今日の1枚(73)
朝は雨、急速に晴れて暑くなりましたが、また俄に曇って雨が降りそう。変な一日です。
フルトヴェングラーのベートーヴェン、TOCE-3736 もオリジナルLPカヴァーが懐かしい1枚です。
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73「皇帝」。ピアノは巨匠エドウィン・フィッシャー、ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団による演奏。長い間「皇帝」の定番として親しまれてきた1枚ですね。
1951年2月19・20日の両日にロンドンのEMIスタジオで収録されたものですが、プロデューサーやエンジニアの名前は「Unknown」と記されています。
録音は時代を感じさせるものながら、ソロとオケのバランスも優れていますし、木管ソロがスーッと立ち上がってくるところなど、明らかに優れたエンジニアの仕事と思われます。名前が無い、あるいは伏せられているのは何故なのでしょうか。
この録音は当初SP5枚、10面で発売されています。HMVの DB 21315/9 というもの。既にアメリカはLP時代に突入していましたから、SP最後期の録音でしょう。
フィッシャーはフルトヴェングラーと同じ1886年の生まれ、ソリストとしてだけでなく指揮者としても堂々と活躍していた人で、単なるピアニストというより芸術家と呼ぶべき巨匠です。
一時廃れていた18世紀の演奏スタイルである「弾き振り」を復活させた人で、モーツァルトやベートーヴェンの演奏には定評がありました。
この録音は、翌日(2月22日)のフィルハーモニア管弦楽団の演奏会に先立って行われた由。本番は、①ウェーバー/「魔弾の射手」序曲 ②ブルックナー/交響曲第7番 ③ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番というものだそうです。ブルックナーが前半というのは、当時まだブルックナーは一オーストリアのローカル音楽としてしか認識されていなかったからでしょう。
演奏は極めてオーソドックスなものですが、第3楽章の最後、リタルダンドがスコアの指定箇所より5小節ほど早く始まっています。
フィッシャーとフルトヴェングラーの録音は和気藹々と進みましたが、第3楽章で二人は激しく衝突した、という記事を何処かで読んだ記憶があります。このリタルダンドなどが問題になったのでしょうか?
参照楽譜
オイレンブルク No.706
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