今日の1枚(66)

今日はエドゥアルド・ヴァン・ベイヌムの最終回です。拝借したCDで、イギリスのダットン研究所というレーベルが復刻した CDK 1208 という品番。ダットンとは、マイケル・J・ダットン Michael J. Dutton という人が個人的に運営しているレーベルらしいですね。
内容は、
①ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
②シューベルト/交響曲第5番変ロ長調
③ベルリオーズ/幻想交響曲
いずれも78回転盤からの復刻で、データは、
①1946年11月29日 これはロンドン・フィルとの録音
②1946年9月17日 アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団
③1946年9月9 アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団
聴いて直ぐに判りますが、これは残響を施した復刻で、聴き易くなってはいますが、細部がボケてしまう欠点もあります。復刻者の趣味が必ずしも聴き手の好みに合致するものではなく、私故人としては好きになれません。
①は後に録音されたバレエ音楽抜粋とは別の録音。演奏会用の終結部による演奏であることは新盤と同じ。
今回が初出録音だそうで、マトリックスは AR10901 とされています。何故未発売だったかについての情報は一切書かれていません。
②はデッカの AX451/3 とクレジットされていますが、手元のレコード録音百科では第2巻に記載されています。録音年から判断すると発売が5年ほど遅れていたことになりますが、その理由は判りません。
本盤にも記載があるように、一部の録音状態(あるいは保存状態)が極めて悪く、辛うじて鑑賞に堪える程度のもの。特に第3楽章のメヌエットの回帰から第4楽章は酷く、昔の短波放送を聴いているような感じ。
演奏は、第1・2・4楽章の繰り返しは全て省略、第3楽章もメヌエットの後半は省略しています。
恐らく1・3・4楽章はSP1面に収めるための処置。第2楽章が3面使った収録と思われますから、作品全体のバランスを著しく損ねたものになっています。
2箇所あるはずの第2楽章の繋ぎは極めて上手くいっていて、何処で区切っているのか聴いただけでは判りません。
③は既に取り上げた幻想の旧録音。これも繋ぎは極めて自然で、第3楽章の1箇所と第5楽章の1箇所が確認できるだけ。
但し第5楽章は編集ミスなのか元々そのように収録されているのかは判りませんが、第222小節がそっくり1小節抜けてしまっています。
演奏は中々覇気に満ちた優れものですが、録音状態も含めて判断すれば、新録音には及ばないと思います。あくまでもコレクターズ・アイテム。
第3楽章の24、26、28、29小節のピチカート。スコアでは前半が3度上昇、後半は3度下降音型になっていますが、この盤では何度聴いても逆に聴こえます。即ち前の二つが下降、後半が上向。聞き間違いなのか、そういう譜面があるのか、全く判りません。
参照楽譜
①オイレンブルク No.625
②オイレンブルク No.508
③オイレンブルク No.422

 

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