リングフィールドのトライアル

チェスター競馬場のクラシック・トライアル戦が終了した翌日、今度はリングフィールド・パーク競馬場でトライアルが行われました。
リングフィールド競馬場は、“イギリスで最も美しい競馬場”というのがキャッチ・フレーズですね。私は行ったことがないので実感はないのですが、写真などを見ると確かに美しい競馬場です。
ここはついこの間(1970年代だったかな)までは個人の持ち物だったはずですが、“一家で運営するのは、もう無理じゃ~” ということになって売りに出される危機がありましたっけ。で、どこかの運営会社が落札して、現在でも無事に競馬が行われています。きちんとした情報じゃありませんから、あんまり鵜呑みにしないように・・・。
サリー州にありますからロンドンから近い、27マイルだそうです。近くにエプサム競馬場もあります。
開設は1890年で、最初は障害だけでした。その4年後に平場競走も導入され、現在でも障害・平場の両開催が行われています。更に最近は、芝コースの内側に全天候型のコースが設けられ、冬場のフラット・レースも行われていますね。日本のイメージならダートコースと思えばよろしい。全天候コースの最大のイヴェント、ウインター・ダービーが行われるのもここです。
さて、リングフィールドはダービー・トライアルとオークス・トライアルが行われることでも注目されています。本番と同じ距離、丁度トライアルに絶好な季節に行われる、ということだけではなく、コースの形状がエプサム競馬場とよく似ていることが注目される原因なのですね。
つまり、左回りで、坂の登り降りがエプサムに酷似していて結構きつい、馬にとってはバランスを維持するのが難しい等々。
このトライアルを勝ってエプサムをも制した馬を思いつくまま挙げてみると、ダービーではエイプリル・ザ・フィフス、ミッド-デイ・サン、タルヤー、パーシャなど。オークスではスリーピング・パートナー、ジネヴラなどがいましたねぇ~。少し懐かし過ぎるか・・・。
さて今年。
まずオークス・トライアル(リステッド、3歳牝、1マイル半)は、かつてはGⅢでしたが、現在は格下げされてリステッド。今年は直前に3頭が取り消して6頭立てと寂しい顔ぶれでした。
クライヴ・コックス厩舎、アダム・カービー騎乗のミラクル・シーカー Miracle Seeker という馬が勝ちましたが、オークスでは穴馬程度でしょうか。この時点で33対1という人気薄です。
なお1番人気に支持されていたオブライエン厩舎のアイス・クィーン Ice Queen は4着敗退。
そのオブライエン厩舎、ダービー・トライアル(GⅢ、3歳、1マイル半)では見事にワン=ツー・フィニッシュです。ムルタ騎乗のアレッサンドロ・ヴォルタ Alessandro Volta が逃げ切り勝ち、マッケーブ騎乗のキング・オブ・ローマ King of Rome が2着です。着差は4分の3馬身。
勝ったアレッサンドロ・ヴォルタはストライドの大きな馬で、下り坂でバランスを崩す場面もありましたが、何とか凌いだ由。本番はどうなりますか。レース前も後も、オッズの20対1は変わらないようで、エプサム向きの馬とは捉えられていないようですね。
ところでダービー・トライアル、枠順発表の段階では6頭立てだったのですが、レース当日の朝、1頭が回避して5頭立てで行われました。その取り消しはカーテン・コール Curtain Call です。
カーテン・コール、現在のところダービーの2番人気に支持されていますが、出走すれば当然1番人気だったはず。ところが前日のレースを見て判断したルカ・クマニ調教師、“この馬場はカーテン・コールには良過ぎる。本番前に危険は犯したくないもんね~” と発言し、さっさと取り消してしまいました。
日本の感覚では、馬場状態を理由に出走取り消しは考えられないでしょ。ましてや「良馬場」なんで止ぁめたぁ~、なんてのは・・・。でもね、イギリスではよくあること。昨日のダービー・トライアルもファンが騒いだ、なぁんてことは一切起きてません。クマニ師の英断が讃えられることはあっても。

 

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