ヴォーン=ウィリアムスとアルウィン

今年のプロムスの顔、オラモの指揮者としての第二弾です。この日のソリスト、ヤンセンのリサイタルでもヴァイオリニストとしてプロコフィエフを弾いたばかり。今回はイギリス作品のプログラムでした。

8月13日 ≪Prom 36≫
ヴォーン=ウィリアムス/「すずめ蜂」序曲
アルウィン/交響曲第1番
ヴォーン=ウィリアムス/揚げひばり
     ~休憩~
ヴォーン=ウィリアムス/仮面舞踏曲「ヨブ」
 BBC交響楽団
 指揮/サカリ・オラモ Sakari Oramo
 ヴァイオリン/ジャニーヌ・ヤンセン Janine Jansen

前半のヴォーン=ウィリアムス作品については説明の必要もないでしょう。名曲中の名曲。ただアリストファネスの戯曲に付けた「すずめ蜂」については、序曲以外の付随音楽も面白いんですよね。特に「台所道具の行進曲」なんて最高。いつかはプロムスで聴いてみたいものの一つです。

次に演奏されたアルウィンは、ヴォーン=ウィリアムスの次の世代で1905年生まれ。日本では「オルウィン」と表記されることもあるようですが、BBCのコメンテイターの発音では「アルウィン」に近いと聞こえました。
実はその作品を真面目に聴いたのは今回が初めて。映画音楽を多く作曲している人と認識していましたが、どうして絶対音楽も実に堂々たるもので感心しました。今回は第1交響曲でしたが、ブラームスと同様に第1交響曲を作曲したのは40歳を過ぎてからとのことで、この時に4曲を恰も四つの楽章の様に作曲するという構想を持っていたというから只者じゃありませんね。結局シンフォニーは5曲完成させています。
第1交響曲がプロムスで取り上げられるのは、ほぼ半世紀ぶりなのだそうです。

伝統的4楽章から成り、ジョン・バルビローリに捧げられたもの。実にバランスの良い4楽章ですが、特にイングリッシュホルンが主題を奏する第3楽章が素晴らしいと聴きました。アルウィンのプロフィールはこちら。 

http://www.williamalwyn.co.uk/

どうもスコアはアルウィン協会が批判校訂版を準備しているようで、現在は手に入りません。ダニエルス辞典によればレングニックから出版とありますが、現在では絶版かも。
ということで作品解説はこちらを参照するしかありませんでした。

http://www.allmusic.com/composition/symphony-no-1-mc0002405152

揚げひばりを弾いたのは、オランダのヴァイオリニスト。全曲が終わってからの静寂が素晴らしい刻でした。

後半はヴォーン=ウィリアムス作品では余り聴く機会のないヨブ。BBCの発音では「ジョブ」と言っています。ストーリーを持つバレエですが、聖書のヨブ記そのものではなく、ウィリアム・ブレイクが著したヨブ記の挿絵にヒントを得たもの。オックスフォードから出版されているスコアの表紙にはその挿絵がデザインされています。
私はCD初期にハンドレー指揮のEMI盤を手に入れて楽しんできましたが、やはり第6部が圧巻。ドラの一撃に続くオルガンの全奏(オルガンが使われるのはここだけ)はオーディオ・ファンには堪えられない瞬間でしょう。また第7部は揚げひばりの世界そのもので、前半からの関連でもピタリの選曲だと納得しました。スコアには適宜省略できる指摘もありますが、一切カットなしの完全演奏です。

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