今日の1枚(47)

日の出が大分早くなってきました。寝床でグズグズしていると朝日が差し込んできます。慌てて散歩に。
今日はベイヌム/コンセルトへボウとして初めてステレオ録音を取り上げます。ブラームスの1枚、フィリップスの創立50周年記念盤で定評あるもの。UCCP-9053(468 859-2)。
①ブラームス/交響曲第1番ハ短調作品68
②ブラームス/大学祝典序曲作品80
③ブラームス/悲劇的序曲作品81
全てエドゥアルト・ヴァン・ベイヌム指揮アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団の演奏ですが、フィリップスですから無名氏の録音です。データは、
①1958年10月
②と③は1958年9月
いずれもアムステルダムのコンセルトへボウでの収録。ベイヌムは1959年4月に亡くなりましたから、死の半年前の演奏を記録したもの。
①はベイヌムにとって因縁深い作品。スタジオ正規録音としても三番目のものに該当します。
第1交響曲の最初の録音はデッカのSP盤。K 1895/9 5枚10面に収められたものです。
第2回目も同じくデッカで、こちらはLPでの発売。LXT 2675 という品番でした。
この他に既にベイヌム・ライヴ録音集のセットで紹介したものもあり、この解説にデッカ録音の半年後と書かれていますから、デッカの2度目の録音は1951年4月頃のものでしょう。
(SP盤は1950年以前の録音です)
これらの録音全てがCD化されていると思いますが、知らないのは私だけでしょう。
フィリップスのステレオ録音は、このレーベルの特徴である滑らかな肌触りを持ったもの。デッカに有り勝ちだった鋭さは全く影を潜めています。恐らく実際にコンセルトへボウの会場で聴けばフィリップス録音のような感じに聴こえるのではないか、と想像します。
ステレオなのでオーケストラの配置がよく判ります。典型的なアメリカ式配置で、チェロが右端から聴こえてきます。
第1楽章の繰り返し省略、第3楽章実行は前出ライヴ盤と同じ。第4楽章269・270小節のホルン加筆も同じです。
ただステレオのお陰で、今回第1楽章にも加筆箇所があるのが判明しました。
それは展開部の258から261小節にかけての「タタタター」という金管の信号で、スコアでは3・4番ホルンだけですが、ベイヌムはトランペットにも吹かせています。ステレオ録音による音場が明瞭であるからこそ聴き取れたこと。同じ箇所をモノラルのライヴ録音で確かめてみましたが、全く判りませんでした。
②と③もベイヌムにとっては2度目の録音です。
最初のものはデッカに収録したモノラルのLP。ハイドンの主題による変奏曲との3曲カップリングの初出で、LXT 2778 という品番です。
(ハイドン変奏曲については他にも録音があり、このアルバムが新録音か否かはハッキリしません。これについては明日、触れます。)
これもステレオ故に気が付いたことがあります。悲劇的序曲では、146・147小節のトランペット、ただの2分音符だけでなく、ホルン同様8分音符の前打音も加えています。152小節も同じですし、この繰り返しに相当する340・341小節も同様です。
「大学祝典序曲」が速目なのに対し、「悲劇的序曲」が比較的ゆったりとしたアプローチなのが興味深いところ。
なお本盤の解説にも新氏の一文があります。それとは別に評論家A氏のベイヌム論も収録されていて、この中でベイヌムの生年を1901年としているのは明らかに誤り。正しくは1900年9月3日生まれです。
参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.130
②オイレンブルク No.656
③オイレンブルク No.657

 

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