今日の1枚(86)

「永遠のフルトヴェングラー大全集」を聴いてきましたが、今日取り上げるのは1枚物としては最後になります。TOCE-3805 。
①バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第2番
②フルトヴェングラー/ピアノとオーケストラのための交響的協奏曲ロ短調~第2楽章アダージョ

ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮、①はフィルハーモニア管弦楽団で、ヴァイオリン・ソロはユーディ・メニューイン。②はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏とエドウィン・フィッシャーのソロです。
録音データは、
①1953年9月12日と13日、ロンドンのEMIスタジオ
②1939年8月と9月、ベルリン
と表記され、プロデューサー、エンジニア名はクレジットされていません。
①は昨日のシュトラウス同様、フルトヴェングラーの最優秀録音の一つ。ややヴァイオリン・ソロがオンで、オーケストラの細部がマスクされる箇所もありますが、協奏曲の録音としてはスタンダードなものだと思います。

メニューインにとってこれはバルトークの二度目の録音。彼は生涯に4種類のバルトーク第2を録音しましたが、フルトヴェングラーとは唯一の録音です(他の3種類はいずれもドラティ指揮)。
バルトーク-フルトヴェングラー-メニューインと言えば、音楽史上でも稀有な関係で結ばれていました。この録音は単なる一演奏に留まらず、歴史的なドキュメントとして極めて貴重なもの。クラシック音楽ファンにとって必携・必聴のアルバムです。
この曲のフィナーレはオリジナルの管弦楽だけの版と、献呈者(初演者でもある)ゾルタン・セーケイの要望でソロが活躍する版の2種類があります。(オリジナル版は第2フィナーレと呼ばれます)
フルトヴェングラー/メニューインは現行版(ソロが活躍する方)を選択。
ブックレットにこのことについての記載が無いのは疑問です。

②は1939年のSP録音。この時代にしては良い音で収録されています。ピアノの音が如何にも古雅で、独特の魅力を持った録音。
この録音、1999年にテスタメントからも発売されていますが、そのブックレットに記載されているデータでは、1939年4月25日、ベルリンのフィルハーモニーでの収録となっています。
更にプロデューサーは Walter Michael Berten 、エンジニアが Johannes Huebener という記載も。
東芝の日本盤解説(平林直哉)には、英フルトヴェングラー協会のジョン・ハント説の8月25日録音というデータも紹介されています。
データなどどうでも良いようなものですが、三様の記録を見せ付けられると、??? という気持ちになります。

この曲は1936年の作品。初演は録音と同じコンビで、翌年ミュンヘンでなされたということがブックレットに書かれています。
フルトヴェングラー演奏記録集(TAHRA社)を探すと、1937年10月26日、ベルリン・フィルのドイツ・ツアーの一環としてミュンヘンで初演されたと記載されています。このときのプログラムは、
ヘンデル/合奏協奏曲第5番
フルトヴェングラー/交響的協奏曲(エドウィン・フィッシャー)世界初演
ベートーヴェン/交響曲第8番
となっています。たかがデータですけど・・・。
交響的協奏曲の楽譜は、最近になってリース&エアラー社から出版されました。168ユーロという高価なものですが、下記の同社ホームページから購入できるそうです。
私は遠慮しておきますけどね。

http://www.rieserler.de/index.php?manufacturers_id=664

参照楽譜
①ブージー&ホークス No.81
②なし

 

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