今日の1枚(192)

復活第2弾もNMLの配信音源から、これも昨日新着タイトルに加わったもの。ブラームスのピアノ四重奏曲全曲アルバムです。
レーベルはエラート=パルロフォン、前回取り上げたHMV同様10月1日からNMLに参加したレーベルです。

元来エラートはフランスのレーベルで、フランス人音楽家によるバロック音楽がレパートリーの中心でした。現在はワーナー・ミュージックの傘下で、ワーナーは既にNMLに参加していた関係からエラート・レーベルの音源は既に500枚近い点数が配信中です。

一方、10月から配信がスタートしたエラート=パルロフォンは「ヴァージン・レコード」として設立されたイギリスのレーベルで、1992年にEMIに売却された由。しかし去年EMIのクラシック部門が更にワーナー・ミュージックに買収されたことで、目出度くNMLに加わることになったようです。複雑な経緯で部外者には良く判りませんが、これから楽しみなCDが続々登場するのは嬉しいこと。アルファベット順にBの作曲家まで250枚ほどアップしましたが、まだまだ続くでしょう。

ということで昨日から配信されているブラームスのピアノ四重奏全集は、カピュソン四重奏団による新しいディジタル録音。ブックレットが読めないので詳しいデータは判りませんが、別資料によると、2007年12月、スイスのルガーノでの録音だそうです。
メンバーは、
ヴァイオリン/ルノー・カピュソン Renaud Capuson
ヴィオラ/ジェラール・コセ Gerard Causse
チェロ/ゴーティエ・カピュソン Gautier Capuson
ピアノ/ニコラ・アンゲリッシュ Nicholas Angelich

の面々。もちろんヴァイオリンとチェロが兄弟で、コセを除いたブラームスのピアノ三重奏曲全集も配信中です。
ディスク2枚組のアルバムで、1枚目に①ピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25と ②ピアノ四重奏曲第3番ハ短調作品60が。2枚目に③ピアノ四重奏曲第2番イ長調作品26が収録されています。
演奏時間は①が41分 ②35分 ③52分 と盛り沢山で、全曲繰り返しは全て実行されています。

演奏が悪いワケはありません。元々フランス人のブラームスは定評があって、かつてフランスのクァルテットでヴィオラを弾いていたモントゥーが、“ドイツ人のブラームスは重くっていけねェ~。その点君たちのは良いよ”とブラームス本人から言われた、と証言していましたよね。
録音も最新盤だけあって優秀。四つの楽器のバランスも見事です。ピアノは中央奥、左からヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの順に定位しているのが手に取るよう。

例えば第3番の第3楽章 Andante では冒頭から16小節間はヴァイオリンとヴィオラが休み、恰もチェロ・ソナタのような進行になりますが、ここもチェロ・ソナタのバランスではなく、あくまでもトリオの中でのチェロとピアノ。
同じ曲の第4楽章 Allegro comodo では冒頭から28小節もヴァイオリン・ソナタ状態が続きますが、これも同じこと。それにしてもブラームス、第3クァルテットの最後の二つの楽章で同じような扱いを見せるのは何か意図があるのでしょうか。思わずそんなことも考えてしまう録音です。

2枚組のCDは盤を取り換えるのが結構面倒ですが、配信の場合は連続して聴けるのが便利。全曲を一気に聴く時間と余裕があればの話ですが、私は2時間強、スコア片手にブラームスを満喫した次第。

 

参照楽譜
①カーマス・スタディー・スコア No.773
②カーマス・スタディー・スコア No.775
③カーマス・スタディー・スコア No.774

 

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