今日の1枚(60)

ナマの演奏会を聴いていると、どうしても録音による音楽は聴きたくなくなります。どんなに素晴らしいCDでも、私にとってはあくまでも作品や演奏を知るための手掛かりに過ぎません。
とは言ってもコンサートがなければ「缶詰」を聴きましょう。なかなかベイヌムが捗りませんが、もう少しです。
今日は UCCP-3336(476 9510) 、エドゥアルド・ヴァン・ベイヌム指揮アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団によるフィリップス最初のステレオ録音です。
①ドビュッシー/夜想曲
②ドビュッシー/海
③ドビュッシー/英雄的な子守歌
④ドビュッシー/スコットランド風行進曲
全て1957年5月27日と28日、アムステルダム、コンセルトへボウでの録音。
前回取り上げたシューベルトの「未完成」他が1957年5月22日から25日までのモノラル。僅か2日後に開始されたセッションではステレオ収録だったのですから、これがフィリップスのステレオ録音第1号で間違いないでしょうね。
初ステレオにしては上出来だと思います。フィリップス特有の円やかでホールトーン豊かな響き。当時のものとしては混濁も少なく、細部も比較的明瞭に録れています。
①は女声合唱が入る「シレーヌ」を含む全曲録音ですが、何故か合唱団の名前が一切書かれていません。無名プロデューサーの録音とは言え、合唱団まで無名のままというのはいただけませんな。
音楽には無関心なメーカーが作る商品にはつきものの欠陥と言わざるを得ません。
(制作の段階で誰も気が付かない。オリジナルに団体名のクレジットが無いなら、その旨をブックレットなどに記すべきでしょうが)
②はライヴ録音も残されていて、それは既に紹介しています。ライヴ同様、第3楽章は金管のファンファーレ無し、最後のコルネットによる駆け上がり付きの演奏です。
本盤の聴きものは③と④。共にピアノ曲(④は四手用)をドビュッシー自身がオーケストレーションした佳曲。
夜想曲と海と来れば牧神が付き物ですが、ここではレアもの2曲が嬉しい組み合わせ。演奏もさすがに素晴らしいもので、このディスクの存在価値を高めています。
参照楽譜
①オイレンブルク No.1320
②デュラン D&F6838
③ヘフリッヒ No.124(デュラン復刻版)
④ジョベール E1410F

 

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