クラッシミラ・ストヤノヴァ・リサイタル@ウィーン国立歌劇場

6月8日に再開したウィーン国立歌劇場、オペラは上演できないものの、同歌劇場が誇る宮廷歌手やアンサンブル・メンバーたちによるリサイタルやコンサートが連日のように開催されてきました。観客は100人限定、ソーシャル・ディスタンスを守りながら、ライヴ・ストリーミングでも配信されてきました。
一人の歌手によるリサイタルはグロイスベック、コニェチュニー、ニールンド、シャーデ、フローレスとリレーされてきて、現地25日に行われたクラッシミラ・ストヤノヴァのリサイタルが最後。リサイタル、というか現地では「リーダー・アーベント」(歌の夕べ)と呼んでいますね。

2009年に宮廷歌手の称号を受賞したストヤノヴァは、ブルガリア出身のソプラノで、デビュー前にはヴァイオリンも勉強していたのだそうな。今回初めて知りました。
ウィーン国立歌劇場は最初から活躍の舞台にしていて、一連のアーカイヴ配信や今シーズンの途中まででも、「オテロ」のデスデーモナ、「ばらの騎士」のマルシャリン、「仮面舞踏会」のアメリア、「ドン・カルロ」のエリザベッタなどでパワフルな歌を堪能。私のような俄かオペラ・ファンでも名前と顔が完璧に一致するプリマドンナになっています。

今回のリサイタルはプッチーニ、チャイコフスキー、ラフマニノフの歌曲を集中的に集めたもので、彼女の別の側面を聴くことが出来ます。休憩無しのプログラムは、

プッチーニ/太陽と愛
プッチーニ/陸と海
プッチーニ/亡き人に
プッチーニ/死とは
プッチーニ/サルヴェ・レジーナ
チャイコフスキー/語るな、おおわが友 作品6-2
チャイコフスキー/痛みを注ぎたい
チャイコフスキー/子守歌 作品16-1
チャイコフスキー/春のことだった
チャイコフスキー/私は野辺の草ではなかったのか 作品47-7
チャイコフスキー/再び、前のように、ただひとり 作品73-6
チャイコフスキー/支配するのは昼か 作品47-6
ラフマニノフ/夢 作品8-5
ラフマニノフ/夜ふけに私の庭で 作品38-1
ラフマニノフ/美しい人よ、私のために歌わないで 作品4-4
ラフマニノフ/私はあなたを待っている 作品14-1
ラフマニノフ/私は悲しみのために恋をした 作品8-4
ラフマニノフ/春の洪水 作品14-11
 ピアノ/リュドミル・アンゲロフ Ludmil Angelov

普段余り聴かないリートですが、胸にグッと来るメロディーが満載。これからこのジャンルも少しづつ挑戦していきたいと思っているところです。例えば最初に歌われたプッチーニの「太陽と愛」は、オペラ「ラ・ボエーム」の第3幕と全く同じメロディー。直ぐにこの世界にも溶け込めそうですね。
彼女が得意とするロシア語の歌曲が多く選ばれましたが、特にチャイコフスキーの作品47の2曲、ラフマニノフの作品4-4など誠に感動的。これから楽譜を探して色々な歌手で聴いてみたいと思いました。

アンコールは2曲。もちろんどちらも初めて聴く歌ですが、最初はストヤノヴァの故郷ブルガリアの作曲家でピアニストでもあるゲオルギー・チェルキン Georgii Cherkin (1977-) という方の「現実と夢」。ネットで調べたところチェルキンは、ベートーヴェンの月光ソナタやエリーゼのためにを協奏曲版にしているそうな。この日歌われた歌曲は極めて短いものでした。
アンコールのもう1曲は、ムソルグスキーの「Wo bist du, Sternchen?」(小さな星よ、おまえはどこに?)。昔、ボリス・クリストフが録音していた若い頃の歌曲ですね。

ということで再開シリーズ、ライブストリーミング配信は残すところ現地27日の若い歌手たちによるガラ・コンサートのみ。チケット販売ページによれば、休憩が1回あるアンサンブル・メンバー中心の長めのコンサートになるようです。指揮者の名前がクレジットされているということは・・・?

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