今日の1枚(140)

メンゲルベルクのベートーヴェン交響曲全集も今回が最終回です。4枚目の第9交響曲。折しも世間は第9シーズンに突入していますが、今日の1枚に第9が登場するのは全くの偶然、計算したわけではありません。

当全集、改めて品番を記しておくと、Universal Music Italia がメンゲルベルク Willem Mengelberg の没後50年を記念して2001年に発売した5枚組セット、468 630-2 。1940年の春にコンセルトへボウで行われたベートーヴェン連続演奏会をライヴで収録した歴史的ドキュメントです。

レコードイヤーブックのデータによれば、第9は1940年5月2日の演奏。5枚目のCDの単独品番は 468 635-2 ということになっています。
セットの解説者は Gian Paolo Minardi で、残念ながらイタリア語解説のみ。内容はリッカルド・シャイイーのメンゲルベルク論のようです。

メンゲルベルクのベートーヴェン/交響曲第9番は、既に取り上げた10枚組のラジオ録音集にも収録されていて、今日の1枚(133)で取り上げています。
それは1938年5月31日のライヴ録音で、ベートーヴェン全集に収録された演奏の2年前のものでした。

1940年の第9は、ソリストは2年前と全く同じ。ソプラノがトー・ファン・デア・スルイス Tor van der Sluys 、アルトはスーゼ・ルーヘル Suze Luger 、テノールはルイ・ファン・トゥルダー Louis van Tulder 、バスがウィレム・ラヴェッリ Willem Ravelli という顔ぶれ。
(現代の水準では、あまり上手いとは言えません。特にバス)

合唱も2団体のうちアムステルダム・トーンクンスト合唱団 Amsterdam Toonkunstkoor が同じで、もう一つのオランダ王立オラトリオ協会合唱団 Royal Oratorio Society が38年盤とは別の表記になっています。
(1938年の Koninklijk Oratorimkoor と同じ団体か否かは不明)

1940年の第9は、基本的には1938年のものと全く同じコンセプト。繰り返しの実行、オーケストレーションの改編も共通ですから、詳細は繰り返しません。

ただし音質は2年の隔たり故か、細部はより鮮明に捉えられ、音質も明るさを増しています。相変わらず低音域が不足気味なのは、当時の放送録音の限界でしょうか。

1938年盤との違いは、前者にあった2箇所にあったティンパニのミスが無いこと。その意味でも、1940年の演奏はメンゲルベルクの第9の決定盤と言えるでしょう。

参照楽譜
ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.30

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