今日の1枚(61)

このところ東京は寒い日が続いています。それでもギンヨウアカシアが黄色の花を開き始めました。
春先の花は黄色が多いですね。スイセン、ロウバイ、マンサク、サンシュユ、ナノハナ等々。中でもギンヨウアカシアは目立ちます。
今日もベイヌムですが、恐らくコンセルトへボウとのステレオ録音でも音質面で最も優れたもの。フィリップス・ロゴによる UCCP-3337(476 9358) です。

ヘンデル/「水上の音楽」(クリュザンダー版)。1958年7月1日から5日にかけてアムステルダム(コンセルトへボウ)での録音。

ベイヌム/コンセルトへボウはステレオ録音を7点ほど残していると思いますが、これは最も成功した一枚。
ベイヌムは「水上の音楽」を他にも録音しています。それはハーティ編曲版で、ロンドン・フィルを指揮したSP盤。デッカの AX 495/6 という品番、2枚4面に収録されていました。
ヘンデルでは同じくハーティ版の「王宮の花火の音楽」もあって、こちらはデッカのLP、LX 3096 が初出です。

当CDはハーティ版ではなく、クリュザンダー Chrysander 校訂によるドイツ・ヘンデル協会の原典版の全曲演奏です。昨今のハレ新全集とは違うもの。
右に置かれたチェンバロの繊細な音が鮮やか。ナマで聴くバランスよりはオンに録られていますが、不自然ではありません。
金管の立体感も極めてナチュラル。例えば第10曲のアレグロでは、中央奥のホルンとその左に位置するトランペットとの応唱が見事に捉えられています。
演奏も当然ながら古楽器系の神経質なものではありません。とは言いながら、大袈裟なロマンティックなスタイルとは決別し、いかにも原典版による演奏。
序曲冒頭の柔らかい弦合奏は、現在のバロック音楽の演奏スタイルでは聴かれなくなった暖かさが感じられます。

繰り返しは曲により様々ですから、一々触れません。ただ、基本としては実行する姿勢。
序曲の繰り返しは省略、コーダはウォルシュ版を採用して1小節長くなっています。
第5曲エアは、スコアでは3回繰り返す指定になっていますが、ベイヌムは後半の後に前半に戻る、3部形式による演奏。
第7曲「ブーレー」と第8曲「ホーンパイプ」は、楽譜通り弦→管→全合奏の3度リピートですが、最初の弦だけが前半を繰り返し、後は全て繰り返し省略のパターンです。
第15曲のエア。これは3回以上繰り返しの指示がありますが、弦→木管→金管→全合奏の4回繰り返しで演奏しています。
1枚のCDとしては贅沢、48分半しか収録されていません。

参照楽譜
リー・ポケット・スコア LPS139(クリュザンダー版)

 

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