どんな風に眠りに落ちた@ウィーン国立歌劇場

ミヒャエル・シャーデのリサイタルが行われた翌日、シリーズ4回目となるウィーン国立歌劇場アンサンブル・メンバーによるオペラからの抜粋コンサートが行われました。オンラインで鑑賞するコンサートということで、演奏会カテゴリーで取り上げます。
モーツァルト特集に始まり、イタリアのベルカント、フランス編と続いてきて、19日の夕刻に開催されたのはドイツ・オペラ特集。出演者も多く見づらいかもしれませんが、こんな順序で次々に歌われました。

ベルク/「ルル」さあ、寄ってらっしゃい、見世物小屋へ(ヴォルフガング・バンクル)
リヒャルト・シュトラウス/「ナクソス島のアリアドネ」仲直りしましょう(ステファニー・ハウツィール)
ウェーバー/「魔弾の射手」どんな風に眠りに落ちた(オルガ・べズメルトナ)
ヨハン・シュトラウス/「こうもり」なんて酷い弁護士なんだ(イルディコ・ライモンディ、ヘルベルト・リッパート、イェルク・シュナイダー)
ワーグナー/「タンホイザー」この高貴な集を見渡せば(サミュエル・ハッセルホーン)
リヒャルト・シュトラウス/「サロメ」ユダヤ人の五重唱(ステファニー・ハウツィール、イェルク・シュナイダー、トーマス・エベンシュタイン、レオナルド・ナヴァロ、ルカーニョ・モヤケ、ベネディクト・コーベル、ライアン・スピード・グリーン、アイク・マルティロッシアン)
リヒャルト・シュトラウス/「ばらの騎士」光栄にもこの大役を仰せつかり(ヒラ・ファヒマ、レーチェル・フレンケル)
リヒャルト・シュトラウス/「ナクソス島のアリアドネ」抜粋(ダニエラ・ファリー、レジーヌ・ハングラー、リディア・ラスコルブ、ラファエル・フィンガーロス、シャホウ・ジンシュ、パーヴェル・コルガティン、ペーター・ケルナー)
 ピアノ/アントン・ツィーグラー Anton Ziegler

リサイタル全体のタイトルは、ウェーバーの「魔弾の射手」からアガーテの有名なアリア。一般的に「アガーテの祈り」として知られるアリアの歌詞で、こんな風に訳してみたわけ。

前3回と同じく、アーカイヴ配信でもすっかりお馴染みになったアンサンブル・メンバーたちが次々と登場し、オペラらしく演技も交えての楽しい70分でした。
彼等、彼女等ならではの工夫もあり、例えば最初はバンクルがシンバルと大太鼓を叩きながら登場し、猛獣使いの前口上。その最後で登場するのはルルならぬ「ナクソス島のアリアドネ」の作曲家、という具合。

以下、アリアもあれば、普通のコンサートでは滅多に取り上げられることの無いようなアンサンブルのシーンが披露されていきます。
「サロメ」からはユダヤ人の五重唱が選ばれましたが、8人も登場するのはヘロデ、へロディアスやナザレ人のパートもあるから。豪華にして人材豊富なアンサンブル・メンバーならでしょうね。

コンサートの締めは、「ナクソス島のアリアドネ」からの抜粋、“愛も、憎しみも、希望も、ためらいも、強大な権力のある王女様も”という道化たちのアンサンブルから始まり、ツェルビネッタの有名なレシタティーヴォとアリアまで、4つの場面がメドレー風に続きます。何と言ってもダニエラ・ファリーが歌うツェルピネッタは圧巻で、本編のオペラ全曲のアーカイヴ配信でも大いに楽しませてもらいましたっけ。

彼等のコンサート、このあともスラヴ編、二度目となるイタリア編と続きますが、最後は特別なガラ・コンサートも準備されているようですよ。どうぞお楽しみに。

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