地方都市オケ・フェスト2009

財団法人地域創造や社団法人日本オーケストラ連盟が主催している「地方都市オーケストラ・フェスティヴァル」が開幕しました。
と言っても今年の参加団体は僅かに二つ。今日の大阪シンフォニカー交響楽団と22日の群馬交響楽団という寂しさです。
今年で12回目になるはずですが、群響は第1回から12回連続出場ですし、大阪シンフォニカーも最初の年と一昨年がお休みだっただけ。このフェストに最も貢献しているオケと言えるでしょう。
(来年は5団体の参加が予定されているようです)
今日は大阪、プログラムは極めて意欲的なもので、
エルガー/セレナード ホ短調
R.シュトラウス/4つの最後の歌
     ~休憩~
アッテルべり/交響曲第6番ハ長調(日本初演)
 管弦楽/大阪シンフォニカー交響楽団
 指揮/児玉宏
 ソプラノ/佐々木典子
 コンサートマスター/森下幸路
宣伝が行き届いていないのでしょうか、客席はガラガラ状態でした。何処でも好きな席にお座り下さい、と言われているほどの閑散。私は3階席だったのですが、恐らく1階も似たようなものだったのじゃないでしょうか。
事前にプレトークがあり、指揮者の児玉氏が “今日は東京のオーケストラが彼方此方でコンサートを開いているようで、集客には厳しいものがあります” と話されていました。
児玉氏は作品の解説には触れず、「名曲」とは何を指すのか、という内容のトーク。今日のメインであるアッテルべリ、良い曲か否かを判断するのに、実際にコンサートで聴かなければ判断できない、という至極真っ当な問いかけがなされました。
回りを見回すと、東京の聴衆もまだまだ保守的と言わざるを得ません。
演奏はどれも充実した内容でしたが、やはり白眉はアッテルベリでしょう。
プログラムには日本初演と書かれていましたが、実際には18日に大阪で行われた定期が日本初演。今回は再演というのが本当のところです。
児玉はドイツ各地で研鑽を積んだ人だけに、楽曲の構成をシッカリと把握しているのが良く判ります。
例えばアッテルベリの第1楽章はソナタ形式ですが、展開部に入るところで少しテンポを落とし、聴き手に作品の構成を意識させるのです。
オーケストラも児玉の的確な指揮によく応えていました。特に第2楽章の美しさは格別で、クラリネット(村瀬司)、オーボエ(津末佐紀子)、フルート(小林志穂)などが瑞々しいソロを聴かせてくれます。
リヒャルト・シュトラウスで見事なソロを吹いたホルン(細田昌宏)にも触れなければいけませんね。
少ないながらも熱心に耳を傾けていた聴衆からも盛大な拍手と歓声。少なくともこの日初めてアッテルベリを聴いた人達からは、「名曲」として受け入れられたのではないでしょうか。
大阪シンフォニカーは児玉監督を迎えて2シーズン目に入りますが、今期は定期に客演する5人の指揮者に弦楽オーケストラだけの作品を義務付けています。
ブリテン、マルティヌー、ヴォーン=ウィリアムス、ルーセル、チャイコフスキー。
オーケストラの要は何と言っても弦。基本をシッカリ鍛えるという監督の意欲が感じられます。
その上でツェムリンスキーの第2交響曲、ブルッフの第3交響曲、フランツ・シュミットの第4交響曲、グラズノフの第5交響曲を並べ、「名曲」とは何か、を問いかけるのです。
東京のオーケストラでは聴けない作品の数々。東京の聴き手は、来年のフェスティヴァルでグラズノフを待つしかないのでしょうか。

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3件のフィードバック

  1. 雅哉 より:

    大阪で同じプログラムを聴きました。アッテルベリは非常に分かり易く、格好いい曲で、聴きながら興奮しました。児玉/大阪シンフォニカーはこの曲を同時期にセッションレコーディングしています。今夏にキングレコードよりCDが発売されるそうなので、そちらも愉しみですね。

  2. 匿名 より:

    東京のオケは同じ曲ばかり。関西のオケを見習って多彩なプログラムをお願いしたい。頑張れシンフォニカー。

  3. メリーウイロウ より:

    私としても最も注目していたのが本公演。もし大阪だけであったなら、現地に出掛けたかも知れません。
    これを東京でも演奏してくれた児玉マエストロと大阪シンフォニカーに感謝したいと思います。
    大いに意義のある東京公演でした。

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