今日の1枚(65)
昨日の東京は雪がちらつく寒さでしたが、漸く悪天も一段落したようです。この寒さにも拘らず自然界の歩みは着実。今朝はサンシュユが開花しているお宅を発見しました。
今日の1枚、ベイヌムを聴き続け、ようやく手元のディスクはほぼ終了しましたが、知人に拝借したものが2枚残っています。そこで今日と次回はそれを取り上げましょう。
先ずは、フランスのターラ Tahra というレーベルが復刻したブルックナーの交響曲第7番です。
既にデッカから発売されたエドゥアルド・ヴァン・ベイヌム指揮アムステルダム・コンセルトへボウの新録音を取り上げましたが、これはその時にも紹介した同じデッカへの旧録音です。演奏者は同じ。
ブックレットには1947年9月9日と10日、アムステルダム・コンセルトへボウでの収録とクレジットされています。
但し、デッカ録音であることや、プロデューサーやエンジニアの名前についての記載はありません。
SPの品番は明記されていて、K 1916/23 、マトリックス・ナンバーは HAR1~15ですから、8枚15面だったことが判ります。
1947年の録音と言えば、春の祭典とバルトークのオケ・コンの間に位置する録音。出来としては良い方でしょう。普通の鑑賞に堪えられるギリギリの水準。
使用している版は新録音と全く同じです。第1楽章冒頭、24小節目のホルンの入りがハッキリ聴き取れます。
新録音で指摘した第1楽章160小節の低弦によるピチカートの位置。面白いことに新版とは違っていて、3拍目に置かれています(新録音は2拍目)。現行版はもう半拍後に書かれていますから、ここはベイヌムの考えと看做して良いと思います。
SPですから面の繋ぎがあるのは止むを得ないことですが、この復刻は上手く処理されていると思います。スコア無しで聴いてそれと判る箇所は、第1楽章に1箇所、第2楽章に2箇所、第3楽章に1箇所、第4楽章に1箇所の計5箇所に過ぎませんから。
演奏そのものは新版とほぼ同じでしょう。旧版の方がややテンポの伸縮が大きく、その分演奏時間も僅かに長くなっています。
(旧版はほぼ60分、新版は59分)
あとは好みの問題でしょうが、ジックリとした歌い込み(特に第2楽章)なら旧版、推進力なら新版ということでしょうか。
なお、このブックレットはフランス語とその英訳で書かれていますが、英語版の最後のページが当該CDとは違うものに入れ替わっています(どうやらヨッフム指揮のブルックナー)。いかにもフランスの仕事みたいで面白いですね。
新しい情報としては、ベイヌムの追悼コンサートが1959年4月18日(ベイヌムの死後5日目)に行われ、ハイティンクが指揮をし、ブルックナー第8のアダージョとバッハのマタイ受難曲から何曲かが演奏された、ということ。
このブックレットにはベイヌム/コンセルトへボウがパリに客演した時のポスターが印刷されていて、年度は不明ですが、3月27日(木)夜9時から。Palais des Sports が会場、曲目は、
ベートーヴェン/「コリオラン」序曲
ブラームス/交響曲第4番
シューベルト/「ロザムンデ」序曲とバレエ音楽
チャイコフスキー/「ロメオとジュリエット」
だったそうです。
参照楽譜
オイレンブルク No.465
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