今日の1枚(80)
ほんとうに暖かくなって、今日は朝の散歩でもコートは不要。それどころかセーター一枚でも汗ばむほどでした。
一日休んでウィルヘルム・フルトヴェングラーの続き。今日は大全集からブラームスです。TOCE-3791 、東芝エンジェルが初発売したLP日本盤のオリジナル・カヴァーでしょう。このデザインには記憶があります。
①ブラームス/交響曲第3番へ長調作品90
②ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲作品56a
①はベルリン・フィルとのライヴ録音、②はウィーン・フィルとの正規スタジオ録音です。データは、
①1949年12月18日 ベルリン(会場名のクレジットなし)
②1949年3月30日と4月2日 ウィーンのムジークフェラインザール
フルトヴェングラーのブラームス交響曲録音は、1番と2番にスタジオ正規録音が残っていますが、3番と4番は録音を果たせぬまま亡くなってしまいました。
そこでドイツ・エレクトローラがフルトヴェングラー没後10年を記念して発売したのが、この録音と次回予定の第4番。昨今の発掘シリーズに遥かに先立つものですし、私もLPで親しんできた演奏ですから、躊躇うことなくゲットした一品です。
ということで①、ライヴ特有の会場ノイズがそのまんま収録されていますが、それにしても咳が酷いですね。12月ということで風邪でも流行っていたんでしょうか。現在はどうか知りませんが、ベルリンの聴衆は実に堪え性の無い連中で、日本の聴衆が如何に行儀が良いか良く判るでしょ。それでも文句を言う人がいますからね。
因みに記録を調べると、この日のプログラムは、
シューマン/「マンフレッド」序曲
ブラームス/交響曲第3番
フォルトナー/ヴァイオリン協奏曲(独奏/ゲルハルト・タシュナー)
ワーグナー/「神々の黄昏」~ジークフリートの葬送行進曲
ワーグナー/「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
というもの。12月18・19・20日の三日間に亘って演奏されたプログラムでした。
第1楽章の繰り返しは実行しています。第1・4楽章ではティンパニの加筆がたくさんあって、第1楽章ではコーダに入ってから、192小節から194小節にかけてスコアに無いトレモロを加筆。更に198~200小節も通してトレモロによるクレッシェンドに書き換えています。
第4楽章はもっと徹底していて、44と45小節(再現部での相当箇所、186と187小節)にスコアに無いトレモロを加え、74小節から75小節にかけて(再現部は216から217)は打撃音を追加。
更に85から86小節(再現部の227から228)にもスコアに無いトレモロを加筆するのです。
その結果、かなり激しい演奏という印象になっているのが特徴。フルトヴェングラーのライヴを代表する記録だと思います。
ただし録音状態は決して良いものではなく、客席ノイズを考慮すれば私にとってはあくまでも資料的な興味しかありません。
②は正規録音ながら音質は①と大差ないもの。1949年収録にしてはノイズが多いように感じます。
初出はSPで、DB 6932/4 の3枚組。5面に収められ、最終6面にはハンガリー舞曲第2番と3番という珍しい曲がカップリングされていました。
繰り返しを全て実行した完全録音盤。
参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.132
②ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.134
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