova
小姓2/ミリアム・アルバーノ Miriam Albano
小姓3/ミヒャエル・ローレンツ Michael Laurenz
小姓4/ルカーニョ・モヤケ Lukhanyo Moyake
聖杯守護騎士1/レオナルド・ナヴァーロ Leonardo Navarro
聖杯守護騎士2/クレメンス・エンターライナー Clemens Unterreiner
花の乙女1/イレアナ・トンカ Ileana Tonca
花の乙女2/オルガ・べズメルトナ Olga Bezmertna
花の乙女3/マーガレット・プランマー Margaret Plummer
花の乙女4/マリア・ナザロヴァ Maroa Nazarova
花の乙女5/マリアム・バッティステリ Mariam Battistrelli
花の乙女6/シルヴィア・ヴェレシュ Szilvia Voros
天上からの声/ボンジヴェ・ナカニ Bongiwe Nakani
指揮/ヴァレリー・ゲルギエフ Valery Gergiev
演出/アルヴィス・ヘルマニス Alvis Hermanis
衣装/クリスティーネ・ユルヤーネ Kristine Jurkane
照明/グレーブ・フィルシュティンスキー Gleb Filshtinsky
映像/イネタ・シプノーヴァ Ineta Sipunova
舞台装置協力/シルヴィア・プラツェク Silvia Platzek
指揮/ワレリー・ゲルギエフ Valery Gergiev
演出/アルヴィス・ヘルマニス Alvis Hermanis
衣装/クリスティーネ・ユルヤーネ Kristine Jurkane
照明/グレーブ・フィルシュティンスキー Gleb Filshtinsky
映像/イネタ・シプノーヴァ Ineta Sipunova
舞台装置協力/シルヴィア・プラツェク Silvia Platzek

前回と違うのは、音声がいつも通りのステレオになっていること。やはりウィーンからの配信はこうでなくちゃ。字幕は同じです。
もちろん演出も同じですが、別キャストで見ると改めて気付いたこともあります。例の脳味噌の模型ですが、幕が進むにつれて大きくなり、置かれる場所も次第に舞台中央へと進出してくるのですね。更によく見ると、第1幕と第3幕で御開帳となる聖杯は、脳味噌と同じ形。最後の第3幕では天上から聖杯の蓋に相当する覆いが巨大な脳味噌に被さる様に下がって来ますから、聖杯=脳味噌と見ても良いのでしょう。象徴的に扱われいることは間違いなさそうです。

第2幕に登場する花の乙女たち。歌い始める前はベッドに横たわっていましたが、ムクムクと起き上がる様はゾンビを連想させます。どうやら医師クリングゾールの担当は霊安室なんでしょうか。

キャストで光るのは、やはりグルネマンツを歌うルネ・パぺでしょう。圧倒的な存在感で、「パルジファル」の陰の主役はグルネマンツ、と改めて感じた次第。
タイトルロールのサイモン・オニールは、インキネン/日本フィルの「ワルキューレ」でジークムントを歌って強烈な印象を残したテノール。クンドリーのエレーナ・ツィトコーワも、ウィーンのライブストリーミングで「ドン・カルロ」のエボーリ公女、「ルサルカ」で外国の王女を歌い、すっかりお馴染み。アムフォルタスのトーマス・ヨハンネス・マイヤーは、ウィーン国立歌劇場初演となった「レオノーレ」でドン・ピツァロ役でしたね。

ということで、同じ演出を別のキャストで見ると、ハードルが高かった「パルジファル」もグンと身近になってきます。病院を舞台にした演出は賛否両論あるようで、第2幕が終わると空かさず何か声を掛けた聴衆がいました。何を言ったのか分かりませんが、私には非難の一声の様に聞こえましたが、どうでしょうか。

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